内田 憲孝 氏
講義の様子
キャリア形成科目「技術者のキャリア」リレー講義 内田憲孝氏『医療・バイオ事業に向けた活動』
2004年11月16日(火)、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)で、日立製作所との教育研究に関する包括協定に基づくキャリア形成科目「技術者のキャリア」の一環として、中央研究所・基礎研究所・健康システムラボ長 内田 憲孝 氏による「医療・バイオ事業に向けた活動」と題して講演が行われた。
内田氏は「日立製作所というと、洗濯機やTVなどで親しみを感じている方も多いと思うが、実は科学研究に必要な装置を比較的早い時期から数多く作ってきた。日立では今『安心健康ソリューション』を注目すべき分野と捉えて、社会と産業のニーズに応える新しい医療向け製品やバイオテクノロジー向けの製品開発に取り組んでいる」と語った。そして、日立のバイオ分野での代表的製品にDNAシーケンサがある。これは遺伝子を解析する機械のことで、試作品では解析に非常に長い時間を要していたが、数十年におよぶ研究の結果、解析時間も短縮され、商品の値段も以前に比べ非常に安くなった。また米国の会社と共同でキャピラリーアレイDNAシーケンサという装置を開発し、ヒトゲノムの塩基配列を読み終えることに成功している。氏はこれらDNAシーケンサやご本人が主に開発に携わって来られた蛍光ディファレンシャルディスプレイと呼ばれる遺伝子発現解析技術、医用の診断などの応用が期待されるビーズアレイと呼ばれるDNAやタンパク質の解析技術等の開発過程について苦労話を交えながら、異分野の技術が複合的に活用されていることをわかり易く説明された。
最後に氏は「従来は客観的に判断ができなかった「めまい」の計測や運動機能を見ることにより、パーキーソン病の診断が可能になる研究なども現在進めており、誕生から死ぬまでの脳を計測して、脳を育む技術へ発展させ、今後も医療・バイオの研究で社会に貢献していきたい」と豊富を述べるとともに、企業の研究者のあり方として、一つの分野を深く掘り下げる専門職的研究者と幅広い知識と経験を活かし、研究をコーディネートする研究マネージャーとしての方向性があることを示し、学生の将来に期待すると熱いメッセージが送られた。
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