4氏からの報告後、討論やパネルディスカッションが行われた
 

中国社会科学院アジア太平洋研究所所長の張 蘊嶺氏
 
 
学術公開特別シンポジウム「東アジア経済共同体構築の可能性」開催
 
 10月14日(金)、びわこ・くさつキャンパス(BKC)において、学術公開特別シンポジウム「東アジア経済共同体構築の可能性」が開催された。本シンポジウムは、2006年4月の経済学部国際経済学科・経営学部国際経営学科開設を記念して、立命館大学社会システム研究所の主催で行われた。第1回「東アジアサミット」の開催を2ヵ月後に控え、日本と世界の経済ならびに国際ビジネスの今後の展開に大きな影響を与える「東アジア経済共同体」の可能性について、共同体設立において中核三国になるであろう日本・中国・韓国から招かれた4名の報告者が、それぞれの展望を語った。

 まず、独立行政法人経済産業研究所所長の吉冨 勝氏より、「東アジア経済共同体の理念と進化過程―EUとの違い、独自の戦略―」をテーマに報告が行われ、東アジア統合の経済的基盤や東アジア共同体の目的、理念などについて語った。

 続いて中国社会科学院アジア太平洋研究所所長の張 蘊嶺氏は「東アジアのFTA(自由貿易協定)の将来展望」をテーマに、東アジアのFTAについて、EUとの相違点やロードマップなどについて説明し、「東アジア共同体は構想だけでなく、実際に行動していくことが必要である」と述べ、日中間の協力の重要性を強調した。

 また、韓国対外経済政策研究院院長の李 景台氏は、東アジア共同体構築のビジョンやゴール、また研究機関の役割などについて報告を行った。李氏は、FTAからスタートして共通市場をつくるなど、より進化した共同体をつくる必要性を語った。

 最後には、関下 稔氏(日本国際経済学会会長・立命館大学国際関係学部教授)が「東アジア経済共同体への道と課題」をテーマに、グローバル化の進展と東アジアや、グローバル経済の生産・流通システムなどについて語り、その後、4名の報告をふまえて討論やパネルディスカッション等が行われ、シンポジウムは幕を閉じた。

 会場には、幅広い分野から多数の人々が参加しており、配られたレジュメにメモをとるなど、熱心に耳を傾けている姿がうかがえた。