華厳宗管長・東大寺別当の森本公誠氏
教室の様子
2005年度連続リレー講義「現代社会と宗教」
第10回目「イスラムから仏教を見る」
6月13日(月)、衣笠キャンパスにおいて、連続リレー講義「現代社会と宗教」の第10回目講義が行われた。華厳宗管長、東大寺別当を務める森本公誠氏を講師に迎え、「イスラムから仏教を見る」をテーマに、9.11テロ事件・イラク戦争など注目を浴びるイスラム教との相互理解の道を探った。
7世紀前半に創始者ムハンマドによって始められてからおよそ1400年経つイスラム教。信者数は約13億人といわれ、中国の人口に並ぶほどの信者を擁する巨大な宗教である。近年キリスト教圏であるヨーロッパにも信者を増やしていることについて、森本氏は「信者を今もって獲得する秘密はどこにあるのだろうか」とイスラムへの興味を語った。9.11テロ事件以降、一部の信者が起こす事件などから国際的に不審の目で見られているイスラムについて、歴史的背景からその実像を明らかにし、ジハード(聖戦)の意味やイスラムにおける生活などを説明した。
森本氏は宗教間の相互理解のためには相手がどういう考え方をしているかを知る必要があるとし、イスラム教の聖典「コーラン」を紐解いたことについて語った。また、イスラムの人々のコーランに対する信仰について紹介し、最近問題となったコーラン冒涜報道についても触れた。
いずれもイスラム教が人々の心をつかみ続ける理由を探り、現代社会において宗教が世界平和に向けて果たす役割を考えさせる内容となっており、会場に集まった約500人の聴衆は熱心に森本氏の話に聞き入った。
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