輝いています、ときの人 #155 第59回全日本学生フェンシング王座決定戦で優勝 永井小百合(ながい・さゆり)さん(産業社会学部3回生)、(写真:左)立命館大学フェンシング部/中司綾香さん(法学部3回生)、
(写真:右)立命館大学フェンシング部/増元  翠さん(政策科学部3回生)
耳を澄ませば聞こえてくる声援 -仲間がいるから頑張れる-
今回お話を伺ったのは、立命館大学フェンシング部の永井小百合さん(産業社会学部3回生)。
6月に行われた全日本学生フェンシング王座決定戦で、フェンシング部は女子団体エペで優勝を勝ち取った。
今回は、決勝戦で3点差から見事に逆転優勝を決めた永井さんに、
フェンシングとの出会い、今の仲間と優勝を掴みとるまでの軌跡を聞いた。
(2009年12月4日掲載)
 
Q

第59回全日本学生フェンシング王座決定戦での優勝おめでとうございます。
永井さんが優勝されたフェンシングのエペというのはどのような種目なのでしょうか。また、フェンシングとの出会いを教えて下さい。

永井

フェンシングには、エペ・フルーレ・サーブルの3つの種目があり、剣が対戦相手の有効面を突くことでポイントが入ります。中でもエペは全身が有効面となるので、防御と攻撃を慎重に行わなければいけません。

 

フェンシングに出会ったのは、高校の部活紹介でした。その時「これだ」と思い、この世界に飛び込みました。県内でもフェンシングのトップを争う学校だったので、練習も厳しく、常にトップを目指す精神力が必要なのだということを叩き込まれましたね。ですが、このおかげで私自身も常にトップを意識し、「誰にも負けたくない」という気持ちを強く持つようになりました。

 

そんな私が高校2年生の時に挑んだ世界大会。日本代表に選ばれたことに浮かれていた私は、世界の強豪に全く歯が立たないという現実に愕然としました。でも、「ここで終わりたくはない。世界に通じる人間になりたい」と強く思いました。私は、高校卒業後に就職する予定でしたが、この事がきっかけとなり、「大学に行ってフェンシングを続けたい」と、大学への進学を決めました。

 

 

 

 
Q

今回は、3名のチームで戦われたということですが、メンバーについて教えて下さい。

永井

大学は高校とは違い、自発的に練習しなければ何も学べません。私は、世界大会でも挑戦したエペを種目として選びたかったのですが、実際に大学でエペを種目として選んでいた人は少なく、同学年でも私を含めて3人しかいませんでした。これが今回優勝したメンバーです。たった3人での手探りの中、練習を考え、大学の男子チームの先輩や高校の先生の師事を仰ぎ、練習を続けてきました。同学年の3人しかいないからこそ、先輩には「仲が良すぎる」と指摘されたほど、お互いに遠慮して悪いところを指摘できない時もありましたが、この3人だったからこそ、お互いを信じ、支えあいながらここまでやってこれたのだと思います。だからこそ、今年のシーズンは「トップになりたい」という強い気持ちで挑みました。

 
Q

信頼できる仲間と挑んだ大会だったのですね。それでは、優勝を勝ち取った全日本学生フェンシング王座決定戦について教えて下さい。

永井

全日本学生フェンシング王座決定戦は関西・関東それぞれの大学フェンシングリーグ戦1、2位がリーグ形式で戦います。まず、関西大学フェンシングリーグ戦で初優勝を果たし、翌日に迎えた王座決定戦初戦は、関東2位の日本大学との対戦でした。この試合ではなんとか勝利を収めたのですが、次の決勝戦では宿敵である朝日大学と戦うことになりました。去年も決勝戦で争って敗れ、今年も関西リーグで優勝争いをした朝日大学との一戦は、メンバーも私もひときわ強い思いで迎えた試合でした。ですが、前日のリーグ戦の疲れ、そして王座決定戦初戦の疲れも出て、3人目の私に回ってきた時点で3点ビハインドの苦しい試合でした。

 

そんな時、2戦目を戦い終えたメンバーが私に「後をお願い」とバトンを渡してくれました。私を信じてくれるメンバーに「任せて」と応えた私は、まったく負ける気がしませんでしたが、やはり3点のビハインドという状況はかなり厳しく、ポイントを取り返したと思ってもまた逆転され、何度も突き離されそうになりました。その時、呼吸を整えてふと耳をすませると、仲間の声援が聞こえました。今まで支え合い、信じ合ってきた仲間の声が何度も私を踏ん張らせ、ついに逆転優勝することができました。

Q

一戦一戦は個人戦でも、仲間とともに掴みとった優勝だったのですね。では、その仲間とともに目指す次の目標はなんでしょうか?

永井

次の目標は、全日本フェンシング大会です。この大会では団体でまだ出場したことがないので、まずはインカレで好成績を残し、出場資格を得ることが目標です。個人としても、高校の時からずっと、世界に通じる人間になりたいという目標もありますが、今はずっと共に戦ってきた仲間とともに「トップを目指したい」と思っています。
中学までは目標もなかった私ですが、フェンシングに出会って仲間に出会え、目標も出来ました。そんな私を今まで支えてくれた両親やコーチ、高校の恩師に報いるためにも、私は生涯フェンシングと関わっていきたいですね。

取材・文/川口菜摘(経済学部4回生)
RS Webアンケート実施中