輝いています、ときの人 #163 産業社会学部「企画研究」 西條 薫(さいじょう・かおる)さん(産業社会学部3回生)、福島加南子(ふくしま・かなこ)さん(産業社会学部2回生)
はんなりと京町家暮らしはいかが?
みなさんはどんな家に住んでいますか? 
せっかく京都で学生生活を送っているのだから、
京都の風情を感じられる「町家に住んでみたい」と思っている方もいるのではないでしょうか?
今回は、古い町家を学生向けのコレクティブハウス「こまちや」に改修した、
西條薫さんと福島加南子さんに町家改修の際にこだわった点などについてお話を伺いました。
(2010年2月12日掲載)
Q

今回、なぜ町家を改修しようと思われたのですか?また、町家の魅力はどんなところでしょうか。

西條

京都で学生生活を送る中で、町家を使ったカフェなど、実際に「町家」を見かけることが頻繁にあって、「素敵だな」と魅力を感じていました。改修に携わったきっかけは、産業社会学部 乾 亨先生の「研究企画」の授業に参加したことです。

 

京都の老舗の油屋さん「山中油店」から乾先生に「町家を改修して学生向けの住まいを作る計画があるので、ぜひ学生さんにも協力してもらいたい」という相談があったことがきっかけとなって、授業の一環として始まったのです。

福島

町家には「古い」というイメージがありますが、落ち着いた木のぬくもりの中で四季を感じることが出来るなど、様々な魅力があります。中庭があって風通しが良かったり、最近作られたマンションなどとは違った趣があります。今は、古いものをすぐに新しく変えてしまうことが多いですが、古いものには、昔の人の知恵と工夫がつまっています。そういうところも若い人たちに伝えていきたいですね。

 

私たちは今回、改修した町家を「こまちや」と名づけました。「こまちや」は「Co町家」、英語のCoが「共同」という意味。「ともに住む町家」を意味しています。あとは、女性向けの賃貸住宅なので「小町」という意味もかけています。

 

 

 

 
Q

今回、古い町家を改修して、学生向けの住まいにする中で、こだわった点や苦労した点はどんなところですか。

福島

内装や家電にはすごくこだわりました。まず、「こまちや」は女子学生が3人で生活をする、という前提があります。ですから、私たち女子大生の感覚で「あったらいいな」と思うものを山中油店さんや工務店さんに提案しました。例えば、共有部分のキッチンのコンロは3つ付けましたし、玄関に靴を履いた状態で全身を写すことの出来る鏡を置きました。靴まで履いた姿を見て、お洒落は完成ですからね。大学生である私たちのセンスを町家に取り入れる事にはこだわりました。

西條

3人で暮らす「シェアハウス」という部分では苦労をしましたね。「こまちや」を作るにあたり、学生たちに需要調査をしました。そこで見えてきたこととして、一つの部屋を共有する「シェアハウス」は、お金の節約のために数名で暮らすことだと考えている学生が多かったということ。その中で、特段安い訳でもない町家の家賃を払いつつ、共同で生活をしたいと思う学生がいるのか、という疑問が出てきたのです。

 

そこで私たちは、新しく「コレクティブハウス」という概念を考えました。これは「シェアハウス」とは少し違って、それぞれの住民がプライベートの住居は保ちつつも、みんなで使ういくつかの共有スペースを持って生活の一部を共同化する、という考え方です。「ただいま」というと「おかえり」といってくれる人がいる。少し家賃が高くても、そんな生活も素敵だと思ったのです。

Q

最後に、今後の目標を教えて下さい。

福島

私は、産業社会学部の人間福祉専攻に所属しています。今回の町家改修を通して、町家のように地域と住まいが密着している所では、人々が助け合って生きているのだということを知りました。地域の人々が助け合うということは、福祉の基礎であるといえます。今回、「こまちや」プロジェクトから、地域福祉にも興味を持つようになったので、これからもっと勉強したいと思います。

西條

今回のことがきっかけとなって「町家」の需要が増えたらいいですね。より多くの人に町家暮らしを楽しんでもらいたいです。
また、「地域、福祉に力を入れた町づくり」をテーマに、4回生でもゼミを続けていきたいと思っています。大学では、机で学ぶだけでなく、外へ飛び出して、形にすることまでできてしまいます。実際に今回、私たちは大学を出て、町家を作ってしまったのですから。「一歩踏み出すことが大事なんだ」ということを実感しました。

取材・文/李 亘(法学部4回生)
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