陰山英男氏と浮田立命館小学校設置準備室長との対談
 
小学校教育フォーラムの様子
 
 
立命館 小学校教育フォーラム「生きる力と学力づくり」開催
 
2004年7月31日(土)、キャンパスプラザ京都において、「立命館 小学校フォーラム」が開催された。第1回目となる今回のフォーラムは、「これからの小学校教育はどうあるべきか〜人格形成と確かな学力づくりのために〜」をテーマに、百ます計算や『本当の学力をつける本』などの著書で有名な広島県尾道市立土堂小学校校長の陰山英男氏を迎えて行われた。

長田豊臣立命館総長は開会の挨拶で、「初等教育を通じて、より積極的に地域に貢献していくため、学校法人立命館は、2006年4月に立命館小学校を開校することを理事会において決定いたしました。地域に支えられ、地域に理解される小学校づくりをめざし、みなさまとともにこれからの小学校教育のあり方を考えていきたい」と、本フォーラムへの期待を語った。

続いて行われた講演で、陰山氏は、最初に、子供たちの学力・体力・気力の低下や校内暴力、不登校の増加、さらに長時間のTVゲーム没頭に見られる「ディスプレー症候群」などの子どもを取り巻く社会状況に触れながら、「学力向上とは、子どもを元気にすること」と語った。そして自身が校長を務める広島県尾道市立土堂小学校での実践を様々な具体的データを示しながら紹介し、1)基本的生活習慣の確立、2)「読み・書き・計算」による脳力トレーニング、3)21世紀型学力をつける多様な学習の3つを、段階をおって進めていくことの重要性を強調した。そのためには、家庭・地域・学校が一体となって子どもたちを元気にすること、とりわけ「早寝・早起き・朝ごはん」といった基本的生活習慣の確立や家族団らんの時間を持つなど家庭での努力が大切であることを具体例とともに語り、訪れた聴衆はメモを取りながら熱心に聞き入った。最後に陰山氏は、「教育は未来の設計図です。これからもみなさんと一緒に子どもが元気になる未来の設計図づくりを考えていきたい」と締めくくった。講演の後は、陰山英男氏と浮田恭子立命館小学校設置準備室長による対談と参加者からの質疑応答が予定の時間を超えて活発に行われた。

閉会の挨拶に立った坂本和一立命館副総長は、「立命館小学校では『本物に触れる』教育を重視します。たとえば、立命館アジア太平洋大学(APU)には世界72カ国・地域から1,700名を超える留学生が学んでいますが、こうした留学生と子どもたちの交流を通じ、日本のどの小学校でも行われていない真の意味での国際性の涵養をはかっていきたい」と述べるとともに、本日のフォーラム参加に対する謝意ならびに立命館小学校開校に向けた今後の協力をお願いし、閉会した。

参加した人からは、「陰山先生の力強いメッセージに感動しました」(左京区・女性)、「筋道の立った考え方と実践力に感銘を受けました」(草津市・男性)、「学力が伸びることと子どもを元気にするという感動的な理論に共感しました」(中京区・女性)などの感想が寄せられた。本フォーラムへは本会場・サテライト会場合わせ約680名の市民が参加した。事前応募者は1,500名を超え、教育問題への関心の高さをうかがわせた。

第2回の「立命館 小学校教育フォーラム」は、10月16日(土)、脳科学の分野から教育のあり方を提案する東北大学教授の川島隆太氏を迎えて開催される。
※ 「第2回 立命館 小学校教育フォーラム」の詳細は、後日、立命館小学校ホームページに掲載いたします。