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世界中の学生と地球の未来について語り合った日

2002世界学生サミット 『人間の安全保障』と『持続可能な発展』をいかに確立するか:青年・学生の役割
世界からのメッセージ
2002 World Students' Summit

国連事務総長  コフィ・アナン 氏
国連人間の安全保障委員会共同議長(前国連難民高等弁務官) 緒方貞子 氏
大分県知事 平松守彦 氏



国連事務総長
コフィ・アナン 氏

 ご出席の皆さん、特に期間中のプログラムを考案しサミットの準備に中心的な役割を果たした学生の皆さんに対し、サミット開催に際してご挨拶できることをわたしの喜びとします。
 皆さんが今回取り上げたテーマである「『人間の安全保障』と『持続可能な発展』をいかに確立するか:青年・学生の役割」は、現在、まさに時宜を得たものであります。人間共同体の構成員である私達は、地球環境の状況と私たちの生活の質についての多様な選択に迫られています。一つの可能性は、私たちが環境に対する責務と持続可能な発展についてようやく道をつくりつつあることにあります。しかし同時に、私たちは賢明な道を選ばず、天然資源を浪費し、不安定性のリスクを高め、将来の世代が持ちうる選択肢を制限してしまうという可能性も持ち合わせているのです。
 先月ヨハネスブルグにおいて開催された「持続可能な開発に関する世界サミット」において、世界中の指導者は、将来の世代への資源と生態系を保護するための開発および経済発展への協力を表明しました。また2年前、世界中の指導者たちはミレニアム宣言を採択しました。この宣言において、指導者たちは、非人間的な貧困、戦禍、そして人間の活動によって取り戻すことが出来ないまでに損傷された地球で生活する危険から人々が免れるよう、努力を惜しまないことを約束しました。皆さんの世代は、私たちの世代に、これらの公約を遵守させなければなりません。
 将来皆さんが受け継いでリーダーとなるこの世界を形作る取り組みについて、既に皆さんが参加していることは非常に励みとなります。皆さんが、これからもこのテーマに関心を持ち、国連が現在進めている世界的な使命である全世界の人々がより平和で公平な生活を継続的に確立することに対する支援を希望します。このサミットが協調の精神の下に成功することをお祈りしています。


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国連人間の安全保障委員会共同議長(前国連難民高等弁務官)
緒方貞子 氏

 2002年世界学生サミットの参加者と主催者のみなさん

 2002年世界学生サミット開催おめでとうございます。サミットに向けたメッセージを参加者と主催者にお伝えできることを光栄に思います。
 今日、私たちは、人類の歴史の中で最も急速に、最も劇的に社会的・経済的変化が進む時代を生きています。グローバリゼーションは、情報技術、交通、通信の進歩さらには、人、金、商品、サービスがより容易に流動することになったことで、多くの人々に富と機会そしてよりよい生活をもたらしました。
 しかしながら、同時にグローバリゼーションは、突発的な経済危機や国境を越えて組織された犯罪の増加、環境の悪化等によって、しばしば社会の弱者層に負の影響を与えてきました。さらに、冷戦の終結とそれに続いて生じた内戦の続発の結果、主として軍事力に支えられた従来の国家の安全保障のみでは、もはや世界中の人々の安全と繁栄は保証され得ないことが明らかになってきました。
 私は、国連難民高等弁務官の任にあった10年の間に、ボスニア、コソボ、チェチェン、グルジア、シエラレオネ、ブルンジ、ルワンダ、その他の地域における何百人もの国外や国内での難民に直面しました。その人たちの大部分は、国家間の紛争よりも内戦による犠牲者でした。さらに、昨年の9月11日の攻撃により、テロリズム自体が新たな脅威であり、軍事力や政府による統治のみでは、阻止できないことが歴然となりました。
 このような変化や世界が抱える問題への取り組みを呼びかけるため、コフィ・アナン国連事務総長は、2000年国連ミレニアムサミットに「われら人民」という報告書を提出しました。その中で、アナン事務総長は、人々は、「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」の両者を得ることが必要だと強調し、これから数年間、これらの課題が国連の優先課題であると宣言しました。安全保障という概念が変化している世界で、これらの目標を達成するためには、個人や集団、地域社会に、より一層焦点をあてた新しい方策が必要であり、そのことはまた国家の安全保障を補完するものであるということがますます明らかになってきました。
 「人間の安全保障」という考え方は、このような背景のなか重要性を増しています。このような理由で、昨年、アマルティア・セン教授と私が共同議長となり「人間の安全保障委員会」が発足しました。同委員会の最大の課題は、国際社会に対して、広範かつ重大な脅威からいかにして人々を守るか、そしてまた人々が自らを守り、自らの可能性を実現するためにいかなる力をつけさせるか、という問いに答えることです。
 このような状況において、「人間の安全保障」は、国際社会の長期的な目標である「持続可能な発展」と密接に絡みあっています。ミレニアム開発目標(MDGs)の多くの課題は、「人間の安全保障」と「持続可能な発展」の両方と深く関連しています。前者は、人間の生命を危険から守ることに重点をおき、後者は、長期的な人類の繁栄を強調しているものの、両者とも明らかに人々の生存、人格、尊厳を維持する能力を基本としています。どちらかが達成されなければ、もう一方も達成されないでしょう。
 あなたがたのような若者が「人間の安全保障」、「持続可能な発展」に関心を寄せ、共通の未来のためにそれぞれの役割を議論するということは、私にとって大きな励みとなります。これらの問題が、私たちそして次世代の人々全てに影響を及ぼす大きな挑戦であるということをどうか忘れないで下さい。
 このサミットの参加者が、議論を超え、特に深刻な危険に瀕する人々のために実社会で変化を起こす行動をとってくれることを切に願っています。


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大分県知事
平松 守彦 氏

 大分県知事の平松であります。2002年世界学生サミットに世界各国から参加された皆さん、ようこそ大分県においで下さいました。心から歓迎を申しあげます。
 大分県は、面積6400平方キロメートル、人口122万人、一人あたり県民所得は2万4千$でイギリス・ドイツの水準に匹敵します。美しい自然が県民の誇りで、日本一の温泉を求めて世界中から観光客が訪れますが、中でもここ別府は日本で一番有名な温泉地です。
 私は1979年に知事に就任して以来、地域活性化のために一村一品運動を提唱しました。それぞれの地域の誇りになる産品を作り出し、全国、世界に通用する産品に育てていこうという運動です。
 この運動には三つの原則があります。
 第一番は、ローカルな産物でありながら、グローバルにも評価される。日本市場にも世界市場にも評価されるものを作ろうということです。ここにありますしいたけは大分県の特産品で全国シェアの24パーセントを占め、品質も日本一と評価されています。このようにローカルな特産品であって、しかも日本市場にもまた世界市場にも通用する産品を育てる。私は21世紀は、グローバルにしてローカル、グローカリゼーションの時代であると考えています。この一村一品運動は、グローカリゼーションの時代に即応した産品づくりをめざしています。
 第二番目は、何を一村一品にするかは、それぞれの地域の住民が自分たちで決める。県はそれに補助金を出したりはせず、マーケティングなどで自立を援助します。あくまでも自分の意志でやっていくというローカルイニシアティブの運動です。かぼすは大分県でしか作っていない柑橘類で、レモン、またはフィリピンでいうカラマンシーというようなものです。これを新たにかぼすジュースに加工することで付加価値を高めて全世界に売り出す。県は、このように創意工夫をすること、これに対するマーケティングそして技術開発について支援します。
 第三番目は、人材の育成です。それぞれの地域で農業や水産業を営み、中小企業で工業製品を作っている人が、ローカルにしてグローバルなその地域固有の産品づくりに取り組むようにすることが重要です。私は、自分たちの地域を活性化するにはどうしたらいいかということを考える学校を県下各地域に設立しました。生徒は昼働き、夜勉強しますが、3千人近い卒業生が県下各地域で特産品を作っています。現在、一村一品の数はこの地図にあるように338、特産品の販売額は360億円だったものが、この二十年間で4倍の1410億円に拡大しています。
 この運動は、韓国、中国、フィリピン、タイ、カンボジア、ラオス、インドネシアなど世界各国・地域の指導者の注目を集め、マレーシアのマハティール首相やタイのタクシン首相、フィリピンのラモス前大統領も大分を訪れて一村一品運動を視察しました。その結果、現在ではマレーシアのケダ州や中国の江西省、甘粛省、陝西省、上海市など世界各地で一村一品運動が進められています。フィリピンではワンビレッジ・ワンプロダクト(One Village, One Product)とか、ワンバランガイ・ワンプロダクト運動(One Barangay, One Product)と呼ばれ、タイではワンタンボン・ワンプロダクト運動(One Tambon, One Product)と呼ばれています。
 これからは国と国との外交も大切ですが、一村一品運動のように地域の活性化問題について大分県とそれぞれの地域の住民が直接交流する草の根外交が、アジアの平和、世界の平和のために大変大切なことです。
 大分県は2002年FIFAワールドカップを開催しました。このことによって世界各国からサッカーチームがやってくる、将来は日韓中のアジアカップを大分でもやりたいと考えています。これから大分県は、スポーツ、文化そして地域の活性化の面でもアジア各国と交流していきます。私はこれをローカル外交と言っています。この意味で地域住民と地域住民の経済交流政策のひとつとして、一村一品運動をこれからも積極的に進めていきたいと考えています。
 私はこの逆さまの地図のように、九州から中国、フィリピン、インドネシアなどの地域が連携するアジア太平洋経済圏構想を唱えています。これからは、アジア太平洋地域が世界の成長センターです。この地域に経済発展と平和をもたらすためには、一村一品運動のような地域住民と地域住民とのローカル外交が一番効果的です。
 アジア、そして世界中の学生の皆さんが大分県の立命館アジア太平洋大学で勉強し、大分県の地域活性化運動である一村一品運動にも関心を持っていただく。そして帰国後それぞれの地域と大分県との交流が深まり、新しい大きな経済圏が生まれ、それぞれの地域が相互利益・相互理解のもとに発展していくということになれば幸いです。
 私のこれからのアジアのためのローカル外交、そしてまた一村一品運動についての考えを申し上げた次第です。皆様方のご理解をお願いします。



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