弁士の澤登翠氏による講演の様子
 

映像に合わせ、楽団カラード・モノトーンの生演奏が行われた
 
 
「阪東妻三郎独立八十年」上映会 開催
 
 12月18日(日)、衣笠キャンパスにてアートリサーチセンター主催による無声映画の上映会が行われた。「−無声映画、等持院に還る!−第六弾 阪東妻三郎独立八十年」と題したこの上映会は、弁士として活躍している澤登翠氏の講演を挟んで、阪東妻三郎主演の「逆流」と「雄呂血」の2作品を上映した。

 はじめに上映された「逆流」は、阪東妻三郎出演の作品の中では、まとまった形で残っているもので最古の主演作である。主人公の身辺に降りかかる世の中の不条理、そしてそれに対する反逆の結果、最後には虚無感のみが残るものであった。

 次に澤登翠弁士による講演が行われた。講演では、阪東妻三郎がいかに美しく、魅力的な役者であること、彼の出演した作品が当時は題材としてあまり取り上げられなかった恋愛模様が表現されていたことなど、当時としては画期的な映画であったことが述べられ、澤登弁士の阪妻(阪東妻三郎)への熱い思いが語られた。

 最後に阪東妻三郎の代表作である「雄呂血」が上映された。「逆流」にも見られた不条理や虚無感が描かれ、また後半部分の中心である剣戟のシーンは、フランス映画の影響を受けてフラッシュと呼ばれる技法が使われた。これらの印象的な作品と、映像に合わせての楽団カラード・モノトーンの生演奏に、会場に訪れた様々な世代の来場者は、上映を楽しんでいた。