「Rs be ambitious!」
築山佳苗さん(2004年文学部日本文学専攻卒業) 大阪府岸和田市立山滝中学校教諭(国語科)、 立命館学校教育研究会・若手教員の会 運営委員
学生時代に積んだ経験が、教育の現場で活きていることを実感
立命館大学を卒業し、さまざまなフィールドで活躍するOB・OGが
在学生の皆さんに熱いメッセージを送る「Rs be ambitious!」
今回は、大阪府岸和田市立山滝中学校で国語科教諭として勤務している築山佳苗さんにお話を伺いました。
築山さんは現在、立命館学校教育研究会や、立命館大学出身の「若手教員の会」の運営にも
積極的に関わっていらっしゃいます。学生時代に課外活動に打ち込んだ経験がどう役立っているのか、
また教育現場で働くやりがいについて、 熱く語っていただきました。
(2008年11月25日掲載)

学生時代は、学部の勉強や教職課程の勉強などと、課外自主活動の両立に力を入れていました。高校時代から国語が好きで国語の教員になりたいと思い、文学部日本文学専攻に入学しました。教育系の大学ではなく立命館大学に進学した理由は、立命館のような総合大学のほうが、教育学以外にも幅広く学ぶ機会があると思ったからです。また様々な人と関わることで、人間としての引き出しが増えるとも考えました。学部では、よく言語学関係の授業を履修していました。そこで学んだ、あまり一般に知られていないことわざの解釈などは、生徒の興味関心を引き付けられるという点で、現在の教科指導でも役立っています。また、教職課程の授業で学んだ学習障害についての知識は、そのような生徒がいた場合の対応に役立っていると感じます。

 

課外活動では、アカペラサークルClef(クレフ)と学外の観光ガイドサークルに所属していました。アカペラサークルClefでは、学園祭や新歓祭などほとんどの行事に関わって活動していました。このサークルでは何事にも妥協しない人が多く、KJ法(データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめて、図解し、論文等にまとめてゆく方法)を用いてミーティングを行ったりするなど、企画力が身に付きました。歌だけに留まらず、他大学の人との関わりもあり、企業と提携して京都駅でイベントを行う人も部員にいて、交渉力も身に付き、人間関係や世界が広がりました。

 

観光ガイドサークルでの主な活動内容は、修学旅行生への寺社案内でした。以学館で見つけたチラシを見て、「人前で話す練習になるかな」と思い、参加しました。また、大学入学時から教員志望だったので、教員になるための良い準備になるとも思いました。このサークルでは世の中のシビアさを知ることができました。学生であろうと完璧に案内をしなければなりませんし、期日までに求められたものを仕上げなければなりません。そんな環境に置かれたおかげで、困難な状態からの切り抜け方や、それに打ち勝つ精神力が養われました。直接観光客の方と接する機会も多く、観光客の方に失礼に当たらないように常に心がけることで、自然とマナーも身につけることができました。

 

これらの課外活動と教職課程、学部の学びを両立させるのは大変でしたが、心がけていたのは「メリハリをつける」ということです。大事な授業や絶対に大学に行かないといけない日にはガイドサークルなどの活動は入れず、勉強に集中する日と課外活動に打ち込む日をはっきりと分けることを徹底していました。3回生では、専攻や教職課程のゼミも始まり、サークルでも責任が大きくなって、両立がさらに難しくなりましたが、課外活動で多くの経験をすることによって、教員になった際に必ず役に立つと考えていたため、この2つのサークル活動をやめようと持ったことは一度もありませんでした。

 

3回生の終盤から4回生にかけては、教員採用試験に向けて勉強を続ける日々でした。朝から夕方まで教職支援センターで勉強し、1日10時間くらい勉強した日もありました。特に、学習指導要領に関しては、大学の授業ではじっくり学ぶ機会が少なかったですし、教師になるうえでしっかり理解しておく必要があると思ったので、特に重点的に勉強しましたね。そして、大阪府立公立学校教員採用選考の中学校国語に合格することができました。

 

 

 

 

 

教員に採用された当初は、学生時代に想像していたよりも教員という仕事が色々なことをしないといけない職業だと知り、驚きの連続でした。授業をするだけでなく、生活指導や部活指導にはじまり、担任になれば新年度には机とイスのサイズの調整もします。

 

教育現場で働くにあたっては、生徒に不安感を与えない一貫した指導をすることを大切にしています。それは、子どもへの対応をころころ変えてしまうと、生徒が何を信じたらいいのか分からなくなるためです。前任校では、帰りのホームルームで今日一日を振り返る黙想の時間があり、きちんと黙想しないと帰れないということにしたのですが、最初はきちんと黙想しない生徒もいました。しかし、こちらが一貫して指導をすることで、生徒のほうも「黙想をしないと帰れない」ということを認識してくれ、自然と生徒自らやってくれるようになりました。

 

私は現在、立命館学校教育研究会や若手教員の会にも参加しています。教員の仕事は多忙ではありますが、教員同士で勉強会を開き、ベテランから若手まで現場での実践報告をし、お互いの意見を出し合って刺激を受けたり、講演会などで興味深い話を聞くこともできます。私自身、学生時代立命館にお世話になったので、少しでも恩返しできればと思い、現在は運営委員もやらせていただいています。さまざまな催しがありますが、それらに参加することで自分の考え方が変わることもありますし、自分の考え方を再認識できる機会にもなっています。普段会えない人ともつながることができますし、非常に有益な活動だと思います。違う学校で勤務する教員と話すことで、悩みが解消することもありますね。

 

教員という仕事のやりがいは、日常的に子どもたちと関わっていて、あらゆる場面で感じることができます。例えば、授業や補習を行い、子どもたちが今までできなかったことができるようになったとき。他にもクラブで良い成績が出たというような勉強面以外のこともそうです。自分が関わったことで、生徒が少しずつ成長していくことに一番やりがいを感じます。成長の大小は関係なく、以前はあいさつしなかった生徒がある日からきちんとあいさつするようになるだけでも嬉しくなります。

 

教員という仕事を続けていくにあたり、自分が今までに得たものを子どもたちへ還元し、それを子どもたち自身が役立ててもらえたらと思います。子どもたち自身が抱いている夢に近づくための力に少しでもなりたいです。

 
 

私は、学生時代に課外活動などに積極的に取り組んで学んだ多くのことを、就職する際や、社会に出てからも役立てることができました。例えば、観光ガイドサークルの経験のおかげで、教員採用試験の際、自己PRを制限時間の1分間にまとめることができましたし、教員になってからも物怖じしない度胸が身につきましたね。この積極性ということは今でも生徒指導などの際に心がけていることです。学生のみなさんにも、何事にも本気で積極的に取り組んでもらいたいと思います。そして、卒業までに自分で自分の適正を見定め、自分の考えをしっかり持ち、できることを伸ばしていってほしいです。

 

また、教師を目指す人にだけに限らず、どんな仕事を目指すにしろ、情報収集をすることが大切です。希望する進路を実現させるために、どのような準備が必要なのか、学内にはどのようなプログラムやセンターがあるのかといったことを知り、そして実際に活用することが重要です。例えば、教員を目指す在学生のみなさんは、教職支援センターを早い段階から活用してください。私自身はセンターを活用し始めたのが3回生の後半からと、かなり遅かったんです。その結果、ゼミや教育実習以外の時間は教職支援センターに入り浸り、筆記試験対策や面接の練習、自己PR文の添削を短期間で必死に受ける日々でした。そんなことにならないためにも、教員を目指すみなさんには、なるべく早い時期から教職支援センターを活用してもらいたいと思います。

 

立命館大学は、学ぼうと思う人にはいくらでも学ぶチャンスを与えてくれる大学だと思います。それは、勉強だけに限りません。学生へのサポート体制もしっかりしていると思うので、さまざまな分野において、積極的に活用してチャンスを広げて欲しいです。

[学生広報スタッフ取材後記]
築山先生のお話を聞き、学生生活に何をどれくらいしたかということが、将来に大きな影響を及ぼすということを実感しました。また、サークル活動1つとってみても、予想できない多様な能力が身に付くことがわかりました。これからは、それらの視点を新しく物事を始めるにあたって参考にしていきたいと思います。
 
取材・文/皆木孝夫(政策科学部4回生) 
立命館大学校友会とは?_ 立命館大学校友会は、立命館大学とその前身校の卒業生約28万人で構成され、卒業生各人の活躍と母校の発展を目的として、多様な事業を展開している団体。社会に出てからも、世代を超えてサポートし合う校友ネットワークは立命館の魅力の一つです。
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