パネルディスカッション
シンポジウムの様子
連続講演・シンポジウム 第2回「大人は第二の誕生を手助けできるか」開催
2004年10月29日(金)、立命館大学衣笠キャンパス 創思館カンファレンスルームにて、立命館大学人間科学研究所公開企画3 連続講演・シンポジウム「大人と子どもは出会えるか−良い子とは誰か」の第2弾「大人は第二の誕生を手助けできるか」が行われた。
第1部では、「第二の誕生」と位置付けた思春期に焦点を当て、高垣忠一郎教授(立命館大学応用人間科学研究科・産業社会学部)による講演が行われた。その中で高垣教授は、思春期の大人と子どもが出会うためには、大人は子どもが訴える問題に対し心を開き、耳を傾け聞き取ろうとすることが大切であると指摘した。「子どもを『他者』として心から認めているかが鍵。親は自己愛の延長として子を愛している場合がある。これでは子どもとすれ違う一方だ」と述べた。そして「第二の誕生を手助けできる親」とは、子どもを良い子の枠に押し込めない、脅しの教育をやめる、子どもを比べ追い立てることをしない大人であると強調した。
第2部のパネルディスカッションは、高垣氏に加え、坂本則子氏(宇治市立東宇治中学校教諭)、福井雅英氏(武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科助教授)を迎え、野田正人氏(立命館大学産業社会学部教授)の司会により進められた。
坂本氏は、担任そしてスクールカウンセラーとして、思春期の子どもたちが噴出させる課題と日々向き合っている相談室での体験から「大人は鎧、仮面をぬぎ捨てないと子どもと出会えないのではないだろうか」と述べた。そして、「周囲からバカにされたくない」と鎧を着ている親に、教師も鎧をとって寄り添うことの重要性を実践的に語った。
福井氏は、昨年までの中学校教員時代に、攻撃的な子どもたちと苦労した経験や、良い子だった思春期の続きを生きている大学生の具体例を挙げながら、社会背景の中で子どもを捉え、思春期の課題を考えることが大切であると述べた。そして、同世代とつながり、社会の中で自分の価値観を作っていく手助けができれば、青年達は良い子だった思春期の続きの物語を描くことができるのではないかと話した。
講演会は先生方の実体験に裏付けられた具体的な事例をもとに話がすすめられた。学生のほか現場の先生など150人以上が興味深く聞き入っていた。参加者は自らの体験と照らし合わせ、多くの共感を得ることができたようだ。様々な立場から「思春期」を振り返りあらたな気づきができたことが会場アンケートからも伺えた。
次回(第三回)は、11月12日(金)に再び竹内常一氏(國學院大學文学部教授)を招き、『「自分探し」とはなにか―「自己実現」幻想を問う』というテーマのもとに開催される。
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