講義を行う柿本善也知事
 

講義の様子
 
 
全国知事リレー講義
第8回「奈良県の特長と未来」
 
 6月7日(火)、衣笠キャンパスにて法学部法政特殊講義「全国知事リレー講義」の第8回目講義が行われ、奈良県知事の柿本善也氏が講義を行った。  

 冒頭、柿本知事は知事リレー講義の意義として「地域に具体的な関心を持ってもらう」ことと「新聞だけでは分からない地域の課題を知ってもらう」という2つの点を挙げ、具体的な話に入った。

 まず激動期の地方行政について、地方分担と地方分権を分けて考える必要性を強調し、地方分担とは「府県や市町村が請け負っている仕事」のことであると述べた。これに対して地方分権とは、国が握っている権限(法律)と財源とを地方に委譲することであるとして議論の混同を招かないように丁寧に説明した。また、現在の財政事情に鑑みて地方行政を「必要性の濃いものと薄いものとに選別」することの重要性について触れ、市町村合併や道州制の導入によって効率的な運営が行われる必要性について力説し、奈良県でも給料カットや人員削減に努めている旨を述べた。

 次に、現在国レベルで実施を呼びかけている「ノーネクタイ、ノー上着」のクール・ビズに対して、奈良県議会において7年前から導入していることを強調し、沖縄に次いで2番目に奈良県がこうしたエコ・スタイルを推進していると述べた。また報道の多くが東京に向けられている一極集中の現状について触れ、もっと地方に目を向けるべきだと強調した。

 この他にも知事は「地方自治は民主主義の学校」というフランスの政治学者トクヴィルの言葉を引き、「地域の繋がりと仲間意識」に基づいた地方自治体における住民の連帯や協力のあり方について説明した。また歴史ある奈良を「心の『青丹よし』の奈良県」として懐かしさと癒しを人々に与える奈良県でありたいと述べて、現在奈良県を住みやすくすることを目指した政策を実施していることについて触れた。

 最後に、知事は奈良県が打ち出す『新長期ビジョン 〜30年後の奈良県』について、「今すぐには変えられないけれども、当面の利害を忘れて変えていかなければならない」と、奈良県の遠い先の未来に対して思いを馳せた。

 今回の知事リレー講義はレジュメに加え、『平安遷都1300年記念事業』『奈良県立万葉文化館』のカラーパンフレットが配られ、古都奈良の歴史への取り組みの一端を窺い知ることができた。