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オペレーティングシステム、データベースシステム、計算機ネットワークに関する研究

基本ソフトウェア研究室

担当教員/大久保 英嗣・横田 裕介

本研究室では、オペレーティングシステム、データベースシステム、分散システム、計算機ネットワークなどを対象として、主にシステムソフトウェアの開発という観点から研究を進めている。近年は、ユビキタス環境を支える基盤ソフトウェアの開発を目標とし、特にセンサーネットワークと呼ばれる分野に焦点を当てて研究を行っている。センサーネットワークは、センサーと無線通信機能を持つ超小型計算機であるセンサーノードデバイスから構成されるネットワークであり、多数のノードが協調動作することで、ノード単体では実現できないような知的かつ高度な仕事を達成することができる。現在は、パーソナルセンシングシステム、センサーデータベース、イベント駆動型センサーネットワークシステム、高精度屋内測位システム、省電力化を実現するクラスタリング手法などのセンサーネットワークに関するテーマに加え、機器組込みシステム、P2Pマイクロストレージシステムといったセンサーネットワークの関連技術を含む多面的なアプローチで研究に取り組んでいる。

協調的活動支援のための分散コンピューティング環境の構築

協調メディア研究室

担当教員/高田 秀志・ピウマータ イアン・西出 亮

人間の活動は本来協調的なものですが、現在のコンピューティング環境はそれを十分に支援していると言えるでしょうか?我々の研究室では、学習の場やオフィス、街中などにおける人々の協調的な活動を支援するための分散コンピューティング環境について研究を行っています。例えば、近年急速に普及しているタブレット端末を活用した「ダイナミックグループコラボレーション環境」を構築し、協調的なWeb検索や子ども向けのパズルゲームを実現しています。また、NPO法人と連携した子ども向けプログラミング学習環境に関する研究では、プログラミング成果物を携帯端末で共有できるようにしたり、プログラミングワークショップの体験をSNSで共有したりできるような環境を構築し、実際に小学生に使ってもらうことによって評価や検証を行っています。さらに、スマートフォンから発せられるBluetoothやWifiの信号を用いて人々の移動を検出し、それを情報共有に活かすための研究も実施しています。

高性能・高信頼性ソフトウェアシステムの研究開発

高性能計算機ソフトウェアシステム研究室

担当教員/國枝 義敏・原 寛明

計算機システムの根幹をなすシステムプログラムに軸足を置き、複数の観点から計算機システム全体の高性能化、高機能化を目標に、そのための具体的なシステムソフトウェアを研究開発する常に地に足の着いた実際的な研究を目指している。
現在の具体的な研究分野として、第一にクラウドコンピューティングに代表される高度な並列処理・分散処理を、より高速に実行し、かつ、可用性を高めるしくみを研究開発している。第二に、様々なクラッキングの中で、「なりすまし」や「プロセスのっとり」を受けても、攻撃耐性の高い「安心・安全な」システムを構築する具体的な方式をシステムソフトウェアの立場から実現すべく研究している。第三に、高信頼ソフトウェアの実現のためにソフトウェア工学の観点からプログラム解析、モデル検査、並行計算モデル、型理論など理論と応用の双方に関する研究を進めている。

コンピュータシステムの基盤となるハードウェア・ソフトウェアの研究

コンピュータシステム研究室

担当教員/小柳 滋

高度情報化社会を支えるコンピュータシステムの高性能化を目指した研究開発をハードウェア・ソフトウェアの両面から進めています。
ハードウェア
高速なコンピュータを実現するには、さまざまなレベルでの並列処理を取り入れる必要があります。命令レベル、プロセスレベル、データレベルでの並列処理に適したプロセッサの構成法について研究しています。また、チップ内に多数のプロセッサを搭載するメニーコアシステムにおいては、プロセッサと同時にプロセッサ間結合ネットワークの性能向上も重要です。このため、高速なチップ内ネットワークの構成法についての研究を行っています。
ソフトウェア
近年、ネットワークを通じて得られる大量の情報(ビッグデータ)の利用技術が注目を集めています。データマイニングは大量のデータから隠された特徴を抽出する技術であり、ビッグデータから有益な情報を高速に抽出するマイニングアルゴリズム、および応用の両面から研究を行っています。イベントの集中発生をリアルタイムに検出するアルゴリズム、Webアクセスログを用いた効率よい推薦アルゴリズム、青少年が安心してインタネットを利用できるための有害情報フィルタリング、ネットパトロール支援システムなどの研究開発を進めています。

サイバー犯罪を抑止しセキュアな情報システムを実現する技術の研究

サイバーセキュリティ研究室

担当教員/上原 哲太郎

情報通信技術が社会の重要な基盤になるにつれて、情報システムに発生する障害の社会的影響は極めて大きくなっています。なかでも、サイバー犯罪は社会の安全安心を脅かし、情報通信技術による便利で快適な生活を実現するための大きな妨げになっています。我々は、サイバー犯罪を抑止するための様々な技術や、情報システムの安全で安定した運用に資する技術の研究開発を行っています。
[デジタル・フォレンジック]
現代では、多くの犯罪や不正、事故の記録がデジタルデータの形で情報通信機器やネットワーク上に残るようになりました。しかしこれらのデータは消去や改ざんが容易で、またその証拠としての解釈も専門の技術者以外には困難であるなど、調査・捜査や裁判での活用には問題が残っています。デジタル・フォレンジックとは、このようなデジタルデータによる犯罪や不正、システム障害や事故の証拠を適正に収集し、改ざんを防ぎつつ分析することにより事故や障害の原因の解析から不正・犯罪の調査・捜査にまでつなげるための一連の技術を開発する新しい研究分野です。我々はこのデジタル・フォレンジックのパイオニアとして様々な技術を開発し、提案活動も行っています。

通常の犯罪では裁判官にその証拠は理解されているが、デジタルの証拠は評価が難しい

先進的システムソフトウェアでソフトウェアの革新を狙う

システムソフトウェア研究室

担当教員/毛利 公一・瀧本 栄二

オペレーティングシステム(OS)や仮想計算機モニタ(VMM)を中心としたシステムソフトウェアについて研究しています。システムソフトウェアは、コンピュータシステムの根幹を司るソフトウェアですから、その威力は絶大です。例えば、アプリケーションが、いくらファイルの内容を読もうとしても、ネットワークを使ってデータを送受信しようとしても、OSがダメといえばできないのです。このようなOSの特徴を活かし、セキュリティ機能に優れたOSを開発しています。皆さんを欺いてスマートフォンに入り込み、知らないうちに個人情報を盗むアプリケーションがあるのを知っていますか?OSならば、それらの動作を阻止することができるのです。
実は、そのような悪意を持ったプログラムはたくさんあります。ある報告によると2010年の1年間だけで2億8千万種の悪意あるプログラム(マルウェアと言います)が新たに出現しました。毎秒9個のペースです。皆さんのパソコンや携帯電話をマルウェアから守るには、それらがどんな仕組みでどんな悪事を働くのかを見極めた上で、ウィルス対策をせねばなりませんが、1秒に9個も出ていると対策が間に合いません。これを、迅速にかつ自動的に、正確な情報を得られる仕組みを、VMMを使って実現する研究も進めています。
あなたもこのエキサイティングな分野でチャレンジしませんか。

新しい計算機の構成方法と設計手法

次世代コンピューティング研究室

担当教員/山下 茂

今までの計算機は主に性能志向で設計されてきましたが、「故障に強い、消費電力が少ない」といった新しい観点で、次世代の計算機を設計する方法を研究しています。また、現在の計算方式とは全く異なる量子計算やバイオ・コンピュータなどの動作原理の理論的な解析や設計手法に関する研究も行っています。それに関連して、アルゴリズムやデータ構造に関する理論的な研究やGPUなどの並列計算による計算の高速化手法などの研究も行っています。
[故障に強いコンピュータ]
LSIの微細化が進むにつれて、製造時や使用時に起こるハードウェアの故障の問題が無視できなくなってきたため、故障をうまく回避して動作する計算機の設計手法の研究を行っています。
[量子コンピュータ]
電子のスピンといった微小な世界の物理状態を用いると量子並列と呼ばれる並列的な演算ができるため、問題によっては現在のスーパーコンピュータを凌駕する高速計算ができます。量子計算は量子回路というものでモデル化されるため、量子回路を効率的に設計する手法やツールの作成を行っています。

量子並列と量子回路

情報機器や情報システムの新たな可能性を拓くハードウェアの研究開発

集積システム研究室

担当教員/越智 裕之

計算機をはじめとする情報機器や情報システムのハードウェア、特に集積回路上に構成されるシステムについて、具体的な応用を視野に入れた「ものづくり」を指向して研究をしています。
[柔軟なハードウェア]
ハードウェアは通常、機能が固定されており、例えば人工衛星に搭載した集積回路の場合、打ち上げ後に故障した場合や、機能の追加・変更が必要になった場合でも、修理や交換を行うことはほとんど不可能です。当研究室では、回路構成を変更できる仕組みを盛り込むことで故障回路の切り離しや、遠隔操作による新しい機能の追加が可能となる再構成可能デバイスを研究しています。
[超低消費電力システム]
携帯電話やタブレット端末、ゲーム機に代表される携帯情報機器にはバッテリーが内蔵されており、長時間駆動のためには消費電力を極限まで低減する必要があります。太陽電池などで電力を自給自足する小型センサーでは、更なる低消費電力化が不可欠です。当研究室では、太陽電池などによる電源供給をも想定した回路やシステム構成の低消費電力化技術について研究しています。

再構成可能デバイスの設計支援ツール(左)
集積回路上に形成した超小型太陽電池の顕微鏡写真(右)

符号理論、情報セキュリティ

情報セキュリティ研究室

担当教員/佐竹 賢治

現在インターネットを基盤とした通信網を商用利用する動きは、電子メールの送受信にとどまらず、いわゆるバーチャルモールでのショッピングの支払いに使用される電子マネーなどの金銭情報を行き来させる時代にまでなってきています。しかしながら、近年世の中を騒がすネットワーク上の情報改ざんや身に覚えのない通信費の請求などの事件を見ると、これらの通信技術の実用化はセキュリティ確保といった観点から見ると、十分なレベルに達していないといわざるを得ません。一方、セキュリティを有する通信技術を一般ユーザが使用することを考慮すると、ユーザフレンドリーなアプリケーションの開発、ハイレベルなセキュリティの実現、といった相反する条件を満たすことが、重要となってきます。したがって、当研究室では既存技術を多方面より考察し、実用面においてさらなる発展をさせた新しい手法の確立を目指しています。

(左)指形状を用いた非接触型指紋認証手法

(中)2次元コードを用いた動画広告

(右)幾何学変換耐性を有する電子透かし埋め込み手法

次世代ソフトウェア開発支援環境の構築

ソフトウェア基礎技術研究室

担当教員/丸山 勝久・紙名 哲生・大森 隆行

ソフトウェア工学分野において、ソフトウェアの作成や保守をより簡単かつ迅速に行うための原理や手法を探求し、それらを採り入れたソフトウェア開発支援環境の構築に関する研究を行っています。たとえば,(1)ソフトウェア開発支援ツールを容易に構築可能とするツールプラットフォームの構築、(2)ソフトウェアの開発履歴を解析したり、ソフトウェアの構造や振る舞いを視覚化することで、ソフトウェアの進化を把握する手法の確立、(3)ソフトウェアの外部から見た振る舞いを変えることなしに内部構造だけを再構成することで、ソフトウェアの保守性や安全性を改善するリファクタリングの自動化に取り組んでいます。また、Web技術を積極的に活用した、次世代ソフトウェア開発・保守環境の構築の研究にも取り組んでいます。

研究室で試作した脆弱性混入検出ツールを用いたソフトウェア開発の様子

ソフトウェア要求定義技術に関する研究

ソフトウェア工学研究室

担当教員/大西 淳・糸賀 裕弥

ソフトウェア要求を顧客や利用者から獲得する手法、獲得結果を分析する手法、獲得結果を仕様化する手法、要求仕様を管理する手法について研究を行っています。ソフトウェア要求とはこれから開発するソフトウェアが持つべき機能や性能等を指しており、以下の研究プロジェクト等を進めています。
・シナリオによる要求獲得支援:シナリオ言語を開発し、ソフトウェアと利用者の振舞いをシナリオで表現し、機能やユーザインタフェースの問題点を明らかにします。さらにシナリオの視点変換や部品化したシナリオによるシナリオ生成、シナリオ差分からのシナリオ生成、シナリオ分類支援といった研究を行っています。
・要求オントロジーを用いた要求獲得支援:特定の分野知識を要求オントロジーとして用意し、分野知識を持たない分析者による要求獲得を支援します。獲得結果を日本語要求仕様にまとめる研究も行っています。
・メタモルフィックテストに基づくシナリオ解析:オーストラリアのスインブルン大学のT.Y.Chen教授と共同でメタモルフィックテストの考え方を用いたシナリオ解析手法の研究を進めています。

ライフログ分析による生活・社会サービスの開発

データ工学研究室

担当教員/島川 博光・梶原 祐輔・Dinh Thi Dong Phuong

センサ技術や計算機技術の発展により、私たちの日常生活からは、いろいろなデータが収集できます。勉強でどのような資料をみたのか、Webでどんなサイトを検索したのか、はては、今日はどんなものに触ったのかまでも記録することができます。このような記録はライフログと呼ばれ、このライフログを分析することで、私たちがどんなことに興味をもっているか、不便だとおもっているかが推定できます。このような推定結果に基づいて、ユーザが望むサービスを、要求されずとも適切なタイミングで提供する計算機システムための研究・開発を我々は実施しています。このようなシステムが実現できれば、ユーザの気持ちを察したサービスが提供できます。データ工学研究室では、高齢者支援、作業管理、教育、防災、興味推定などのさまざまな分野で、このようなサービスを、計算機に不慣れな人でも使いこなせる環境の構築を目指しています。

実世界と情報空間を結びつけたサービスの研究開発

ユビキタス環境研究室

担当教員/西尾 信彦・村尾 和哉

身のまわりの環境に無数に遍在するコンピュータとセンサーがネットワークに接続した中で、実世界と情報空間を結びつけたシステムを提供するための基盤技術の研究開発をしています。
[モバイル・ウェアラブル]
スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスとメガネやリストバンド、衣服、靴などにセンサやディスプレイを組み込んだウェアラブルデバイスを用いてユーザの状態や周囲の状況を認識する技術の研究や適応的に動作する多様なサービスの開発を行っています。健康管理や情報推薦、入出力インタフェース、近未来予測など「あなただけ」のサービスの実現を目指しています。
[実世界指向コンピューティング]
実世界のモノやコトに紐づいた情報を収集するセンシングシステムと、得られた情報を管理しマイニングを施すサーバシステムを構築し、新たなサービスを新たなUXで提供します。これまでの例では、大阪駅梅田駅周辺地下街のバリアフリー地図、無人化パノラマビュー、ランドマーク視認性確認対話ナビ、エネルギーハーベスト屋内測位、Wi-Fiパケット人流解析、防災システムなどを研究開発しています。
[組込みシステム]
組込みシステムとは、家電や自動車、産業機械などPC以外の様々なものに組み込まれるコンピュータシステムで、次世代ユビキタス社会のカギとなる技術の一つです。
現状は組込みシステム用OSやモバイルOSのプラットフォームや通信フレームワーク、ロボットミドルウェアとの協調、GPGPUなどに関する研究を行っています。

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