専門的な学びを究める[大学院]

Student's Voice

喜びがあるから、研究はやめられない

里見知昭 さん(理工学研究科総合理工学専攻 博士課程後期課程3回生)
2005年3月 
2005年4月 

2007年4月 
 立命館大学理工学部土木工学科(現・都市システム工学科)卒業
 立命館大学大学院理工学研究科環境社会工学専攻
(現・創造理工学専攻先端融合科学コース)博士課程前期課程修了
 立命館大学大学院理工学研究科総合理工学専攻 博士課程後期課程入学
(2009年10月5日掲載)

今、私が取り組んでいる研究は、「雨が降り、土砂崩れが起こるまでの仕組み」についてです。現在、清水寺の「奥の院」が建つ斜面で、降った雨が地盤の中にどれだけ浸透しているのかを観測しています。土砂崩れの予兆をつかみ、地域住民や観光客に避難を呼びかけるシステムの構築を目指し、日々取り組んでいます。

もともとは機械工学が第一志望でした。ところが高校2年生の時、オープンキャンパスで見学した地盤の実験が面白く、研究内容が普段の生活と密接に関わっていることから、次第に土木の分野に興味を持つようになりました。大学入学当初は土木の中でも都市計画の分野に興味がありましたが、勉強しているうちに力学のほうが面白そうだと思うようになり、その後特殊な計算手法で解析する研究に取り組みました。私が所属していた深川良一先生の研究室では初の試みだったので、一から始めることも多く大変でしたが、深川先生や大学院生の先輩にも相談に乗っていただき、論文を書き上げることができました。論文を完成させた達成感と同時に、もう少し勉強してみたいという気持ちが湧いたことから大学院への道を歩むことにしました。

修士時代は地面の中の温度と水分の変動を研究し、実験と検証をくり返していました。学部生のころと違い、大人数での講義が減った分、研究時間や学会発表の機会が増え、研究内容もより濃いものにすることができました。また地元の県庁であったインターンシップでは、職員やコンサルタントの方との打ち合わせに同席させてもらうなど、普段の研究とのつながりや仕事への理解を深められたのも大きな収穫でしたね。

博士課程に進んだ現在では、これまで以上に成果が求められているのだと実感しています。実験や論文の執筆ではなかなか思うようにいかず、苦労も多いだけに、結果が出て学会発表に結びついた時の喜びはひとしおです。学会やシンポジウムで各地を訪れ、その土地の食文化や歴史に触れたり、後輩の授業や実験補助をするのも、毎日の研究生活の中では、良い気分転換になっています。学部で学んでいる後輩たちにも、自分から気さくに話しかけて、壁をつくらないように気をつけています。また、学部生、修士、博士のそれぞれでテーマが違う研究をしてきたので、広く知識がある分、後輩にもさまざまな角度からアドバイスしやすいですし、自らの研究においても物事を多面的に考えるのに役立っています。

思うように研究が進まないなど大変なことも多いのですが、新しい楽しみや喜びもあるので、これからも研究を続けていきたいです。高校時代のように、思いもよらなかった分野に関心が出てくるかもしれないので、今後も興味のアンテナは常に広げておきたいですね。

 


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