研究開発本部MEMS事業推進室長 大田黒俊夫氏
 
講義の様子 
         
 
 
キャリア形成科目「技術者のキャリア」リレー講座 大田黒俊夫氏 『MEMSの戦略を考える』
 
 2004年11月9日(火)、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)で、日立製作所との教育研究に関する包括協定に基づくキャリア形成科目「技術者のキャリア」の一環として、研究開発本部MEMS事業推進室長、大田黒俊夫氏による「MEMSの戦略を考える」の講演が行われた。

 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、半導体ディバイスの開発で蓄積されたシリコンウエハの加工技術を用いて作製された微小機械システムで、近年、小型化・低コスト化を目指したMEMS技術が発展している。日立製作所はバイオMEMSを用いた遺伝子検査ディバイスを開発し、検査結果に要する時間を従来の5分の1に短縮することに成功した。大田黒氏は、MEMS戦略を考える際に必要な背景や概念を説明した後、「MEMS研究にはシステム全体を設計する人材が必要ですが、日本にはそういった人材が不足しています。日本の組織は個々の役割分担が明確に分けられているからです。製品の背後にある知識について、広く総合的に深く理解することが大切です」とMEMS戦略の課題を述べた。

 また大田黒氏は、「そもそも戦略とは、いかに楽をして設けるかという仕組みを、必死に考えることです。戦略がないと行動に根拠がないし、明確な失敗もないので、失敗から何かを学ぶこともなくなります。そこに戦略の重要性があります。MEMS戦略はその例題に過ぎませんが、企業にとって戦略がいかに重要で面白いものであるかを理解してもらえればと思います」と語った。

 聴講した学生は、メモを取るなどして、熱心に耳を傾けていた。