「Rs be ambitious!」
谷口祥平さん(2002年 理工学部ロボティクス学科卒業、2004年 理工学研究科情報システム学専攻博士課程前期課程修了、2007年 理工学研究科総合理工学専攻博士課程後期課程修了) パナソニック電工株式会社 電器事業本部 電器R&Dセンター 機構システム技術開発グループ
「自走力」で粘り強く前に進もう
立命館大学を卒業後、さまざまな分野で活躍するOB・OGが在学生のみなさんにエールを送る連載、「Rs be ambitious!」。
今回は、パナソニック電工株式会社で新製品の開発に携わり活躍されている、谷口祥平さんにインタビュー。
学生・院生時代の学びが現在の仕事にどう生かされているのか、また商品開発の魅力について、お話をうかがってきました。
(2008年11月10日掲載)

「何か新しいことをやってみたい」。そんな思いから、当時はまだ全国でも珍しかった理工学部のロボティクス学科に入学しました。ロボットはこれから発展する分野で、電気、機械、情報など、幅広い知識を身につけて生かせるところが魅力的でした。今、思い起こしてみれば子どものころから、ブロック遊びやプラモデル作りなど、手を動かして細かい作業をするのが好きでしたね。

 

3回生からの研究室配属では、一番厳しいと学生の間で噂があった川村貞夫先生の研究室を希望しました。研究室見学の際に、先輩たちが分野の異なる研究を楽しそうにしていて、ここなら幅広く学べ、自分も鍛えられそうだと考えました。私は大学院も川村研究室を選んだのですが、川村先生は、やる気のある学生にはたくさんチャンスを与えてくださる先生でした。川村先生の教え子の他大学の研究室との共同研究もあり、学外との交流も活発でした。私は、ロボットが人間に力を働きかけるときの人体の動きを解析する研究をしていました。研究を通して専門的な知識はもちろん、計画を立てて自ら考え、行動する力を身につけることができました。私はこの力を「自走力」と呼んでいて、今でもこの力が大変役に立っています。

 

 

 

 

パナソニック電工株式会社に入社後は、美容・健康器具を手がける電器事業本部の中で、数年先に発売される製品の先行開発を担当する部署に配属されました。学生・院生時代の研究で得た知識や経験を、いかに応用して製品化につなげるか、これはメーカーで働く技術者の大きな課題です。機械と人間の関わりを考える上で、大学での研究は参考になりますが、商品開発には新たな技術や知識、実験データなどが必要です。企業に入っても日々、勉強し、研究し続ける毎日でした。

 

一方で、修士課程で始めた研究が中途半端なまま、卒業してしまったこともあり、納得のいくまでとことん研究を続けて、専門を究めたいという思いが入社当初からありました。そのことを上司に相談し、博士課程で学ぶ許可を得ることができました。そこで平日は社会人として働き、週末は川村研究室に戻り、博士課程の研究に打ち込みました。休みがなく体力的に辛かったですし、頭の切り替えも簡単ではありませんでしたが、川村先生の後押しや周囲の理解に支えられ、ついに博士号を取得することができました。社会人としての生活、博士課程の研究という2つの生活。さらに博士課程は1人での研究だったので、自走力はずいぶん鍛えられましたね。現在の仕事でも、1人で試作と実験をくり返して定期的に報告書を書くことが多いので、この自走力が生かされています

2005年から今年の夏までは、マッサージチェア「リアルプロ」の開発に携わっていました。基礎研究から製品化まで関わり続けたので、とても思い入れの強い製品です。製品化となるとプロジェクトチームで動くため、1人でも納期に遅れないように仕事を進めなければならず、基礎研究とは別の厳しさがあります。私はマッサージチェアの「もみ」に関係する回路やマイコンの開発を担当。最初はロボットにて動作検証をし、次に商品化に向けてマッサージチェアに落とし込みました。日によっては、自分で動きを確かめるために10時間近くマッサージチェアに座り続けた日もありましたね。マッサージチェアにずっと座っていられるなんて、うらやましいと思われるかもしれませんが、10時間も座っていると辛いものですよ(笑)他にも苦労はたくさんありましたが、商品に自分の担当した部分が盛り込まれ、モニターテストで自分の作った製品が一般の方に高く評価されたときは、非常に嬉しかったですね。

 

私にとって「働く」とは、さまざまな挑戦を通して経験を積み、楽しく成長することです。企業に勤めていると、自分の仕事がお客様や社会への貢献につながるので、大学での研究とは違ったやりがいを感じることができます。将来は、マッサージチェア以外の領域にもロボティクスの技術を応用して、より快適な暮らしを実現できるように頑張りたいですね。

 

立命館大学の魅力は多様な学びの他に、卒業後のネットワークの強さがあると思います。私が所属する部署では、立命館大学出身の新入社員を集めた歓迎会を毎年行うなど、社内でもつながりがあります。他の企業でも社内に立命館のOB・OGがいると思いますよ。

 

また、学生時代にも交流の幅を広げて欲しいですね。せっかく何かの縁で同じ大学に通っているのですから、学部や学年を越えて多くの人と交流してみてください。私がこれまで、恵まれた環境で研究や仕事ができたのも、周りに支えてくれる人々がいたからだと感じています。みなさんも一つひとつの出会いを大切にして欲しいと思います。

 

就職活動を控えているみなさんには、仕事や企業を選ぶ前に、まず自分が何をやりたいのかを、できるだけ具体的にイメージしてほしいと思います。また、計画を立てて主体的に学ぶ力を、学生のうちにぜひ身につけてほしいです。途中でつまずき、思うように成果が出ないことは社会人になってもありますが、失敗を恐れず、簡単に諦めず、必ずできると信じて何事にも粘り強く取り組んでください。

 
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[学生広報スタッフ取材後記]
さっそく、インタビューでお聞きしたマッサージチェアを見に、家電量販店へ行ってきました。立ち止まって商品を眺めたり、座り心地を確かめている人を目にして、「お客様や社会への貢献が仕事のやりがい」という谷口さんの言葉に納得。
「やりたいことをイメージし、目標を決め、どうすれば実現できるかを考えて行動する」
研究も仕事も、初志を貫徹して結果を出す谷口さんの姿が、輝いて見えました。自分自身も今後の学生生活でも、社会に出てからも、見習いたい姿勢だと感じました。
 
取材・文/山元裕介(経営学部4回生)
立命館大学校友会とは?_ 立命館大学校友会は、立命館大学とその前身校の卒業生約28万人で構成され、卒業生各人の活躍と母校の発展を目的として、多様な事業を展開している団体。社会に出てからも、世代を超えてサポートし合う校友ネットワークは立命館の魅力の一つです。
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