向谷地氏、荻野氏、秋山氏による講演
 

会場の様子
 
 
人間科学研究所学術フロンティア推進事業公開企画シリーズ
「いま、スローな援助を考える@−『べてるの家』を招いて『交換モデル』による『非援助的な援助』のあり方を問う」開催
 
 2005年3月6日(日)、立命館大学衣笠キャンパス以学館1号ホールにて、文部科学省学術フロンティア推進事業「対人援助のための人間環境デザインに関する総合研究」、「いま、スローな援助を考える シリーズ第1弾−『べてるの家』を招いて〜『参加と自立』をめざした『非援助的な援助』とは〜」が開催された。

 この企画は、「交換モデルによる、コミュニティでの自立をめざした援助しない援助のあり方」をテーマに、自立と自己決定をめぐる援助の新しい形を学び、それを具体化している取り組みについて検討するシリーズ企画である。今回は、精神障害の分野でユニークな実践を展開している北海道浦河町の「べてるの家」から、向谷地生良氏(北海道医療大学看護福祉学部助教授・浦河べてるの家)、荻野仁氏(浦河べてるの家)、秋山里子氏(浦河べてるの家)を招き、講演が行われた。

 「べてるの家」では、精神障害者の方が同じコミュニティで生活し、共同生活を通して相互に理解しあうことで、障害を「治す」のではなく障害に正面から「向かい合う」環境をいかに作るかに主眼が置かれている。向谷地氏は、「対人援助というと、これまで×(バツ)から○(マル)へ『治す』という方法が取られてきたが、『べてるの家』では、×も○も受け入れている」と述べ、良い面と悪い面というように単純に二元化して対人援助を考えるのではなく、それらとバランスを取りながら生活する「べてる家」の取り組みについて報告を行った。精神障害者が、援助を受ける側と援助を行う側という二つの顔を持っており、まさに「非援助的援助」を実践する、新しい交換モデルといえる。

 会場には、各地から234名の参加者が聴講に訪れ、熱心に講演に耳を傾けた。

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