講義を行うVivian MAY氏
 

質疑応答の様子
 
 
リレー講義「自治体外交の挑戦 〜市町村長、わがまちの国際戦略を語る〜」
第13回「自治体外交の挑戦 〜自治体国際戦略論考“Challenging of Local Government Diplomacy, a Dialogue on International Strategy for Municipality”」
 
 7月15日(金)、衣笠キャンパスにて「自治体外交の挑戦 〜市町村長、わがまちの国際戦略を語る〜」の第13回目講義が行われ、オーストラリア・モスマン市・ジェネラル・マネジャーのVivian MAY氏が「自治体外交の挑戦 〜自治体国際戦略論考“Challenging of Local Government Diplomacy, a Dialogue on International Strategy for Municipality”」をテーマに講義を行った。

 モスマン市は、オーストラリアのシドニー郊外の海岸沿いにある。2万8千人の市民のうち、31%が外国生まれである。市長は、12人の市会議員の中から互選される。「ジェネラル・マネジャー」は、市業務執行の実務最高責任者であり、日本の市役所では「助役」にあたるポストである。

 冒頭、MAY氏は、「世界中の自治体は、ごみ処理、環境保全、教育、福祉など、共通の課題を抱えている。これらの課題を解決するために、同じ課題を抱えている他の自治体との交流などにより、積極的に情報収集することが大切である」と述べた。また、域内だけを視野に入れるのではなく、“Think globally, Act locally”という姿勢が必要であるとし、「世界中に共通する都市問題を解決するため、自治体職員は内外の国際会議、シンポジウムなどに積極的に参加し、先進自治体の優れたアイデアを入手し、参加者との情報交換をすることが大切である。国際会議や、姉妹都市交流などで培った人的ネットワークはきわめて重要。世界中から集めた有益な情報・知恵・アイデアを活用して、自分の自治体の都市問題解決を図らなければならない」と言及した。

 モスマン市では、MAY氏が英国での国際会議でヒントを得た「ごみ収集処理業務の外部委託」を実施して、大きな経費削減効果を上げている。合理化により削減された経費は、福祉などの財源に活用できる。MAY氏は、「より少ない経費で、より大きな効果を」をテーマに、業務を広く公開し、市場競争メカニズムに任せることで20%の経費削減を実現。業務外部委託や自治体サービスの向上など、モスマン市の構造改革を、率先して実践してきたことを紹介した。

 質疑応答では、会場からオーストラリアの多文化共生政策などについて質問が相次いだ。講義終了後も、MAY氏は、学生たちから寄せられる質問に丁寧に応答していた。