SIビジネスについて語る澤氏
 
株式会社NTTデータ取締役・澤源太郎氏
 
 
情報理工学部IT企業リーダーによるリレー講座「情報コミュニケーション学の技術と人・社会との係り合い第8回『SIビジネスの動向と課題』」
 
 7月2日(金)、びわこ・くさつキャンパス(BKC)で、情報理工学部主催による第8回IT企業リーダーによるリレー講座が行われた。最終回となる今回は、株式会社NTTデータ取締役・澤源太郎氏を講師に迎え、「SIビジネスの動向と課題」というテーマで、SI(システム・インテグレーション)ビジネスの内容について具体的な例を挙げながら講演が行われた。

 NTTデータの携わるSIの仕事とは、コンピュータ・システムを開発・管理・運営し、きちんと動かし続けること。ITサービスの市場規模は拡大しており、ハードウェアの性能が向上しているため市場もハードからソフトへと移行しつつあるが、日本ではITサービス分野でもまだまだ不満が出ており、逆に言えば、さらに効果的に使えるシステムのニーズが増えているということになる。NTTデータでは、今までに官公庁・銀行等のシステム開発を数多く手がけてきた。講演では、NTTデータが昨年手がけたNTTドコモ・iモードの新システム開発のプロジェクトを例に、具体的なプロジェクトの進行を辿りながら、「SIer」(SIビジネスに関わる人)の仕事が実際にどのように進められるのか分かり易く紹介された。例えば、ひとつのシステム開発のプロジェクトでは、1,000ページにも渡る企画書の提出から始まり、何百人というSIerが様々なチームに分かれて、一つの大きなシステムの開発に力を注いでいく。このようなシステム開発をめぐって、3,500万人という数のiモードの顧客が何も気づかないうちに、新しいシステムに移行させるという大きなプロジェクトを成功させてきた澤氏は、「プログラム開発は、人と人とがコミュニケーションしながらやる仕事であり、全員で意識を合わせて作り上げるもの」と述べ、チームワークの大切さを強調した。さらに、仕事を成功させるためには、「当たり前のことを愚直に徹底する」「1回やったものを必ず人に見てもらう」「早道はなく、確認等の作業を怠らない」「ルール等の決め事を最初にしておく」「失敗した時の事を考え、最初から手間をかけ、徹底的にリスク管理をする」等、澤氏の豊富な経験から得た成功の秘訣を挙げ、これからITビジネスに携わることも多い学生にとっては貴重な話となった。