生命医科学科HP 生命医科学科

スポーツと健康に関する生理学的研究?運動生理学を基軸に?

応用生理学研究室

担当教員/里見 潤

さまざまな年齢層・体力レベル・健康状態の人々を視野に入れ、日常的な身体活動、スポーツ、そして運動不足が心身にどのような影響を及ぼすのかを解明しつつ、それらの研究成果を健康・体力の維持・増進や疾病の予防に有効に活かすことをめざしています。その際に、運動だけではなく働き方の問題、睡眠・休養、あるいは栄養も視野に入れた“ライフスタイルの科学”という総合的な視点を大切にするように心がけています。
また、アスリートの競技パフォーマンス向上への貢献という課題も重視し、世界レベルのアスリートも対象に含め、トレーニングおよびコンディショニングの質を高めるための科学的研究に取り組んでいます。

トップアスリートの運動負荷テスト
(撮影協力:ドイツ・ケルンスポーツ大学 循環器系・スポーツ医学研究所)

「安心と納得」の医療を実現するためのシステムや政策を考える

医療政策・管理学研究室

担当教員/下妻 晃二郎・國澤 進

わが国は、世界でもトップレベルの健康寿命達成と平等な医療の普及から、世界的に高い評価を得てきました。しかし近年、医療専門家と国民の間の深刻な情報格差、新医療技術の普及や急速な少子高齢化に伴う医療費の増大と世界的不況の追い討ち、また時代の変化に対応できない硬直化した医療政策の影響などにより、残念ながらこの高評価は揺らぎつつあります。今後も「安心と納得」の医療を提供し続けるためには、どのようなシステム(しくみ)や政策が必要か、理想的な医療システムや政策を追求します。そのために、研究室では現在、①医療の質や主観的健康度の定量的評価法の開発、②医療資源の適切な配分に必要な医療経済評価指標の確立、などの基礎研究や、①新規抗がん剤や心理社会的グループ療法の効果を検証する臨床試験、②適切な在宅緩和ケアチーム医療システムの構築、などの応用研究に取り組んでいます。

「安心と納得」の医療の達成に必要な社会的資源

神経回路のリモデリング

薬理学研究室

担当教員/田中 秀和

私たちが生命をつないで行くために必要な活動や、「ひと」としての人格ともつながる高度な精神活動は、精緻に構築された脳神経回路に負うところが大きいと考えられます。われわれのからだが形作られて行く過程で生じた神経細胞(ニューロン)が長い神経突起をのばし、つぎに出会った突起の細胞膜同士が鍵と鍵穴の関係で接着すること(シナプス結合)で、神経回路が編み上げられて行きます。神経回路が成立したあとでも、この過程の一部をくりかえすことで、シナプス結合の強化やつなぎかえが起きます。このようなメカニズムが記憶や学習、さらには薬物依存やリハビリで得られる機能回復といった、われわれの脳が持つ豊かな適応力の基盤となっていることが想像されます。われわれは、これらの過程に関与する分子メカニズムについて研究しています。

神経回路を形作るニューロン

外敵から体を守るしくみを探る?アンチセンスRNAによる遺伝子発現制御

医化学研究室

担当教員/西澤 幹雄

生物の設計図であるDNAから、情報を伝えるメッセンジャーRNA(mRNA)が作られ、タンパク質に翻訳されるのがセントラルドグマです。ところが最近、遺伝情報をタンパク質に翻訳されないRNAが数多く存在することがわかってきましたが、タンパク質にならないので、役に立たないと思われていました。その中の一つ、アンチセンスRNAがmRNAを安定化して、遺伝子の発現を調節することを世界に先がけて解明しました。この遺伝子は、ウィルスや細菌が感染したときに、これらを殺すために一酸化窒素(NO)を作る誘導型一酸化窒素合成酵素をコードしています。ところがNOは過剰になると、敗血症ショックを引き起こします。そこでアンチセンスRNAを働かなくすることで、mRNAを分解に導き、NOの合成を阻止することを試みています。

研究に用いられるラットの肝細胞

疾患プロテオミクス解析

プロテオミクス研究室

担当教員/早野 俊哉・下畑 宣行

ヒトをはじめとする数多くの生物種について、ゲノムDNAの全塩基配列が読み取られた今、生命科学分野において、細胞機能の直接の担い手であるタンパク質を対象とした研究が主流になりつつあります。このような状況の下、タンパク質の働きを網羅的かつ系統的に解析する「プロテオミクス」という新たな研究分野が大きな注目を集めています。プロテオミクスは、生まれて間もない研究分野ですが、これまでアプローチが困難とされてきた多くの生命現象の謎を解き明かしてきました。本研究室では、がんや早老症などの病気の原因や複雑な脳機能の解明を目指したプロテオミクス研究を進めています。これらの研究による成果は、さまざまな病気の新しい診断・治療法の開発といった医科学分野における進歩に貢献するものと期待されています。

タンパク質の同定に用いる質量分析装置

がんの細胞生物学~Hippo経路と関連分子の解析~

病態細胞生物学研究室

担当教員/堀 利行

われわれは、がんや難治性免疫疾患の新しい診断法や治療法の開発に結びつくような研究を目指しています。そのために、それぞれの疾患に適した細胞やモデル動物を選んで研究を行います。がんのような生命の根幹に関わる問題を扱う場合は、進化の段階の異なった種の間で共通して保存されている遺伝子の同定やそのシグナル伝達機構を調べることが問題解決への突破口となることがあります。現在、われわれの研究室では、ヒト、マウスなどの哺乳類だけでなく、線虫(C. elegans)の相同的なシグナル分子の研究も平行して進めています。それぞれのデータを比較検討し、生物種間のゲノムワイドな解析によって医学的に重要な問題の解明に取り組みます。

がん抑制遺伝子Lats2 (Kpm)発現誘導後の細胞死(アポトーシス)

体細胞初期化および幹細胞分化の分子機構とその再生医学への応用

幹細胞・再生医学研究室

担当教員/川村 晃久

我々の体は、約270種・60兆個の細胞から形造られていますが、もとは1個の万能な細胞が増殖しながらその性質を変化させ出来上がったものです。我々の何万とある遺伝子の中から、たった3〜4つの遺伝子を用いることで、我々の体の細胞はリプログラミング(=初期化)され、人工的な万能細胞(=iPS細胞)が作られます。リプログラミングとは、文字通り、生命のプログラムを、この万能な初期の状態まで書き換えることです。今日、自分自身の体から万能細胞を手に入れることが可能となりましたが、その使い道を考えるときがやってきています。私たちの研究室は、この初期化という現象を学問的に理解しその技術を正しく安全に医療へ応用することを目標とし、再生医療の一日も早い実現に向け、日夜努力を続けています。

iPS細胞から作られた心筋細胞(上)と、キメラマウス(下)

教員/工藤 雄博

健康にかかわる食と運動の影響について。

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