花王前会長の常盤文克氏
 

シンポジウムの様子
 
 
第1回経営管理研究科開設記念シンポジウム開催
 
 12月3日(土)大阪梅田スカイビルにて、花王前会長の常盤文克氏を招いて、「異質の知を融合する経営 ―顧客、価値、文化の創造―」と題するシンポジウムが開催された。

 記念講演「質のモノづくり」において、常盤氏は、今日の勝ち組企業が独自の「質」を持っており、他面、消費者も、もの・サービスに「質」を求めるようになっていると強調、グローバリゼーションの本質は、世界的レベルで独自の質を競い合うことであると解明した。また、「質」を創るには、@異質と出会うこと、A仕事を選び捨てること、B選んだ仕事を育て変態を遂げること、C選んだモノを拡げることが必要であり、そのヒントは各地で頑張る元気な中小零細企業に見いだせると、実例をあげて紹介。さらに、20世紀に獲得した「西洋・欧米の知」と、「東洋の知」を融合して、第三の「知」を創り出すことが求められており、経営管理研究科も「立命館らしい知の創造が必要」と語った。

 シンポジウムでは、杉山慎策・経営管理研究科教授(元日本ロレアル副社長)が、「日本企業のモノづくりにおけるイノベーション力は世界最先端だが、ブランドマネジメントでは欧米に後れをとっている」という点を指摘した。谷口正和・経営管理研究科教授(ジャパンライフデザインシステムズ代表取締役)は、「21世紀の新潮流は、自らの足下に立ち返り、本来的に追求したかったことに取り組み直すことが必要で、@時差、Aスパン、B場、C人の違いにこだわった自らのポジショニングを再考すべきである」と強調した。また、「モノ・サービスを通じて顧客と対話を繰り返すことがブランドを築くことになるとすれば、“Think locally, Act locally”という考え方が改めて重要になる。世界最高の顧客に目線をすえて、ローカルの積み重ねをすることが、グローバル・ブランドにつながるのではないか」と論じた。このような質を重視した経営を行うには、「コト」(ロマンや夢)を企業目標として明確に掲げ、これを推進する仕掛けをつくることが重要で、それぞれの組織に合った生き方・経営を追求すべきであるということや、社会生態の変化を捉えることこそがマーケティングの基礎にある、と議論が進み、実践の重みに裏付けられたマーケティング論の展開が行われ、深みのあるシンポジウムとなった。

 今後開催される第2回(12月10日開催)と第3回(1月14日開催)のシンポジウム詳細HPはこちら