講義の様子
 
学生と語る古川康佐賀県知事
 
 
2004年度法学部法政特殊講義「全国知事リレー講座」
第9回「反東京的道州制」
 
 6月8日(火)、2004年度法学部「第2期全国知事リレー講座・前期講座」が衣笠キャンパスにて行われた。第2期第9講目となるこの日は、古川康佐賀県知事が「反東京的道州制」をテーマに講義を行った。

 古川知事は冒頭、「今日は佐賀のことではなく、日本のこれからのことを語る」と切り出し、これまでの国家事業の殆どが東京中心的発想になっていることを、千葉県に新東京国際空港があることや、国賓接待にはなぜか東京都知事だけが呼ばれることなどと特徴付けて説明した。この中で知事は行政の構造について触れ、東京にある警視庁、消防庁など殆どの自治組織は、国費で賄われている部分が大半である一方、例えば東京と直結する新幹線はふんだんに国費が投入されるのに、九州や北海道など、東京とは直結しない新幹線は地元負担を求めるなど、地方に行けばいくほど同じ国家事業であっても地元負担の高い地域が多いことと比較しながら、日本のあらゆる行政機構が東京中心になっていることを強調した。また日本人、とりわけ東京都民の意識についても触れ、都民の大半は都政より国政に興味を持っていることや、気象予報士が台風情報の際、「台風は東京から去って、北海道へ向かいました。」と述べたことについて、「いやいや北海道はこれから来るというのにおかしいのではないか!」などと、会場を沸かせながらユーモアたっぷりに東京中心的発想を説明した。

 これを受けて知事は、市町村合併の次は都道府県単位の合併論や連邦制、道州制の議論が必ず巻き起こるとし、九州各県に空港を造るよりも大きな空港をひとつ造れば十分であるように、効率運営をすべきであることなど、道州制による日本の地方自治のあり方を説明した。このほか、アメリカの首都ワシントンD.C.は連邦直轄地であることを挙げながら、「今の体質なら東京には自治権はいらない。東京のトップは知事ではなく国の出先機関である国務大臣、長官でよい。」などと斬新な構想を展開するなど、首都をめぐる素朴でありながら、しかし様々な問題点を指摘し、国のあり方を熱く語った。講義終了時には、会場から大きな拍手が沸いた。

 本講座は第1期講座が2002年度から開講されており、今年度からは第2期講座が開講されている。前期講座では11名の知事が講義を行い、昨年度とあわせ全国の道府県の知事が講義を行う予定。なお、講座開講にあたり、読売新聞大阪本社のご協力を得るとともに、全国知事会議や出版社「ぎょうせい」など、多方面のご支援をいただいている。

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