講義を行う浜松市の北脇保之市長
 

講義後の質疑応答の様子
 
 
リレー講義「自治体外交の挑戦 〜市町村長、わがまちの国際戦略を語る〜」
第8回「地域共生から世界都市へ−浜松市の国際戦略−」
 
 6月3日(金)、衣笠キャンパスにて「自治体外交の挑戦〜市町村長、わがまちの国際戦略を語る〜」の第8回目講義が行われ、浜松市の北脇保之市長が「地域共生から世界都市へ−浜松市の国際戦略−」をテーマに講義を行った。

 北脇市長は、「技術と文化の世界都市」を目指した市の取り組みについて触れ、浜松市には地域でその時代に応じた先端産業を生んできた歴史があり、それらは外からの企業誘致でなく、内発的に生まれていること、楽器製造のまちとしてだけでなく、音楽文化のまちとしても取り組みを進めていること、「国際都市」ではなく、何か世界に共通するものを育てると言う意味で「世界都市」を目指していることを説明した。

 浜松市は人口およそ60万人の都市で、ものづくりの実績があり、スズキやヤマハといった有名な企業がある。また、全国で最も多くのブラジル人が住んでいる市としても知られている。北脇市長は、1990年の「出入国管理及び難民認定法」の改正施行以降、「ニューカマー」と呼ばれる外国人が浜松市に多く住むようになったことに触れ、「まずは『外国人市民』も『市民』と認識しなければならない。一方で、生活上のトラブルがあるのも事実。外国人市民は定住化しつつあるのに、健康保険や年金の未加入が多いことは問題である」と指摘した。また、「いずれの問題も自治体のみでの解決は不可能で、国の制度面の取り組みがなければ解決しない。長い目で見たら、外国人の受け入れを避けられない国全体の課題と考えるべきだ」と強調し、「地域共生」は、地域を豊かにし、日本社会の活力を維持する上で重要だと結んだ。

 講義を受けた寺崎健太さん(国際関係学部3回生)は、「日本は、カナダやアメリカなどの国に比べて国内の外国人の数が圧倒的に少なく、多くの外国人が同じ町に住んでいるというような状況になれていない。そんな中で互いの共生に挑む市の努力や苦労がわかり、とても勉強になった」と感想を述べた。