シンポジウムの様子
 

シンポジウム参加者の記念撮影の模様
 
 
外務省「日中知的交流支援事業」
第2回日中エネルギー戦略学術シンポジウム開催
 
 2005年1月28日(金)立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)ローム記念館において、第2回日中エネルギー戦略学術シンポジウムが開催された。このシンポジウムは、外務省から「日中知的交流支援事業」に認定され、立命館大学、立命館アジア太平洋大学、浙江大学が主催し、外務省、駐日中国大使館の後援により行われた。

 開会式では、初めに、立命館長田豊臣総長が立命館大学と中国の大学や教育研究組織との関わりを紹介し、これからのアジアの時代を日本と中国が共にリードしていくことの重要性を語った。次に、浙江大学張俊生発展委員会主席から浙江大学の紹介が行われ、石油消費料が多い中国と日本が協力していく必要性を語った。最後に、外務省経済局経済安全保障課竹若敬三課長が「日中間のエネルギー問題に理解が深められることを望む。政府に頼らず、こういったシンポジウムを通して、不可避の問題に対し日本と中国が協力していくことが必要である」と述べた。

 第1セッションは、まずキシン・フイ上海Tepia総合研究所常務副所長が、「中国の原発の現状と長期開発戦略」について、中国の原発施設を紹介し、長期にわたる目標を述べた。次に、小杉隆信立命館大学政策科学部助教授は、日本側、中国側両方のメリットに触れながら「CDM(クリーン開発メカニズム)から見た日中エネルギー協力の新たな可能性」について語った。それから呂文斌中国国家発展改革委員会環境と資源総合利用局課長が、「中国における省エネポテンシャルと政策課題」について述べた。呂氏は省エネに関する中長期計画や、省エネの目標などを紹介した。次に田中茂明日本貿易振興機構〈JETRO〉上海センター次長により、「中国の電力不足現象と日中協力の可能性」について説明がなされた。華東地域を例に電力不足問題の実状を述べ、問題点解決のための政策課題などが示された。その後、厳建華浙江大学エネルギー機械学院常務副院長(教授)が、「中国の経済発展とエネルギー消費の現状と今後の展望―浙江省を事例として」について語った。また石田聖独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構〈JOGMEC〉石油・天然ガス調査グループ主席研究員は、「日中の協力でできること〜エネルギー資源開発と環境改善〜」について述べた。

 2セッションは、「日中エネルギー安定供給に向けた政策提言」をテーマに進められた。まず濱川圭弘立命館総長顧問が、「An Accelerated Promotion of Solar Photovoltaic Technology in Japan and its Roadmap up to 2030」について述べた。次に茅陽一財団法人地球環境産業技術研究機構〈RITE〉所長により、「日本のエネルギー環境技術開発と日中協力」について語られた。また呉季松北京航空航天大学経済管理学院院長(北京五輪招致委員会最高顧問)は、「循環型経済と技術進歩による日中エネルギー安定供給への促進」について述べ、最後に周大地中国能源研究所所長によって、「中国の中長期エネルギー需給展望」について説明がなされた。

 第3セッションでは、「エネルギー分野における日中関係―協力か競争か―」と題した、パネルディスカッションが開かれた。ここでは日本側、中国側双方から様々な意見が出され、活発な議論が展開されていた。

 会場には、民間企業など幅広い分野から約130名が聴講に訪れ、熱心に聞き入っていた。