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■ 大分県知事
平松 守彦 氏
大分県知事の平松であります。2002年世界学生サミットに世界各国から参加された皆さん、ようこそ大分県においで下さいました。心から歓迎を申しあげます。
大分県は、面積6400平方キロメートル、人口122万人、一人あたり県民所得は2万4千$でイギリス・ドイツの水準に匹敵します。美しい自然が県民の誇りで、日本一の温泉を求めて世界中から観光客が訪れますが、中でもここ別府は日本で一番有名な温泉地です。
私は1979年に知事に就任して以来、地域活性化のために一村一品運動を提唱しました。それぞれの地域の誇りになる産品を作り出し、全国、世界に通用する産品に育てていこうという運動です。
この運動には三つの原則があります。
第一番は、ローカルな産物でありながら、グローバルにも評価される。日本市場にも世界市場にも評価されるものを作ろうということです。ここにありますしいたけは大分県の特産品で全国シェアの24パーセントを占め、品質も日本一と評価されています。このようにローカルな特産品であって、しかも日本市場にもまた世界市場にも通用する産品を育てる。私は21世紀は、グローバルにしてローカル、グローカリゼーションの時代であると考えています。この一村一品運動は、グローカリゼーションの時代に即応した産品づくりをめざしています。
第二番目は、何を一村一品にするかは、それぞれの地域の住民が自分たちで決める。県はそれに補助金を出したりはせず、マーケティングなどで自立を援助します。あくまでも自分の意志でやっていくというローカルイニシアティブの運動です。かぼすは大分県でしか作っていない柑橘類で、レモン、またはフィリピンでいうカラマンシーというようなものです。これを新たにかぼすジュースに加工することで付加価値を高めて全世界に売り出す。県は、このように創意工夫をすること、これに対するマーケティングそして技術開発について支援します。
第三番目は、人材の育成です。それぞれの地域で農業や水産業を営み、中小企業で工業製品を作っている人が、ローカルにしてグローバルなその地域固有の産品づくりに取り組むようにすることが重要です。私は、自分たちの地域を活性化するにはどうしたらいいかということを考える学校を県下各地域に設立しました。生徒は昼働き、夜勉強しますが、3千人近い卒業生が県下各地域で特産品を作っています。現在、一村一品の数はこの地図にあるように338、特産品の販売額は360億円だったものが、この二十年間で4倍の1410億円に拡大しています。
この運動は、韓国、中国、フィリピン、タイ、カンボジア、ラオス、インドネシアなど世界各国・地域の指導者の注目を集め、マレーシアのマハティール首相やタイのタクシン首相、フィリピンのラモス前大統領も大分を訪れて一村一品運動を視察しました。その結果、現在ではマレーシアのケダ州や中国の江西省、甘粛省、陝西省、上海市など世界各地で一村一品運動が進められています。フィリピンではワンビレッジ・ワンプロダクト(One
Village, One Product)とか、ワンバランガイ・ワンプロダクト運動(One Barangay,
One Product)と呼ばれ、タイではワンタンボン・ワンプロダクト運動(One Tambon, One
Product)と呼ばれています。
これからは国と国との外交も大切ですが、一村一品運動のように地域の活性化問題について大分県とそれぞれの地域の住民が直接交流する草の根外交が、アジアの平和、世界の平和のために大変大切なことです。
大分県は2002年FIFAワールドカップを開催しました。このことによって世界各国からサッカーチームがやってくる、将来は日韓中のアジアカップを大分でもやりたいと考えています。これから大分県は、スポーツ、文化そして地域の活性化の面でもアジア各国と交流していきます。私はこれをローカル外交と言っています。この意味で地域住民と地域住民の経済交流政策のひとつとして、一村一品運動をこれからも積極的に進めていきたいと考えています。
私はこの逆さまの地図のように、九州から中国、フィリピン、インドネシアなどの地域が連携するアジア太平洋経済圏構想を唱えています。これからは、アジア太平洋地域が世界の成長センターです。この地域に経済発展と平和をもたらすためには、一村一品運動のような地域住民と地域住民とのローカル外交が一番効果的です。
アジア、そして世界中の学生の皆さんが大分県の立命館アジア太平洋大学で勉強し、大分県の地域活性化運動である一村一品運動にも関心を持っていただく。そして帰国後それぞれの地域と大分県との交流が深まり、新しい大きな経済圏が生まれ、それぞれの地域が相互利益・相互理解のもとに発展していくということになれば幸いです。
私のこれからのアジアのためのローカル外交、そしてまた一村一品運動についての考えを申し上げた次第です。皆様方のご理解をお願いします。
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