私自身も、自分が営業を担当しているとき、「向いていないんじゃないか」と思うことが何度もありました。自分では普通に話しているつもりなのに「ぶっきらぼう」と言われたり、「どうして怒っているの?」と聞かれたりすることがありました。それに、当時は少々口下手だったんですね。そこで、まずははっきりと意思を伝えることから始めようと、腹から声を出す練習を車の中でやり続けていたら、次第にその成果が表れ始めました。つまり、口先だけの話術やうわべの表情だけでなく、「自分の言葉で誠意を伝えられる」ということを実感できたのです。必ずしも「営業だから口がうまくなければいけない」ことはなく、それぞれ一人ひとりが持っている個性が発揮できればいいのです。誰にでも可能性はあります。だからこそ簡単にあきらめず、まずは、我慢して今の仕事を続けてみてほしいと思います。
現在は社長職に就かせていただいておりますが、これまでの経験を振り返ってみると、仕事をしていて困難と感じることや、乗り越えなければならない壁というものは必ず生じてきます。そんなときに私にとって一番支えとなったのは、父親の姿です。父は、私の就職活動が成功するようにお経を100回も続けて唱えてくれました。そして、その後まもなく、急死してしまったのです。実際に私も息子が就職活動を行う際にやってみたのですが、2時間半ぐらいかかり、50~65回目あたりが特に辛かった。そのとき、ようやく父がしてくれたことの意味の大きさがわかりました。「自分のためにこんなに愛情を注いでくれていたのか」と思うと、もっと頑張らなくてはいけないと思えるようになってきました。この経験が、いつも困難に立ち向かう原動力になっています。 |