輝いています、ときの人 #146 第28回全日本大学ホッケー王座決定戦優勝 陸上ホッケー部 キャプテン 井上拓哉(いのうえ・たくや)さん(産業社会学部4回生)
「心をひとつに」全員で勝ち取った勝利
今年6月に岐阜県各務原市で行われた第28回全日本大学ホッケー王座決定戦で、
立命館大学陸上ホッケー部は、早稲田大学を6-1で下し、6年ぶり2度目の優勝を飾った。
さまざまなアクシデントを乗り越え、一度は離れたメンバーの心を一つにまとめ上げ、
勝利へと導いた立命館大学陸上ホッケー部キャプテンの井上拓哉さんに優勝までの道のりを伺った。
(2009年10月2日掲載)
Q

全日本大学王座決定戦、強豪チームを退けての優勝、おめでとうございます。去年は全日本選手権の方で優勝されていますが[→リンク]、その時と違う点はありましたか?

井上

そうですね、去年との大きな違いは、当初はメンバーの心が一つになっていなかったという事です。今年は11人のメンバーのうち、5人がFIH MEN'S JUNIOR WORLD CUPの日本代表選手に選ばれていて、本戦に出るメンバーが揃ったのは大会の2日前でした。世界を体験してきた日本代表の5人は、他のメンバーと練習してきたフォーメーションやボールのつなぎ方が違い、呼吸が合いませんでした。チームワークがとれないままに迎えた大会では、ボールがつながらず、個人プレーが目立つ展開となり、相手に先制を許してしまいました。特に今回は、周りの期待もかなり大きなものでしたし、そのプレッシャーと目の前の試合でうまくいかない現状が重なって、とても苦しかったです。

 

「このままではいけない」と思いながらも気持ちを切り替えられずに迎えた決勝戦。そんな時、試合前に監督がバラバラだった僕たちを叱咤してくれました。これがきっかけとなって、キャプテンとして自分のしなければならないことが明確になりました。試合直前のミーティングでメンバーにこれまで練習してきたことを活かしてみんなで優勝しようと伝えました。そこでメンバーの気持ちも結束。決勝戦では、早稲田大学に6-1で快勝することが出来ました。

 

*1 FIH MEN'S JUNIOR WORLD CUP…4年に一度開かれる、ホッケーの21歳以下の世界大会のこと。今年はマレーシア・ジョホールバルとシンガポールで開かれた。

 

 

 

Q

井上さんがホッケーに出会ったのはいつですか? また、井上さんのポジションについて教えて下さい。

井上

ホッケーを始めたのは、高校生になってからです。それまでサッカー部に所属していましたが、進学した高校で中学の時のサッカー部の先輩がホッケー部に所属していて、「やってみないか」と誘われたのがきっかけです。

 

当時は、僕も同じ学年のチームメイトもほとんどが初心者で、何も分からない状態でした。先輩の試合を見て、自分で練習していくというのが基本スタイルだったので、自分でしっかりと練習をしておかないとついていく事ができず、朝練や練習後の自主練を必死になってしていましたね。

 

現在のポジションはディフェンスです。「どうやってボールを取るか」と試合での駆け引きがとても面白いです。

Q

なぜ、大学でもホッケーを続けようと思われたのですか? ホッケーの魅力を教えてください。

井上

毎日続く練習で苦しい時もありましたが、本気で「辞めたい」と思った事はありません。ホッケーをしている時は「楽しい」という気持ちの方が強いですね。

 

ただ、大学に入ると、すぐにこれまでの自分では通用しないことを知りました。高校生とは違い、スピードも体格も違いますし、練習の質も段違いだったので最初はついてくことすら大変で、技術もおぼつかず、先輩に怒られてばかりでした。その時は少し弱気になりましたが、ホッケーを始めてからずっと「ホッケーで優勝をしたい」という気持ちが強くあったので、「このままでは終わらせたくない」と、体格差を補うために筋力トレーニングや、技術をさらにレベルアップさせるために必死に練習しました。

 

ホッケーの魅力は、なんと言っても試合の緊張感と展開の早さ、スピード感です。

 
Q

井上さんにとってホッケーとはどういう存在ですか?

井上

僕にとってホッケーとは、生活の一部です。なくてはならないものですね。練習がきつかったり、キャプテンとしてチームをまとめることに苦労したりする事もありますが、そこから得られるものも多くあります。様々な問題を乗り越えて、続けて行くことで初めて、試合の駆け引きやスピード、その先の優勝を得る事が出来ると思います。大切なのは「続けること」、毎日の努力が大切だと思います。

 

また、陸上ホッケーは競技人口が少ないので、もっとたくさんの人に陸上ホッケーを知ってもらいたいです。

立命館大学ホッケー部は8月23日(日)に行われた国体予選で天理大学を擁する奈良県を2-1で破り、10月1日(木)から開催される国体本戦に出場する。また、9月13日(日)に行われた第37回西日本学生ホッケー選手権大会において、天理大学に3―3の延長戦の末、PS戦で5-4で勝利し、見事優勝。3連覇を達成した。

 

[ホッケー部 今後の試合予定]
第58回全日本学生ホッケー選手権大会(インカレ)
 10月23日(金)〜25日(日)
第83回全日本男子ホッケー選手権大会
 11月11日(水)~15日(日)

Link 社団法人 日本ホッケー協会
取材・文/川口菜摘(経済学部4回生)
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