「Rs be ambitious!」
河野秀美さん(1998年法学部卒業)外務省 国際協力局 人道支援室 外務事務官
経験は宝。多くの「宝」をみつけるために一歩踏み出そう
立命館大学を卒業し、さまざまなフィールドで活躍するOB・OGが
在学生の皆さんに熱いメッセージを送る「Rs be ambitious!」
今回は、外務省国際協力局人道支援室で活躍する河野秀美さん(1998年法学部卒業)にお話を伺いました。
大学時代、イスラエルやアメリカへの海外渡航をはじめ、さまざまな経験をされた河野さんに、
すべての物事を通じて「学ぶ」姿勢を持つことの大切さを語っていただきました。
(2008年7月10日掲載)

子ども時代に「兼高かおる世界の旅」というテレビ番組に影響を受け、海外の様々な国で暮らしてみたいという漠然としたあこがれを持ったことが外交官を目指したきっかけです。大学では法学部に入学し、憲法などを基礎から学びましたが、法学部の勉強は難しく、入学して間もなく入部した体育会馬術部の活動も忙しくなり、外交官を目指し勉強することに意欲を失ってしまいました。しかし、「とにかく大学でやりたいことは全部やってしまおう」という開き直りにも似た気持ちで、留学生との交流やアルバイト、習い事など、大学生活の中で「やりたい」と思ったことをかたっぱしから実行に移しはじめました。

 

3回生の夏からは、大学を1年間休学してアメリカのコミュニティカレッジに留学しました。そこでは主に番組製作などメディア業界への就職を視野に入れた授業を選択し、最後の3ヶ月間は地元のテレビ番組製作会社でADをしたり、国際マーケティング関係のインターンシップを経験しました。しかし、インターンシップを経験してみると、メディア関係は自分が将来を掛けてやりたいこととは違うと感じ、「本当に自分がしたいことは何なのか?」と改めて自問自答し始めたんです。そこで、一度自分の原点に戻ろうと、子ども時代に「アンネの日記」を読んで以来関心があったイスラエルに行くことにしました。軍やキブツ(※キブツとはヘブライ語で「共同体」のことで、イスラエルで発達した共同体社会のこと)のボランティアに参加し、エルサレムではパレスチナ人街を歩き回り多くの人に会い、色々な話を聞きました。

 

今思えば、これが私の人生の大きなターニングポイントでしたね。そこで受けた衝撃は今でも忘れられません。いつ隣国から武力侵攻されるかも知れない、という恐怖を感じながら生活するイスラエルの人々の生き方や、基本的な権利が保障されない中で苦しい生活を強いられたパレスチナの人々の生活を目の当たりにし、日本がどれほど平穏で、平和で、幸せな国なのかを実感しました。大好きな日本がいつまでも平和で豊かな国で有り続けられるよう、自分もその一助となる仕事がしたいと思い、もう一度外交官の仕事を目指す決心をしたんです。このように、自分の中で「外交官を目指す」という目標を再設定してからは、それを達成すべく心を改めて勉強に取り組みました。自分の目指すものを明確にし、それに向かって突き進むという経験も、自分の中で大きな糧となったと感じています。

 

 

 

外務省入省後は、本省で1年間の実務研修、インドでベンガル語の習得のための2年間の在外研修を受け、バングラデシュで約2年半の在外公館勤務を経験しました。バングラデシュ大使館では、広報文化担当として文化交流事業や日本人向けメールマガジンの発行に従事しました。2005年3月に帰国後は人道支援室に所属し、国連世界食糧計画(WFP)やユニセフなどと協力して津波や地震など大規模な自然災害や紛争後の復興、経済社会開発を支援する仕事をしています。これまで多岐にわたる仕事をしてきましたが、そのどれもが私を成長させてくれました。その中には大変だけどもやりがいのある仕事がある一方で、退屈だと思った仕事がないわけではありません。

 

しかし、いずれの仕事からも学ぶべきものはたくさんありましたし、なによりも一つひとつが大切な経験でした。仕事はこなすものではなく、学んでいくものです。現在、3年離職問題が社会に波紋を投げかけていますが、自分のやりたいことが出来る仕事に移ることは決して悪いことではないと思います。しかし、どんな仕事でもその体験を通じ「自分が確固たる何かを得ることができたか?学んだか?」ということを自分に問いかけ、それを明確にしたうえで転職をしてほしいと思います。どんな仕事でも、受け身でなく、学ぼうとする姿勢が大切だと思います。

 

立命館大学で学ぶみなさんには、とにかく一瞬一瞬を大切にしてもらいたいです。大学生活の4年間という時間は、社会において自分をいかに活かしていけばよいのか、自分の興味関心を知り、やりたいことを実現させるための準備期間です。そして、大学時代というのは自分の決めたことに徹底的に打ち込める時間だと思います。学内外で多くのことを経験し、さまざまな人から多くのことを学んでください。

 

ただ、どれだけ積極的に行動しても、「やり足りない」と思うことがあるかもしれません。私も大学生活を通じて多くのことに進んで取り組みましたが、卒業してみると「もっとやりたかった、もっとできたのに」と思うことがあります。ですが、学生時代にやってきた多くのことが、私に経験という大きな財産をもたらしました。思い切って海外に飛び出したことで世界が広がり、新しい価値観にも出会い、様々な物事の背景を考えることもできるようになりました。本当に経験は宝です。多くの「宝」に出会うチャンスがある、そんな大学生活という時間をフルに活用し、自分を成長させてください。

 
Link 外務省ホームページ
[学生広報スタッフ取材後記]
生まれて初めて多くの官僚の方が働く、霞が関駅で電車を降り今回の取材に望みました。厳重な警備に、ちょっと緊張。そんな緊張した私の前に現れた河野さんは、笑顔が本当に素敵なやさしい方で、取材中もとても和やかな雰囲気でお話をさせていただきました。
温和な雰囲気の中で取材は進みましたが、話を聞くにしたがって、河野さんの働くことに対する意識の高さを肌で感じました。「どんな仕事からも学ぶ」という考え方には本当に圧倒されました。また、大学生活を通じて取り組んだことの多さにも驚きました。アクティブに動きながらも、一つひとつの経験を自分の糧に変えている。そんな生き方に憧れました。私も残り1年半、しっかり経験を積んで自分の力にしていきたいと思いました。
 
取材・文/川口菜摘(経済学部3回生)
立命館大学校友会とは?_ 立命館大学校友会は、立命館大学とその前身校の卒業生約28万人で構成され、卒業生各人の活躍と母校の発展を目的として、多様な事業を展開している団体。社会に出てからも、世代を超えてサポートし合う校友ネットワークは立命館の魅力の一つです。
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