「Rs be ambitious!」
布垣 豊 氏(1961年法学部卒業) 京都中央信用金庫理事長、近畿地区信用金庫協会会長、学校法人立命館理事、立命館大学校友会副会長、立命館大学京都校友会会長、立命館清和会会長(立命館中学校・高等学校同窓会)、立命館附属校同窓会協議会会長
あなたは社会に出てからも通用する柔軟性を持っていますか?
立命館大学を卒業し、さまざまなフィールドで活躍するOB・OGが
在学生の皆さんに熱いメッセージを送る「Rs be ambitious!」
今回は、京都中央信用金庫理事長で、近畿地区信用金庫協会会長も務められている布垣 豊氏にお話を伺いました。
ご自身の学生時代やキャリア観、社会人に不可欠な柔軟性の重要性、
在学生に対するメッセージなどを熱く語っていただきました。
(2008年12月10日掲載)
 

私は立命館中学校・高等学校を経て、立命館大学法学部に進学しました。学生の本分はもちろん勉強第一ですが、大学時代は勉強もさることながら、傍らで百貨店や、医療費の回収といったさまざまなアルバイトも経験しました。自動車のハンドルに「遊び」が必要なように、学生生活にも多少は「遊び」も必要だと思います。アルバイトでは人付き合いを学んだり、組織といったものにも多少触れることができ、貴重な経験ができました。4年間をキャンパスの中だけで過ごすのではなく、外にも積極的に出ていき、いろいろな人と出会うことも大切です。私は、このような学生生活での「遊び」の経験も決して無駄ではなかったと信じています。

 

 

 

 

 

1940年、京都市中央卸売市場の関係者が資金を出し合って、京都中央信用金庫の原型となる京都市中央市場信用組合ができました。そこで両親や親戚が働いていたこともあり、京都中央信用金庫は子どもの頃からよく知っていました。

 

近年でこそ、銀行などを介して資金を調達する間接金融から、証券市場を通じ資金の供給者から資金を調達する直接金融のウェイトが増えてきましたが、私が卒業した1961年は、証券会社による「銀行よさようなら、証券よこんにちは」のキャッチフレーズが生まれた時代とはいえ、まだまだ銀行や信用金庫といった間接金融のウェイトが高い時代でありました。そんな時代に立命館での学生生活を通じて、ますます京都が好きになっていた私は、京都という地域に貢献できる仕事がしたいと考え、京都中央信用金庫に入庫しました。

 

入庫した直後の私は、金融機関で仕事ができるタイプではない、1ヶ月ももたないだろうと周りからは言われていました。しかし、「目の前のことを一つずつしっかり取り組めば大丈夫」と自分の強い意思で一生懸命働きました。その甲斐もあり34才で支店長になったときには、自分の能力にある程度の自信が持てるようになりました。

 

自分が望まない仕事でも、人生のチャンスとなりうることが沢山あります。支店長を経験した後、本部に転勤し、健康保険組合をつくるように指示を受けました。現在は規制緩和の時代ですが、当時は特殊な制度や商品を作りにくい時代でした。健康保険組合の設立に際しても行政認可の基準等いろいろな問題に頭を悩ませましたが、とにかく仕事は我慢が必要と強く思うようになったのがこのときでした。

 

他にもバブル崩壊後は、不動産価格の下落により、不良債権の処理に追われました。予想もしていない仕事ではありましたが、言ってみれば、金融機関にとって、あるいは企業にとって主要な節目ともなる業務に携わることができ、自分の仕事へのやりがいを感じると同時に、コツコツと粘り強く取り組んだことが自分への自信につながりました。

 

現在は理事長という職にありますが、昇進を考えて仕事をしてきたわけではありません。目の前のことや、与えられたことを、一つひとつ着実にこなすことで、後から結果が付いてきただけだと感じています。

 

私は、「人と接する機会」をたくさん持てたということに関しては、学生時代に悔いはありません。しかし、基礎的な勉強に関しては、もっとやっておけば良かったと後悔しています。基礎的な勉強は学生時代にしかできないのです。専門的なことは企業に入ってから勉強できます。学生のみなさんには、学生時代で基礎知識の積み上げをきちんとやってもらいたいと思います。

 

最近の新社会人の人たちを見ていると、人付き合いがうまくできない人がたくさんいます。これができないと社会へ出てから苦労しますよ。学生時代にたくさんの人と出会い、コミュニケーションをとることは絶対に経験して欲しいことのひとつです。このことは営業職に限らず、自営業だろうが研究職だろうがどのような職種においても言えることだと思います。社会人にしろ、学生にしろ、より良い人付き合いするためには、柔軟性が必要です。物事が自分の思い通りにならないからといって、不平や不満をいう人がいます。しかし他人は自分の思い通りになるものではないんです。それが我慢できないのであれば、人を変えようと思わず、自分から相手に歩み寄るという姿勢も大切ではないでしょうか。転職もそうです。組織に対して自分が合わないというだけの理由で転職してもうまくいきません。柔軟性がないまま仕事をいくら変えてもうまくいかないということです。転職という決断をする前に、自分には柔軟性があるのか問い直してみて欲しいです。

 

私が在学していたときよりも、あらゆる面で立命館大学は発展しています。みなさんが社会へ出たときには、そのような立命館大学の卒業生であるという責任と自覚を持ってもらいたいですね。

[学生広報スタッフ取材後記]
取材を終えて、学生時代に「悔いなく勉強に打ち込んだか」、「人と接する機会をたくさん持てたか」そして、「遊び」という「余白=マージン」がどれだけあったかを確かめてみようと思いました。また、布垣氏のような「結果を求めない行動」というキャリア観を持つことは大切だと感じました。そして、自分のなかに「結果を求めた行動」をしがちな側面があることに気が付きました。布垣氏のおっしゃった柔軟性を一つの武器にし、立命館大学の卒業生として社会で活躍することができればと思います。
 
取材・文/皆木孝夫(政策科学部4回生) 
立命館大学校友会とは?_ 立命館大学校友会は、立命館大学とその前身校の卒業生約28万人で構成され、卒業生各人の活躍と母校の発展を目的として、多様な事業を展開している団体。社会に出てからも、世代を超えてサポートし合う校友ネットワークは立命館の魅力の一つです。
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