シンポジウムの様子
加茂利男・公務研究科教授による講演の様子 |
朝日・大学パートナーズシンポジウム 2007年上半期企画
「地域再生は知恵くらべ−自治の可能性と現場実践の理論−」開催
6月30日(土)、衣笠キャンパスにおいて、朝日新聞大阪本社、立命館大学政策科学部共催「朝日・大学パートナーズシンポジウム」2007年上半期企画「地域再生は知恵くらべ−自治の可能性と現場実践の理論−」を開催した。
シンポジウムは、立命館大学大学院公務研究科の加茂利男教授の問題提起からスタート。加茂教授は、昭和の大合併や高度経済成長時代の都市化による一極集中が戦後日本の地域を衰退させたこと、政府が公共事業のバラマキによって衰退する地域を下支えしていたことを指摘。バラマキ型公共事業は大量の財政赤字を生み出し、右肩上がりの経済成長の終焉によってそれが限界に達したことで、地域は財政的な「つっかい棒」を失い、自治体としての存立を危ぶまれるほどの危機的状況だと言及した。
しかしその一方で、長浜の「黒壁」や湯布院、長野県下條村の事例など、自らの手で再生しようとする地方発の様々な再生のアイデア事例を紹介。これらの取り組みと地方分権の流れがうまく結びつくことで、地域再生が進む可能性があることを提示した。また、地域再生には地域の自然や文化、伝統を改めてよく理解し、それを持続可能な地域づくりの基本として位置付けた上で、地域の可能性を最大限に引き出す方向性の模索が重要として問題提起を結んだ。
後半では、加茂教授の問題提起を受け、地域再生の知恵についてのパネルディスカッションが行われた。パネリストには、滋賀県長浜市の株式会社「黒壁」代表取締役常務・伊藤光男氏と、行政として先進的な取り組みを行ってきた千葉県我孫子市前市長・福嶋浩彦氏を迎え、地域再生の知恵とはどのようなものであり、どのように生み出されたのかを現場の視点から語ってもらった。またこれらの事例を題材に、朝日新聞編集委員・神田誠司氏のコーディネートのもと、ノンフィクション作家・吉永みち子氏や立命館大学総長の川口清史教授、加茂教授と共に、地域再生の今後の可能性や、大学が地域再生にどのようにかかわることができるかなどが討論された。
<2007年7月3日掲載>
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