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日本の建築の歴史に関する研究と歴史的建築の保存

建築史

担当教員/青柳 憲昌

本研究室では、日本の建築の歴史に関する研究、および歴史的建築の保存に関する調査を行っています。建築学はあらゆる学問領域の中でも最も古くから存在するものの一つですから、私たちの身の回りにある建物は、非常に長い建築的営為の蓄積の上にあるわけです。建築に関わる「文化」がそこには必ず存在していますので、私たちはその文化を消失させてしまうことなく、正しく理解し、継承していくことが求められます。建築史の研究は、建築文化の理解の幅を広げ、また深めるための学問であり、さらにはこれからの建築に指針を与えうるものです。また、歴史的建造物は、過去の歴史的建築を後世に伝え、これからの時代の伝統創造の源泉となる貴重な遺産ですから、それらを現実の社会で「保存」していくことは重要な課題です。本研究室では、さまざまな歴史的建造物の保存・修理・改修工事にも積極的に関わっています。

法隆寺東院伝法堂・西院金堂
昭和9~31年に行われた法隆寺昭和大修理により、学術的調査・研究にもとづき創建当初の姿に復原された。

都市・建築空間の計画と形態解析

都市空間デザイン研究室

担当教員/及川 清昭・藤井 健史

住居などの単体の建築から集落・市街地・都市に至るまで広範な構築環境を対象として、それらの空間構造の特性を形態学的・幾何学的な視点から客観的に記述・分析・評価する理論の開発を行っています。また、実際の都市・建築空間計画への適用方法について、特にデザインの立場から考究しています。現在取り組んでいる研究テーマは以下の通りです。
①都市・建築空間解析:建物・都市施設配置や土地利用、都市景観、人の流動、可視領域などを対象として、空間特性の描出を試みています。
②世界の伝統的住居・集落・都市の調査と分析:地域に固有な住まいを現地調査し、自然・社会環境条件と空間構成の対応関係を相互に比較し、居住文化の特性について実証的な考察を行っています。
③空間計画の実践:住居・学校・商業建築などの設計や、駅前整備計画、自治体のまちづくりに参加しています。

研究室が設計に携わった守山小学校・幼稚園合築計画

建築におけるコンピュータ活用

建築情報研究室

担当教員/加戸 啓太

「建築分野においてコンピュータを活用する」と聞いて、まず思い浮かぶのは、近未来的な建築のデザインでしょうか。デザインや設計以外にも、環境や構造のシミュレーションにもコンピュータが活躍しています。かつては、アンビルトと言われたデザインも、情報処理技術の発展によって実現されるようになりました。皆さんが日常関わる建築も設計や施工の過程のどこかでコンピュータが必ず用いられているはずです。本研究室では、コンピュータの中で建築をどのように表現するか考察し、その利活用について研究を行っています。建築の三次元モデルを部品の集合として構築する、部品を表すために建築構法の知識表現を試みるといったテーマの中で、伝統木造建築のデジタルアーカイブ化研究や、画像解析により実空間から情報を得るといった研究などに取り組んでいます。

デジタルアーカイブ化研究よりモデル作成と三次元プリンタによる模型の様子

住宅の健康性・快適性・省エネルギー性の評価

居住環境研究室

担当教員/源城 かほり

日本は南北に長く、地域によって気候特性に違いが見られ、建物のエネルギー消費量は寒冷地と温暖地とでは大きな差があります。住宅のエネルギー消費は増加の一途を辿っており、地球環境問題の解決に向けた長期的な省エネルギー対策が必要です。しかし、居住環境の快適性や健康性、利便性をないがしろにしてまで省エネルギーを実現させるのは望ましくありません。そこで、本研究室では、居住環境の快適性と健康性を確保しながら、同時に省エネルギー化も実現できるようなライフスタイルのあり方について提案することを目的とした研究を進めています。研究の手法として、主として住宅を対象とした熱空気環境やエネルギー消費量の実測やアンケートを実施して研究しています。居住環境を巡るさまざまな問題を住まい方の改善によって解決する方法を提案することを目指しています。

室内空気中の化学物質気中濃度を測定し、居住環境の健康性について評価します。

ランドスケープ・デザイン─屋外空間の計画・設計

ランドスケープ・デザイン研究室

担当教員/武田 史朗

ランドスケープデザインとは屋外空間や景観のデザインのことです。庭園などの小さな空間から公園・緑地や街路景観などの大きな景観までが対象になります。植物が重要なデザインの材料となることや、公共的な場をデザインすることが多いことも特徴です。公共空間のデザインでは、多様な利用者の要求を満たすだけでなく、空間自体の審美性も大変重要になります。近年では自然環境の保全やエコロジーといった観点から緑地の管理・運営も重要な課題です。こうした多様な観点を、建築を含む一つの空間や景観のデザインとしてまとめあげる技術やプロセスを学ぶのがランドスケープ・デザイン研究室です。研究と同時に、デザインの実務や設計コンペへの参加を積極的に行い、実務家としてのデザイナー育成に力を入れています。

研究室で提案した立命館大学
大阪いばらきキャンパスのランドスケープデザイン

建築・都市環境工学、建築設備、環境共生

建築環境・設備研究室

担当教員/近本 智行

環境と共生可能な建築や都市・街区のデザイン、人の快適性・生理現象の解明、低炭素社会構築に向けた研究を展開しています。
①人~快適性・生理現象の解明/建築や都市の中の様々な空間で体験する快適性や生理現象を解明し、人が本当に快適に感じる建築や都市を検討しています。
②建築~省エネルギーへの取り組み/古の知恵を活かした京町家に学び、環境に配慮した建築を提案する他、快適で省エネな次世代の空調システムの開発、エコ・キャンパス推進を行っています。新しいキャンパス、トリシアも実践的な実験場です。
③都市~環境に配慮し安全な街区・都市デザイン/ヒートアイランド抑制につながる都市緑化や街区デザインの評価・研究を行っています。
④地球~低炭素社会を目指して/環境教育の実施を含めた低炭素社会実現を目指しています。

風洞実験室内に都市を再現し、ヒートアイランド緩和の研究を行っています。

建築設計プロセスと建築意匠・景観コントロール

建築設計デザイン(建築意匠)研究室

担当教員/平尾 和洋

建築・プロダクトのデザインには、作業の手順としての「デザイン・プロセス」という考え方・学問領域が存在します。これは1960年代のアメリカやドイツで発達してきた概念で、主に工業デザイン・建築デザイン分野で研究が行われてきました。
これはまさしく、デザイン行為を①無駄のない時間配分、②独創性のあるアイデアの生成、③表現力豊かなプレゼンテーション等により効率的に行おうとする「実践的学問」です。これらを次の3点を課題としています。○スケッチなどの表現技法、発想法を援用し、実際のプロジェクト等を通して有効性を検証する実践と研究を行い、プロ・デザイナーの卵としての力をつける。○建築特有のデザイン・スキルだけでなく、マネジメントの力を身につけて社会人となる。○大学の社会貢献として、パブリックな都市デザイン(景観)の検討の際、スムーズな住民説明・合意形成に寄与する。

建築の職能を拡張するスタジオ教育のモデル構築

スタジオデザイン研究室

担当教員/堀口 徹

建築家の職能はつねに変化しています。そしてこの状況を反映するかのように、建築デザイン教育も時代とともに変化しています。この状況は年々加速しており、いま世界各地で、建築家たちはこれまでの職能領域を拡張しながらプロジェクトを展開し、建築教育機関(つまり大学)では「スタジオ」を通して新たな職能のあり方が模索されています。この研究室では、国際的な過渡期を生き抜くための行動力と思考力を身につけるべく、研究室の外(異文化・異業種)と交流しながら、長期・短期さまざまなスケールのプロジェクトワークに取り組むスタジオを展開するとともに、新たなデザイン教育のモデルをめざす国際研究にも取り組みます。スタジオデザインとは、スタジオでデザインすることと、スタジオをデザインすることという二重の意味をもっているのです。

海外大学との異文化交流プログラム
「国際建築ワークショップ」の様子

木材および木造建築物に関する研究

建築材料研究室

担当教員/向坊 恭介

地球環境問題が議論される現在、自然材料である木材が建築材料として注目を浴びるようになってきています。そもそも、わが国では古来より住宅や社寺などの建築物に木材が使用され、地域の気候や風土に適応した特色ある建築構法が生み出されてきました。しかしながら、近年頻発する大地震において、木造建築物は甚大な被害を被っています。木造文化を地震災害から守り、後世へ継承していくことを目的として、木材の力学的性質の解明、木造建築物、特に伝統建築物の耐震性能評価法および耐震設計法に関する研究を行っています。

木造軸組壁の水平載荷実験の様子

設計方法に関する研究と実践

建築計画研究室

担当教員/宗本 晋作

この研究室では、デザインを「人の行動を観察する中から生まれてくるもの」と捉えています。そして「人の行為を分析し、デザインに活かす」あるいは、「デザインの裏付けとして分析手法を取り入れる。そうして生まれた建築は、力強く人を惹きつける」と考えています。設計の創造性の原動力は、人間の自然な行動や感性にあると仮定し、建築空間や環境のデザインとその評価、人間の知覚や行動、感性を対象とし、これらを科学的に分析し、新しい設計理論の創造とその実践をテーマとして研究を行っています。また理論の創造だけでなく、実践的な環境こそ学生の成長に繋がると考え、2011年からは東日本大震災の被災地の小さな漁村に仮設の集会所をつくる等、建築を通じた社会との関わりを積極的につくるため、被災地支援にも取り組み続けています。

被災地に建設した仮設の
集会所

モノ造りと新しい材料や工法の開発

生産・材料研究室

担当教員/持田 泰秀

建物の設計やモノ造りの現場では、各々の段階で独自のものさしを使っています。そして、時代に合わせてものさしをうまく適応させて、これまでにない巨大な空間や高品質で便利なものを造り、社会に貢献しています。また、新しいものを造るだけではなく、古い建物を再利用したり、長持ちする建物を造ったりするといった環境を重視した取り組みが大切になっています。現在行っている研究は、モノ造りのコミュニケーションやマネジメントに関連するものです。例えば、免震レトロフィットを始めとする耐震補強の方法。コンクリート構造の乾燥ひび割れ制御などの維持管理。熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維ロッドや高強度繊維複合集成材などの新材料開発。電気比抵抗を用いた改良体の視える化技術などの情報通信技術の応用といったものです。

熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維ロッド試験体製作の様子

コンクリート打設見学風景

建築構造物の耐震性能の把握と合理的設計法の構築

建築構造デザイン研究室

担当教員/吉富 信太

建築構造の役割は、地震や風,環境振動などの様々な外乱に対し、安全で住みやすい環境を実現することにあります。特に近年頻発する大地震の影響を受け、建築構造物の耐震性能を的確に把握する必要性が高まっています。本研究室では、ビル建物から伝統的木造建築まで幅広い建物の耐震性能を実験や解析を通じて明らかにし、必要な構造性能を有した建築構造物を合理的に設計する手法に関する研究を行っています。構造性能と建設コストのバランスを取って全体架構や各部材の寸法を適切に選択する方法や、建物の振動抑制のために近年広く用いられている免震構造・制振構造といった装置の適切な設計法を扱っています。また、建物の振動計測に基づいて実際の建物の耐震性能を把握し、地震時の損傷部位を検出するためのシステム同定法に関する研究も行っています。

最適設計解に基づく設計支援       小型高層骨組の
                    振動実験

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