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アート・リサーチセンターで「天皇の書〜鎌倉時代から江戸時代〜」開催




鎌倉時代後期から江戸時代後期までの天皇の書を集めた展示会が、11月11日(月)から立命館大学アート・リサーチセンターで始まった。

展示会は立命館大学出身の故・藤井孝昭氏が生涯に渡り集めた美術工芸品の数々から、天皇の書に絞って展示したもの。藤井氏が集めた美術工芸品は早くから専門家の注目を集めており、氏の没後はその遺族が財団法人藤井永観を設立して貴重な品々を管理している。
展示されている天皇の書は読んで楽しんでよし、眺めて楽しんでよし。古文書は手紙や和歌といった、時の天皇の生活に深く根ざしたものが多く、それぞれの時代を垣間見ることができる。閲覧者に配られるパンフレットには、難解な古文書が読みやすい平易な日本語に書きかえられており、古文書の解読をサポートしてくれる。
天皇の優雅な筆跡を取り囲む表装は藤井氏自らがそれぞれの時代に合わせて考案し、装飾したもの。一枚一枚、それぞれ違う表装は、時代の深みを感じさせる淡い色のものがあれば、きらびやかな濃い色が施されたものもあり、藤井氏の表装への強いこだわりが伝わってくる。流れるような筆跡と表装を眺めて楽しむ、芸術品としての古文書がそこにある。

文学研究科研究生であり、今回の展示会に携わった松本郁代さんは日本史を専攻しながら数多くの古文書に目を通してきた。「研究対象としての古文書は解読できなければ意味がなく、研究しながら常に古文書と格闘してきた。きれいな表装が施された古文書を展示品として少し距離を置いてみると、眺めて楽しむこともできるのだということに気付き、また違った形で古文書を見ることができる」と話した。

展示会は今月29日まで開かれる(入場無料)。