(株)ソニー中村研究所取締役の濱田初美氏
 

会場の様子
 
 
経営戦略セミナー
第1回「グローバル戦略における中国ビジネスの課題と対応」開催
 
 5月28日(土)、立命館アカデメイア@大阪にて経営戦略セミナーが開催された。この戦略セミナーは、ビジネスの世界で活躍されている方々を対象に、企業の最前線における戦略課題を取り上げ、日常の企業経営の問題解決だけでなく、世界と日本のビジネスの未来を考えることを目的に開催される。第1回目には、(株)ソニー中村研究所取締役の濱田初美氏を講師に迎え、「グローバル戦略における中国ビジネスの課題と対応」をテーマにセミナーが行われた。

 冒頭で濱田氏は、日系企業の中国ビジネスでの成功例が極めて少ない点を指摘し、どうすれば日系企業が中国で成功するか、独自の「中国ビジネスの勝利の方程式」を用いて説明した。特に売掛金回収のシステム化の重要性については、中国企業の財務部門者は支払いを遅らせるほど優秀とされることを説明したうえで、現状では代金前払いや納品時払いが約二割しか行われていない点を指摘し、「信頼していない企業への代金回収形態は売掛から代金前払いや納品時払いへの変更を考えるべきである」と述べた。

 次に、人民元切上げ問題や労働力の不足問題、知的財産権問題などの中国ビジネスの様々なリスクについて述べた。特に労働力の不足問題ではインターネットの普及により地域間の所得格差が明らかになり、今まで低賃金で雇用できていた華南などの地域の人々が低賃金では働かない傾向になってきたことなどを説明した。また、知的財産権問題については、「ホンダは偽物販売の対策として偽物を作っていた会社と事業提携した」というユニークな解決策も紹介した。

 最後に、中国の経済成長について、「北京オリンピック開催前年の2007年まで続くであろう」という独自の見解を示し、これからの有望事業展開国としてベトナムを挙げた。その後、参加者からの質疑応答が行われセミナーは終了した。