持続可能な環境を作るには、環境・経済・社会的公正、そしてこの3つの要素をつなぐための「作法」を身につけることが大切になると考えています。例えば、この講義では以前、商店街の再生を題材にし、その作法について考えました。現在の私たちの身の回りの状況を考えてみましょう。スーパーで売られている食品の多くには、トレーやビニール袋などが使われていますが、これらの商品を包装する類のものは、最終的にはゴミとなります。つまり、消費者である私たちは食品と一緒にゴミを買わされているんです。 一方で、商店街、たとえば個人商店の八百屋さんで地場産の野菜を買ったとしましょう。そこではトレーやラップはめったに使われません。ものを修理する専門店もあるので、消費と廃棄を繰り返すのではなく、循環型のライフサイクルが形成され、結果的に環境にも「良い場所」であると言えます。つまりフードマイレージ(※)の値を下げ、地産地消を実現し、そもそもゴミを出さないモノの買い方・売り方の提案が、商店街からできるのです。商店街が本来持つ地域とのつながりを活かした再生戦略の一つです。エコノミー(経済)に良いことは、エコロジー(環境)にも良い世界は確かにあるのです。今あるものの見方や捉え方を少し変えると新しい発想や「やるき」が生まれます。持続可能な社会を作り出す方法や発想、そしてそれを実践する確信とツボのようなものを、この講義を通じて学んで欲しいと思います。
*フードマイレージとは、食料 (=food)の 輸送距離 (=mileage)という意味で、重量×距離であらわす数値のこと
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