相國寺派管長の有馬ョ底氏
 

講義の様子
 
 
2005年度連続リレー講義「現代社会と宗教」
第14回目「伝統文化に生きる禅の思想」
 
 7月11日(月)、衣笠キャンパスにおいて、連続講義「現代社会と宗教」が行われた。第14回目講義となる今回は、相國寺派管長で、金閣寺・銀閣寺の住職も務める有馬ョ底氏が「伝統文化に生きる禅の思想」をテーマに講義をした。

 講義は、苦しみや逃れることができない死を禅思想ではどのように考え、克服していくかを説き、生きるとは何かを考えさせる内容となった。有馬氏は、煩悩が人の心を曇らせ、人々を苦しめると語り、煩悩を取り払っていくことが仏教の思想と述べた。そして、人々の心を曇らせる煩悩として「生老病死」を例に挙げ、人が生きるうえで必ず迎える死への恐怖などの煩悩を取り払い、真実の自己に目覚めることを主張した。

 最後の質疑応答の際、会場からは煩悩を取り払うことについて具体的にどのようにするのかなどの疑問が出され、有馬氏は「煩悩の中にいて、生きる道を探す。仏教はその場その場でどうするかを思考していく。どの人間も死を迎えるが、その中でどう死を活かすかを考えるのが仏教である」と答えた。