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多様な微生物の能力を利用して環境浄化やエネルギー生産に貢献する

環境バイオテクノロジー研究室

担当教員/今中 忠行・福田 青郎

●超好熱菌による水素生産:鹿児島県小宝島の温泉から60~100℃で生育する超好熱菌を分離した。本菌を用いて食品工場廃棄物中のデンプンから高速で水素を生産することができた。

●石油分解菌による油汚染土壌の修復:東北地方の油田などから油分解菌を多数分離した。その中から分解性能が高く安全性が認められる3菌株を選択し、効率的に油汚染土壌の修復を行うことに成功した。

●ナノバブルを用いた淡水域(琵琶湖など)の浄化:新型ナノバブル発生装置により効率的に酸素を供給し、好気性微生物によりヘドロを分解する。

●南極由来の極限環境微生物の探索:南極で採取してきた試料をもとに、多数の興味ある微生物を分離した。特に有機物濃度が低い環境でも生育できる貧栄養性微生物が南極微生物の特徴でもある。

面白い形の南極微生物

植物・微生物の光シグナル伝達機構の生理学的役割と分子メカニズムの解明

植物分子生物学研究室

担当教員/笠原 賢洋・高橋 文雄

植物は一度根を張るとそこから移動することができません。日差しが強ければ木陰へ逃げたり、空腹になれば食べ物を探しに移動できる動物とは大きく異なる点です。動けない植物は生育環境の変化に常にさらされますが、その変化を適確に認識し、機敏に対応して生活しています。
光は植物にとって光合成を行うエネルギーとして必要なだけでなく、環境変化を知るための情報としても重要な役割を果たしています。季節変化のような長期的な変化や、昼夜の変化、林下の木漏れ日による短時間での光量変化のような短期的な変化を、植物は光情報から認識することができます。このような植物の光に対する応答を、分子レベルで明らかにするために研究を行っています。

植物細胞と葉緑体

環境浄化、食料生産、生物機能解析

生物機能工学研究室

担当教員/久保 幹・荒木 希和子

●土壌肥沃度指標(SOFIX):生物活性を指標とした独自の土壌環境診断技術を構築しました。このSOFIX技術を用いた有機農業に取り組んでいます。また、微生物機能解明の基礎研究と共に高品質農産物の生産や有機米を用いた清酒製造への応用研究も行っています。

●バイオレメディエーション(生物を用いた環境浄化):石油汚染土壌の浄化を中心に、微生物機能を用いた環境浄化技術の構築と微生物機能の解明に取り組んでいます。世界で初めてとなる、バイオレメディエーション装置を産学連携で開発しました。

●水圏環境浄化:物質循環と対流を考慮した、新規水環境浄化システムの構築に取り組んでいます。将来は、琵琶湖の浄化に取り組みたいと考えています。

●バイオエネルギーの創製:木質バイオマスと糸状菌を用いた新しいバイオエネルギー生産技術の基盤研究に取り組んでいます。

農法の違いによるトマトの保存安定性

微生物の分子メカニズムを解明し、持続可能な社会の構築に活かす

応用分子微生物学研究室

担当教員/三原 久明

「バイオテクノロジー」という言葉が生まれる遥か昔から、人類は微生物と微生物が生産する酵素を利用してきました。微生物の多様な能力は、環境・食糧問題の解決、医薬品開発など幅広い分野に活用することができます。しかし、微生物の種類は私たちの想像を絶するほど多く、これまでに人類が役立てているものはまだほんの微々たるものに過ぎません。本研究室では、生化学、微生物学、分子生物学、遺伝学の手法を駆使して、微生物の多彩でユニークな代謝のメカニズムと微生物が生産する酵素・タンパク質の構造と機能を解明し、持続可能な社会の発展へ応用することを目指した研究を行っています。微生物の代謝システムを「ファクトリー化」することで、社会に役立つものを効率よくつくることが可能になると考えています。

微生物の代謝システムを利用したビタミン生産

自然環境を支える微生物共同体(バイオフィルム)を理解し、応用を目指す

界面微生物学研究室

担当教員/森 久雄・江田 志磨

環境中では莫大な数、種類の微生物が互いに影響しあいながら生きています。これら環境中の微生物は正常な自然環境を維持するのに大切な役割を果たしています。本研究室ではこれら環境微生物の生態を解明し、自然環境の保全・改善に役立つ研究を展開しています。ところで、自然環境中で多くの微生物は何らかの物の表面に付着した状態にあります。そこで、自然環境中における種々の表面・界面と微生物間の相互作用の解明、環境微生物細胞の表面特性の解析、付着メカニズムの解明、表面・界面における微生物活性等に関して基礎的な研究を続けるとともに、微生物共同体(バイオフィルム)の構造・機能等の解明、その応用に関しても新しい展開を試みています。

バイオフィルムの構造・構成の概念図

酵素による有用物質合成、発酵生産技術の 開発とその分子レベルでの理解と制御

酵素工学研究室

担当教員/若山 守・梅川 碧里

酵素はすべての生物に存在し、生物の代謝反応を触媒・制御している大変重要な生体高分子です。世の中には実に多種多様な生物が棲んでいますから、それに応じて多種多様な性質をもった酵素が存在しています。酵素工学研究室では、多種多様な酵素の中から優れた能力をもつ酵素を探し出し、医薬品原料や食品添加物となる化合物などの有用物質をこれらの酵素を用いて合成する方法を開発しています。また、微生物の力を直接利用する発酵により、新規食品の開発や医薬品原料などの有用物質の生産を行うとともに、それらの発酵過程を分子レベルで理解・制御する研究にも力を注いでいます。注目度の高い研究として、医薬品原料として重要なD‐アミノ酸の酵素生産法、新規発酵調味液“酪醤”の生産、アクリルアミド生成抑制能を有する食品添加用酵素アスパラギナーゼの開発、旨み成分“テアニン”合成用酵素の構造と機能に関する研究、キチナーゼやα‐/β‐グルカナーゼなどの多糖分解酵素の未利用バイオマスや農業への応用研究があります。

グルタミル基転移酵素の立体構造

バイオエネルギー源である植物糖鎖の生合成・分解メカニズムの解明

バイオエネルギー研究室

担当教員/石水 毅

セルロースなどの植物糖鎖がバイオエネルギー源として注目されています。バイオエタノールなどの再生可能エネルギーを製造できるためです。しかし、植物糖鎖からのエネルギー製造コストが高く、実用化に至っていません。実用化するためには、複雑な構造の植物糖鎖の生合成・分解メカニズムを正確に解明し、そのメカニズムを元に、効率的なエネルギー製造工程をデザインする必要があります。バイオエネルギー研究室では、植物糖鎖の生合成・分解のメカニズムを解明する研究を行っています。これまでに当研究室で開発した酵素解析法を適用して、植物糖鎖の生合成・分解に関わる酵素を生化学的に解析する研究を進めています。

研究材料に用いている細胞壁多糖合成能を高くしたタバコ培養細胞

ゲノム編集を利用したウイルス抵抗性植物の分子育種

食料バイオテクノロジー研究室

担当教員/竹田 篤史

植物も病気になります。病気による農作物の減収を減らす事は非常に重要です。本研究室では、バイオテクノロジーの力でウイルス病に強い農作物を作出することを目指しています。基礎的な研究として、植物ウイルスの感染機構の解析、RNAiによるウイルス抵抗性機構の解析、RNAiスクリーニングによるウイルス宿主因子の同定などを行っています。また、応用的な研究として、TALEヌクレアーゼによる植物遺伝子破壊系の構築、ゲノム編集による外来遺伝子フリーなウイルス抵抗性植物の作出などを行っています。

主に実験に用いているモデル植物のArabidopsis thalianaとNicotiana benthamiana

教員/土屋 雄揮

自然環境中の微生物共同体(バイオフィルム)の特性と機能を解明し、様々な生物が棲息できる豊かな水環境の維持に役立てる。

生命科学部の研究室
薬学部の研究室
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