会場の様子
 

シンポジウムの様子
 
 
講演・シンポジウム「ベトナム戦争・枯葉剤、
そしてイラク戦争」 開催
 

2月19日(土)、衣笠キャンパス創思館にて、講演・シンポジウム「ベトナム戦争・枯葉剤、そしてイラク戦争」が開催された。このシンポジウムは、日本ベトナム友好協会京都府連合会が主催し、立命館大学国際平和ミュージアム、立命館大学人間科学研究所、立命館大学教職員組合の共催の下で行われ、「ベトナム・タイニンの地域リハビリテーションを支援する会」の代表で医師もある尾崎 望氏と立命館大学国際関係学部の安斎 育郎教授が講演を行った。

 講演の中で尾崎氏は、ベトナム戦争における米軍の枯葉剤散布によるエコサイド=生態系総破壊についての研究を発表した。尾崎氏は、「枯葉剤には猛毒のダイオキシンが含まれており、自然の半永久的な破壊はもちろんのこと、人間に対する害も非常に大きい。ベトナム戦争後、自然流産が戦前の約3倍増加し、多くの先天性奇形を持つ子供が生まれた。かつて話題となった『ベトちゃん・ドクちゃん』も、結合体双生児という先天性奇形を持ち生まれた子供たちである。現在でも厳密な疫学調査が行われておらず、米国は枯葉剤散布による遺伝子への直接的損傷を否定している」と述べた。

 ダイオキシンは遺伝的な毒性を持ち、戦時中には生まれていない子供、さらにはその孫の代までも障害を及ぼすことになる。現在ベトナムでは、障害を持った子供に対する早期治療やリハビリ施設が充実していないため、リハビリを行うことで防げる二次障害(脳性まひ)が予防できていない。また障害児の就学率は2%と、障害児は社会からのサポートを受けられない現状にある。

 安斎教授は、広島・長崎の原爆やイラク戦争におけるウラン爆弾の人体への悪影響・心的外傷の事例を取り上げ、戦争が終わっても残り続ける被害の現状について説明した。また、「戦争の事実を知ろうとすることが何より大切であり、自分に何ができるだろうかと問題意識をもって考えていくことが必要だ」と参加者へメッセージを送り、シンポジウムは閉会した。