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エクステンションセンター
弁理士試験に合格
阿部田 高光さん
ユビキタス技術で
未来社会をデザインする
情報理工学部情報システム学科
西尾信彦教授
「学」バックナンバー
#2 理工学研究科 並河祥司 さん
#3 経営学研究科 劉 莉 さん
#4 社会学研究科 池田さおり さん
#5 経済学研究科 中川賢司 さん
#6 政策科学研究科 藤井えりの さん
#7 国際関係研究科 佐伯廣謙さん
#8 文学研究科 石川ちひろ さん
#9 情報理工学部 野口尚吾 さん
RS Webアンケート
法学研究科 博士課程前期課程1回生
平井利枝さん
2004年、2005年 三木義一教授 税法ゼミ生

立命館大学での正課の学びを取り上げる新企画「学」。研究室やゼミでの学びの内容や学び方を紹介します。先輩たちの経験を自らの学びに役立ててください。

法学部へ進学した理由は、高校のときから文系の科目が好きで、弁護士をはじめ多様な法律関係の業種に進路が開かれている学部だったことです。

1回生の基礎演習では、新聞を読んで法学に関すること、例えば外国人の参政権の問題などを取り上げ、グループで調べて発表することで法学に親しむことから始まりました。この時点では、民法が私たちの生活に身近だということで、民法に関心を持っていましたが、後の研究分野となる税法にはまだ関心がありませんでした。

2回生の半ばごろになって、幅広い分野に関して勉強を進めようということで、民法や憲法をエクステンションセンターの講座でも学んでいました。そのころ、親が「税理士」であったこと、「税理士」がまわりの方と長期的な信頼関係を構築していくことでその人たちとの結びつきを強めていくことが出来る職業であるということもあり「税理士」になりたいと思うようになりました。「税理士」になるためには、税法について学ぶ必要があります。そこで三木義一先生のゼミで税法について学ぶことを決めました。

そのゼミでは毎年他大学と合同でディベート大会を行っています。4回生時のディベート大会のテーマであった「違法支出は法人税法上損金として認めることができるかどうか」を卒業論文のテーマとして設定しました。違法支出とは、暴力団に支払うみかじめ料などのような元来違法な支出のことを指し、そのような支出を損金として認め、法人税の課税対象外とすることの是非について考察を行いました。

3回生時のゼミでは、前期は税法に関する知識の吸収のために与えられたテーマに関してプレゼンテーションを行い、後期はディベート大会に向けてテーマを絞って深く追求していくというスタイルでした。ディベート大会のテーマが発表されてからは、朝の9時から夜の10時まで共同研究室に缶詰になって準備を行うこともあり、ゼミの時間には自分たちで作成した立論を発表し、それに対して先生に指導していただくという形で学びを深めていきました。

4回生の時は、同じゼミに所属する3回生の発表などを手伝ったりしながら、後期は再びディベート大会に向けて学びを深めました。ディベート大会では「違法支出は法人税法上損金として認めることができるかどうか」について、賛成と反対の両方の立場で意見を述べる必要があります。賛成側の意見としては法人税法22条3項で損金についてその適法性を明文で要求していないことなど、反対側の意見としては法律は違法な行為を容認することは出来ないなどの理由をもとに約1,000字程度の立論を組み立てました。その準備段階で何倍もの量の立論を書きましたが、時間の制限があるので重点を絞ってまとめなければなりませんでした。つまり、ディベートの立論に入れられなかった部分も多くあり、その部分を含めてまとめなおすことが卒業論文の作成につながりました。

先生からは、立論に「正義がない」「条文上の根拠がない」と指摘されたことが印象的です。指摘されたことを直そうとしましたが、なかなか指示通りに修正することが出来ないときもありました。自分としては、「これで最終型」と思って提出しても、「まだ甘い部分がある」と言われ、途方に暮れることもありましたが、私が所属していたゼミでは大学院生の先輩達とつながりが強く、その先輩達にアドバイスを求めてたこともありました。それだけ厳しく指導していただいたおかげで4回生のときのディベート大会では4大学が参加した中で優勝することが出来ました。ディベート大会に向けての学習は大変だったけれども、その分身に付いたと思います。

私は、「違法支出は法人税法上損金として認めることができるかどうか」ということを研究テーマに卒業論文を書きました。これは、たくさんある自分の言いたいことを踏まえながら要点をまとめて書いていく作業の練習になりました。

大学院では「ストックオプションで得た所得をどのように課税すべきか」について研究していきたいと考えています。「ストックオプション」とは「企業の経営者や従業員が将来一定の価格で一定期間内に自社株を買う権利」です。このテーマは3回生のときのディベート大会で他のチームが取り組んでいたテーマで興味を持っていました。最高裁判所でも給与所得とみなすとの判例が出ているものですが、他の捉え方もあるということを考察していきたいと思っています。

大学院を修了した後は、税理士事務所に就職し、経験を積み、企業の専属税理士になるか、自分で事務所を設立したいと考えています。

論文の作り方―平井さんの場合

回生 授業スタイルと研究方法キーワード
1回生 1チーム6人ぐらいで図書館のグループ閲覧室で資料をまとめ、発表しました。
キーワード ex) 外国人の参政権、
基本的人権、
戦争放棄
…etc.
2回生  
キーワード ex) 簿記論、
財務諸表論
…etc.
3回生 前期は、税法に関するプレゼンテーションを行いました。
後期は、ディベート大会のテーマに準じて、毎週そのディベートの立論を発表し、ゼミ担当の先生に指導していただくスタイルでした。
キーワード ex) 消費税法、
法人税法、
公益法人への課税の是非
…etc.
4回生 4回生は3回生のプレゼンテーションやディベートを聴講し、質問するスタイルでゼミが行われました。
ディベート大会でも3回生を指導する立場として参加し、学びを深めました。
ディベート大会のために深めた知識をさらに広げ、まとめなおすことで卒業論文を作成しました。
キーワード ex) 違法支出の損金算入の是非、
大学院の先輩のアドバイス
…etc.

研究成功の秘訣
―よりハイレベルな卒業研究のために

 

三木義一 教授

私のゼミでは、ディベートを中心に活動しており、4大学(立命館大学、静岡大学、青山学院大学、大阪府立大学)対抗戦と同志社大学との対抗戦をしています。3回生では自らが選手として、4回生では後輩の指導をし、それぞれの大会で優勝を目指しています。

平井さんは、私のゼミの中で3回生時には自らも選手としてディベートを頑張り、4回生では後輩の指導もしっかりしてくれた学生でした。「自ら考え、発言する」ということを大切にしている私のゼミを象徴するような学生だったといえると思います。

ディベートでは相手の理論をしっかり理解し、弱点を見つけ反論することが大切なので、平井さんには説得力のある反論をするように、常々アドバイスをしていましたね。

彼女の卒業論文は、各論点をきちんと踏まえて議論を展開している点、多くの論点を一面的でなく対立する立場の意見も充分に配慮した上で整理している点などが学部生の論文としては秀でている点ですね。

取材・文 皆木孝夫(政策科学部2回生)
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