輝いています、ときの人 #133 考古学研究会 会長 原田昌浩(はらだ・まさひろ)さん(文学部日本史学専攻3回生)副会長 松﨑健太(まつざき・けんた)さん(文学部日本史学専攻2回生)
地図にない寺跡を発見。未知なる出会いに感動
昨年、文献に記されていない平安時代の寺跡を発見した考古学研究会。
これまで平安京の北側と東側だけで発見されていた山林寺院が、遺跡地図にも載っていない西側で発見されたこと、
またそれが学生による新発見だったことから新聞でも大きな話題を呼びました。
今回、考古学研究会の会長 原田昌浩さん(文学部3回生)と副会長 松﨑健太さん(文学部2回生)に、
寺跡発見に至った経緯や考古学の魅力、発見したときの感動について、お話を伺いました。
(2009年5月1日掲載)
Q

歴史的な新発見、おめでとうございます。まず、今回発見された内容と、発見したときの心境について教えていただけますか?

原田

今回発見した遺跡は松尾山にある平安時代の山林寺院と思われる遺跡の一部です。2008年10月より松尾山の古墳群の調査を続けていましたが、不自然な平たん地を見つけたため、気になって歩いていました。この場所から瓦や土器が発見されました。山林寺院に詳しい専門家の方に見ていただいたところ、山林寺院の可能性があることがわかりました。このことは今まで平安京の北側と東側だけにあるとされていた山林寺院が、平安京の西側にもあったことが推測できます。見つけた瓦の中には文字が書いているものがあり、顧問の高先生を介して、瓦を研究している方に調べてもらったところ、平安京の内裏で使われていた瓦と同范であることが判明しました。内裏で使われていた瓦と同じものが見つかったことは、その両者の関係性を考える上で重要な資料となりそうです。

 

遺跡地図に載っていない遺跡だとわかったとき、すごいものを発見したと思いました。その時は驚いたと同時に、感激して鳥肌がたちました。日頃の調査は新発見のために行っているわけではないのですが、今回の発見から、改めて地道にこつこつ努力することの大切さを実感しました。

 

 

 

Q

考古学研究会では、日頃どのような活動をされているのですか?

松﨑

普段は週2回の例会で考古学の基礎を勉強し、休日はフィールドワークで博物館や遺跡を見学し、さらに長期休暇中には調査を兼ねた合宿を行っています。

 

また、現地調査のために、学内で測量の練習を行っています。私は正課でも考古学を学んでいるので、授業で学んだ知識を研究会で生かすことができるのは励みになっています。顧問の高先生に気軽に質問できることも研究会の魅力の一つです。歴史は教科書の中でしか勉強できないと考える人もいるかもしれませんが、考古学は実際にものを見て、昔の人の生活や社会の様子を肌で感じることができます。ただ学生だけで発掘することはできないので、私は長期休暇中に発掘のアルバイトをしています。実際、発掘の現場に入ると、新しい発見があったり、他大学で考古学を研究されている先生や学生の方とも関わることができるので、学べることがたくさんあります。早朝からの発掘や、炎天下での作業など大変なこともありますが、考古学が大好きなので全く苦になりません。考古学に関われて本当に楽しいですし、それが正課、課外活動、アルバイトのすべての原動力となっています。

Q

本当にお2人とも考古学が好きなんですね。では、最後にこれからの目標について教えてください。

原田

研究会では、今回の新発見について今後報告書を作成していきたいと考えています。
完成までに何年かかるかわかりませんが、今回の新発見のことを後輩たちに受け継いでいってもらいたいです。私は考古学研究会を11月の学園祭後に引退しますが、考古学はこれからもずっと続けていきたいです。研究や調査にも力を入れ、いずれは大学院へ進み、将来は考古学に関わる仕事に就きたいと考えています。

松﨑

私もこれからずっと考古学を続けて、正課、研究会、アルバイトを通じ、自分の夢中になれる学びをもっと深めていきたいと思います。好きなことにがむしゃらになれるのは学生の特権だと思います。一つでも自分のやりたいことを見つけることができれば、自分が輝ける学生生活を送れると思います。

取材・文/土山由衣(法学部3回生)
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