輝いています、ときの人 #109 牧野幸雄(2004年3月 経済学部卒業 体育会ヨット部OB)北京オリンピック セーリング競技49er級 日本代表
強い信念で開いた、オリンピックへの海路
開幕まで残りわずかとなった北京オリンピック。
世界中が注目するスポーツの祭典に、校友の牧野幸雄さん(2004年3月経済学部卒業)が、
セーリング49er級の日本代表として出場する。
今回のインタビューでは牧野さんに、人として強くなれたというヨット部での思い出や、
オリンピックへの意気込みなどを伺った。
(2008年7月2日掲載)
Q

北京オリンピックへの出場、おめでとうございます。牧野さんがセーリングに出会ったのはいつですか?

牧野

高校時代です。私は愛知県の碧南高校出身なのですが、碧南高校ヨット部は何度もインターハイや国体で優勝したことのある強豪でした。興味本位で見学に行き、ヨットに試乗したところ、刺激的で面白そうだと感じ、入部を決意しました。一口にセーリングと言っても、実に多様な種目があります。私は高校ではFJ級、大学では470級でした。今回北京オリンピックに出場が決まった49er級には、ペアで出場します。この種目はスピードが速く、乗ること自体が難しいため「海のF1」とも呼ばれています。それぞれの種目でヨットを乗りこなすには、各種目ごとに自分を合わせる必要があります。また、自然が舞台となるスポーツなので、波や風、見渡す景色から地球を満喫できるところがセーリングの一番の醍醐味だといえますね。

 

大学では部員が多く、インカレでも活躍している立命館大学のヨット部に入部しました。多くの仲間と共にインカレ優勝を目標に活動していました。BKCから琵琶湖の近くの合宿所まではそれほど遠くなかったため、普段からヨットに乗っていました。冬場には嵐の中で乗ることもあり、練習メニュー以上に自然の厳しさに鍛えられたと思います。大学のヨット部では、精神的に強くなり人として成長できたことが何より大きいと感じています。ただ大会で勝てばいいだけではなく、組織としてどのように目標に近づくのか、真のチャンピオンとは何かなどを先輩から教わりました。4回生になり主将を務め、上下関係や組織のまとめ方などを主体的に考えたことも良い経験になりました。

 

 

 
Q

次に、北京オリンピック出場までの道のりについて教えてください。

牧野

オリンピックを目指したきっかけは、在学中に出場した世界選手権です。この大会に出場した日本の6チームのうち、1位になればアテネオリンピック日本代表に内定するというレースで、敗北。純粋に「ヨットが好きだ」という思いの延長線上で出場したのですが、ライバルチームと競り合った末の惜敗だったこともあり、負けたときは悔しいという気持ちより、「自分にもオリンピックに出るチャンスがある」という手ごたえを感じました。そこから北京オリンピック出場をかけた世界選手権に照準を合わせて動き出しました。

 

北京オリンピックには、開催国の中国を含む19か国が出場できます。日本代表となるには、まず世界選手権で勝ち、日本の出場枠を確保して、その大会で戦う日本の3チームの中で1位にならなければいけません。49er級はその難しさから、大会に出るどの国のチームも非常にレベルが高いです。我々は49er級を始めて、キャリアは2年余りと浅いですが、それだけ伸びしろが大きく、日々の成長を実感しながら練習を重ねました。日本代表に内定してからは、「本番で金メダルを獲得するにはどうすればいいか」ということにエネルギーを注いでいます。精神面には自信があるので、コンディションを整えて臨めば、北京でも良い結果が出るのではないかと思っています。

 
 
Q

北京での活躍を期待しています! 最後に、後輩である在学生のみなさんにメッセージをお願いします。

牧野

私はこれまで、目の前に壁が立ちはだかった時も、ピンチをチャンスに変えて乗り越えてきたと自負しています。オリンピックを目指した当初は、私もパートナーもスポンサーからの支援がない状態でした。しかし「自分たちは必ずオリンピックに行けるんだ」という信念を持ち続けて活動し、スポンサー無しでアルバイトや募金、Tシャツ販売などを通じて必要な資金を集め、ついにオリンピックの舞台に立てるまでになりました。チーム名の「Believe」には、自分の可能性やパートナー、支えてくれる人たちを信じて突き進めば結果が残せるんだということを、自ら証明したいという想いも込めています。

 

学生のみなさんには、今という瞬間にある様々なチャンスを感じて、どんな状況であっても考え方次第で必ず良い方向に持っていけるんだという気持ちで、何事にも取り組んでほしいです。

 

 

 

 

 

 

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取材・文/山元裕介(経営学部4回生)
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