左から安齋育郎氏(国際平和ミュージアム館長)、石子順氏(漫画評論家)
ちばてつや氏(漫画家)、森田拳次氏(漫画家)
 

講演会の様子
 
 
「漫画原画展‐中国からの引揚げ少年の記憶‐」記念講演開催
 
 5月29日(日)、立命館大学衣笠キャンパスにおいて2005年度特別展「漫画原画展‐中国からの引揚げ少年の記憶‐」の記念講演が開催された。講演では、漫画家のちばてつや氏、森田拳次氏と漫画評論家の石子順氏から、少年時代に経験した引揚げの様子や、引揚げ経験を持つ漫画家が描いた漫画についての話が語られた。

 講演の中でちば氏は、終戦を迎えると同時に生活が一変し、奉天(現在の瀋陽)から着の身着のまま1年間逃げ惑い日本に引揚げた体験を語り、その体験は、漫画家ちばてつやの原点であると述べた。森田氏は、冬には零下20度になる満州での生活の様子や終戦後、引揚げのため、屋根のない貨車にすし詰めになって乗り、何日もかけて港まで移動した体験を語った。石子氏は、引揚げで自身を含め多くの人が大変な思いをし、残留孤児や24万人の犠牲者を出したにもかかわらず、その事実があまり知られていないことに触れ、目を背けようとせず、過去に起きた事実をもっと知るべきであると指摘した。

 最後に質疑応答が行われ、参加者からは戦争体験から漫画に至るまで幅広い質問が寄せられ、3氏は真摯に、そして時にユーモアを交えながら質問に答えた。最後に会場から3氏に対して大きな拍手がおこり講演は終了した。

 「漫画原画展‐中国からの引揚げ少年の記憶‐」は国際平和ミュージアム1階中野記念ホールにおいて6月23日まで開催している。詳細は、こちら