輝いています、ときの人 #144 「BEPPINE(べっぴん)」代表、「BAMP」所属 谷本真那(たにもと・まや)さん(産業社会学部4回生)
出会いが生み出すチャンスは無限大 活動を通じて広がる支援や文化の輪
今回取材した、谷本真那さんは、産業社会学部で国際福祉を専攻する学生が中心となって
設立した学生団体「BEPPINE(べっぴん)」の設立者であり、
『楽しく、チャーミングでおしゃれなエコ』を目指した団体「Bloom Ability of Myself Project(通称:BAMP)」のメンバー。
精力的に活動するために大切なことは「人との出会い」と「社会への影響力」という。
活動の魅力ややりがいについて伺った。
(2009年7月24日掲載)
Q

谷本さんが所属されている「BEPPINE」と「BAMP」について教えて下さい。

谷本

「BEPPINE」の設立は、友人たちとの会話がきっかけでした。大学で経済格差や社会問題について学び、友人たちとプレゼンを繰り返す中で「これらの机上の空論を現実世界で実現するか試してみたい」と思い活動を始めました。

 

主に、フィリピンのシンカラン村という漁村の支援と、スモーキーマウンテン(フィリピンの都市部にある巨大なゴミ集積場)での現地のNGOとの意見交換、若者グループとの交流をはかっています。モットーは「活動の資金は自分たちで稼ぎ、楽しみながらやること」。日ごろはフリーマーケットに出店して、収益を活動資金にしています。出品交渉に行ったお店の方のアドバイスがきっかけで、今年3月からは一条通りで開催されるフリーマーケットにも参加し、地域貢献の機会も得ることができました。

 

「BAMP」は立命館大学の女子学生が結成した団体で、着物とエコを絡めた活動が特徴です。私は、高校時代にベルギーに滞在していた事があるのですが、その時、改めて日本文化の素晴らしさを再認識しました。衰退しつつある日本文化を見直して欲しいという思いで、昨年12月から活動に参加しています。

 

7月4日には、「昔ながらの日本のエコを見直す」をコンセプトに「京小町Summer」を京都国際マンガミュージアムで開催しました。ドレスコードは浴衣です。当日は150名の来場がありました。浴衣姿で芝生に座り、ジャズライブを聴くという企画が好評でした。

 

「BEPPINE」と「BAMP」、二つの活動の共通点は「日本という国のすごさを再確認してほしい」ということです。文化もそうですが、経済の面でも、1着の服を売った収益が現地の生活向上の力になることなど、日本が持つ影響力を多くの人たちに広い視野で見てほしいです。

 

 

 

Q

活動を通してのやりがいや、これまでで最も印象的だったことを教えてください。

谷本

建設資金を集め、一昨年3月にシンカラン村に完成した幼稚園の壁の塗装作業をしていた時、ふと、描いた絵を毎日見る村の子供たちの姿を想像しました。「この子たちがどう育っていくのだろう」と考えました。「もしかしたら自分は今、他人の人生を左右する分岐点にいるかもしれない」と思うと、「中途半端にできない」と強く思いました。この時のことは今でも印象に残っています。

 

支援活動は、ともすれば、驕りや価値観の押し付けになる危険がありますが、異文化を持ち込んでくる私達に興味津々の子どもたちと、温かい眼差しで迎えてくれる住民の方に見守られて活動ができ、とても楽しかったです。

 

活動を通して出会った方々が「谷本だから」と、私自身を見てくれている、認めてもらえていると感じています。そして、メンバーなど、周囲の人も信頼してくれます。資金集めなど、時にはうまくいかない事もありますが、どんどん広がっていく「人のつながり」が私を支えています。

Q

人との出会いが次への活力を生み出しているのですね。それでは最後に、今後の予定と活動を通してのメッセージをお願いします。

谷本

「BEPPINE」は、8月に立命館大学の「アクセス」という団体に紹介してもらいスモーキーマウンテン・パヤタス地区と、シンカラン村に行きます。現地では、ゴミのポイ捨てが水質汚染を招いているため、「ゴミを捨てない感覚」を楽しみながら養ってもらえるようにしたいと思っています。「BAMP」は、これまでの活動を振り返り、今後の活動方向を確認するため、一度休息を取りたいと考えています。今後は、自分たちのサイズにあった活動を続けて行く予定です。

 

これまで私は、2年間開発支援を行ってきました。しかし、それが本当に正しいことなのかまだ確信を持てずにいます。現地の方と向き合い、先進国に住む日本人の開発援助をどう思っているのかを率直に尋ね、今後の活動の参考にしていきたいです。

 

もともと私は内向的な性格でした。ベルギーで言葉の壁にぶつかり、「このままではいけない」と、必死に社交的になろうとしたことや、自分の存在価値を見いだせずに悩んだことが、その後の人格形成につながったと思います。大学では、常に前進することばかりを考えるようになり、「私」を見てくれる人との出会いが、自分の存在価値を見いだすきっかけとなりました。存在価値は自分で創造するものだと考えています。みなさんも一歩踏み出す勇気を持ってみてください。

 

「出会いは一度きりだとしても、そこにあるチャンスは無限です」これからも貪欲に出会いを大切にしていきたいです。

取材・文/大舘 匠(法学部3回生)
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