玄侑宗久氏
 

講演会の様子
 
 
連続講演会「現代社会と宗教」開催 第6回「人知を超える方法論」玄侑宗久氏講演
 
 2004年12月17日(金)、立命館大学衣笠キャンパス 以学館1号ホールで、連続講演会「現代社会と宗教」(文学部主催・読売新聞後援)の6回目「人知を超える方法論」が行われ、作家で福聚寺副住職の玄侑宗久氏が200人の聴講を前に講演した。

 玄侑氏は慶應義塾大学卒業後、コピーライターやナイトクラブで働くなど職を転々する。その後、京都の天竜寺で修行し、現在は出生地福島県にある福聚寺で副住職を務めるかたわら文筆活動を続けている。

 司会者(本郷真紹文学部教授)に紹介され、壇上に上がった玄侑氏は「『人知を超える』とは大げさなことだが、坊さんはよく大げさなことを言うんです」と話し始め、会場の笑いを誘った。講演はこのように終始なごやかな雰囲気の中進められた。

 講演の中で、玄侑氏は「私たちはすべてを言葉で考えることが可能ではないかと思っているのですが、言葉では扱えないものがある」と語った。そして、数学者クルト・ゲーデルが発表した『不完全性定理』を例に出し、「不完全性定理はどんな論理的な体制にも絶対矛盾があるというのを証明してしまいます。言葉も不完全なものなんです」と語り、「言葉がどれだけ私たちを制約しているか思い描いて欲しい」と述べた。

 聴講者は玄侑氏の一言一言に頷きながら話に聞き入っていた。