シンポジウムの様子
約290名もの参加者が集まった
第1回文化遺産防災シンポジウム 開催
12月2日(金)、衣笠キャンパスにおいて、第1回文化遺産防災シンポジウム「文化遺産の防災―空間情報の分析をめぐって−」が開催された。今回のシンポジウムは、学術フロンティア推進事業・21世紀COEプログラム・ハイテクリサーチセンター整備事業主催のもと、文化遺産の防災を空間情報からとらえることを目的に行われた。
シンポジウムの開催にあたり、立命館大学文学部の吉越昭久教授よりこの目的や趣旨に関する説明があり、その後5件の講演が行われた。まず、京都大学防災研究所の田中哮義教授から、「歴史都市の地震火災延焼シミュレーション」と題する講演があり、地震火災被害のリスクを適切に評価できる延焼予測モデルが必要であることが指摘された。次に行われた本学理工学部の江頭進治教授の講演「崩壊・土石流のシミュレーション」では、シミュレーションの結果から土石流対策には、構造物を用いたハード対策・防災力の向上などのソフト対策が重要あることが述べられた。また、本学理工学部の土岐憲三教授は、「文化遺産のビジュアリゼーション」と題する講演の中で、京都の歴史的建造物の被害などを可視化する方法を考案し、その成果を示した。さらに、本学文学部の中谷友樹助教授は、講演「歴史都市京都の文化遺産をめぐるGIS」の中で、GISを用いた文化遺産の時空間モデルの可能性に言及した。最後に、国際日本文化研究センターの宇野隆夫教授は、「埋蔵文化財とGIS」と題する講演で、防災研究に用いるためには、埋蔵文化財の情報をGIS上で活用できるようにしなければならないことを強調した。以上の講演の後、本学歴史都市防災研究センターの益田兼房教授が、それぞれの講演に対するコメントを述べ、シンポジウム全体を締めくくった。
会場では、約290名もの参加者が熱心に講演に耳を傾け、文化遺産の防災における空間情報からのアプローチの重要性をあらためて認識することができた。
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