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全国知事リレー講義
第10回特別フォーラム「官と民、国と地方」
 
 12月6日(火)、衣笠キャンパスにて、法学部法政特殊講義「全国知事リレー講義」第10回講義が行われた。今回は特別フォーラムとして構想日本の加藤秀樹氏、元岐阜県知事の梶原拓氏、元宮城県知事の浅野史郎氏の3名が三位一体改革(@国庫補助金の削減、A国から地方への税源移譲、B地方交付税の見直し)などについてディスカッションを行った。

 冒頭、加藤氏は三位一体改革について「今回の合意により3年間で4兆円の削減が見込めるが、全体では40兆ほどの補助金を出しているので、改善されるのは全体のほんの1割にすぎない」と説明、また浅野氏は国と地方におけるお金の関係を仕送りとアルバイト代に例えて説明し、受講者に三位一体改革についての解説を行った。その中で浅野氏は「三位一体改革によって『補助金を削る』と言われるが、本当は『補助金付きの施策をやめさせる』ということである。補助金を減らして税源を移譲しても、根本的な問題は解決していない」と、三位一体改革の問題点を指摘した。

 また、梶原氏は地方分権について「地方分権社会はすべて自己責任社会である。例えば山道ひとつにしても、日本では山道で怪我をすると『安全が確保されていない』と行政の責任になる。しかし、外国では自分の責任で通るのが当たり前であり、怪我をしても自分の責任となる。行政に頼らず住民一人一人が自らの責任で物事を行うことが、結果として全体の負担を軽くする」と述べ、三位一体・地方分権を進めることで、社会に潜む様々な問題が顕在化するのではないかと提起した。加藤氏の「自己責任では住民に反対や甘えがあるのではないか」という問いかけに、梶原氏は「何でも行政任せにすると、税金は増える一方。住民一人一人の責任で物事を行うことが、住民の税金の負担を軽くすることにつながる」と訴え、住民の理解が得られている状況を説明し、浅野氏も「住民の甘えはあらかじめ想定している。霞ヶ関の役人には選挙の洗礼はないが、私たちには4年に1度の選挙がある。だからこそ、住民の要求は常に気がかりである」と述べた。

 講義を受講した石塚貴也さん(法学部2回生)は「浅野さんが国と地方の関係を親と下宿している子供の関係として例えることによって、明確に三位一体改革を理解することができた。国と地方の関係がこれからどのように変化していくか。これから自分たちの生活に関わってくるので軽視できない問題だと感じた」と感想を述べた。