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国際関係学部  桂良太郎 教授

■サービスラーニングとはどのようなものですか?

現在の社会には、さまざまなNPOやNGO、ボランティア団体が存在します。そのような市民社会の形成に重要な役割を果たすこれらの活動について学ぶことはとても大事ですが、これらの活動は教室の中で学ぶだけでは真に理解できるものではありません。そういった活動に実際に参加し、体験から学ぶ「サービスラーニング」が必要となってくるのです。教室で学ぶ知識に現場での体験が加わる事で、真の理解を得られるのです。アメリカで生まれたこの概念は、欧米ではすでに授業に取り入れられていますが、日本での知名度はまだ低いようです。しかし、国際交流、国際貢献を目指す学生にとってのサービスラーニングの重要性を考え、2006年度から授業として取り組んでいます。

■「ミュージアム」を活用して学ぶ

この授業では、立命館大学が所有・指定管理する「ミュージアム」にて“アクティブラーニング”を行います。多くの「ミュージアム」では「文化ボランティア」と言われる地域の方々がボランティアで運営や案内に携わっており、「ミュージアム」が市民社会に支えられているという側面があります。また、国際交流や国際貢献などは、地球規模で物事を考えていかなくてはなりません。この地球という言葉には面白い事が隠されています。“地球”を英語で書くと“EARTH”となり、教育(Education)や環境(Environment)の“E”と、幸福(Happiness)や健康(Health)の“H”を“ART”が結んでいます。地球で生活する人々は、芸術(ART)で結ばれているのです。

立命館大学には「国際平和ミュージアム」と「アート・リサーチセンター」という2つの「ミュージアム」や「末川記念会館」・「歴史都市防災研究センター」などの展示機能を有する施設があります。そして、この6月から「京都府立堂本印象美術館」の管理・運営も委託され、大学に関係するミュージアム群がさらに充実しました。これらで展示されている内容は、とても文化的な財産であり、これを大いに活用するべきだと考え、この授業の題材に取り上げました。

■気付きの社会学

実際にその場所へ行き、体験することによって、教室で勉強しているだけでは分からない、多くの事に気付きます。これを私は「気づきの社会学」と呼んでいます。実際にアクティブラーニングを行う事で、その現場から多くの問題や答えを見つける事が出来ます。この授業では、それら気付いた事について学生同士で感じた問題点や疑問点を話し合い、そして改善策をまとめ、プレゼンテーションを行って貰う予定です。フィールドワークは現場で学ぶ事ですが、アクティブラーニングは現場で「学生が積極的に」参加し、そして学んでいくのです。受け身ではなく、自ら参加していく事で、より大きな学びを得る事が出来るのです。

今回は国際平和ミュージアムでアクティブラーニングを行いましたが、学生には「子供・障害者・老人・外国人」という4つの視点を意識しつつ、展示を見てもらいました。しゃがんで展示を見る学生や、車いすに乗って展示を見て回る学生など、それぞれが工夫を凝らして展示を見ていました。このように何か意識を持って現場に行く事で、実に多くの問題点に気付くのです。そして、このアクティブラーニングを通じて分かった事や問題点をまとめ、「ミュージアム」への提言や提案を行う事で、「ミュージアム」と市民社会の関わり方が変わってくると思います。例えば、情報発信型の施設が出来れば、地域の方にとっても有益な施設となるでしょう。同じ「ミュージアム」でも、学生の視点を取り入れる事によって、より一層市民社会と強い関わりを持った「ミュージアム」を作る事が可能であると思います。

このことから、私はまさに「ミュージアム」は学生にとって「もうひとつの学舎(まなびや)」であると考えています。

写真:左から桂先生、戒田淳美さん、有村朱加さん、西脇圭子さん(政策科学部2回生)

教室で勉強するだけでなく、実際に現場に行ってみる学びの形が魅力的でした。また、サービスラーニングとは何かが気になって、受講登録を行いました。
実際に国際平和ミュージアムに来て、今までは何も感じなかった事が、別の立場になると不便であったり不親切であったりという事に気づきました。この新しい発見を改善につなげていきたいと感じています。

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