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都市の地震防災と社会基盤施設の非破壊検査

防災システム研究室

担当教員/伊津野 和行・川 佑磨

人の命を守るのは医学だけではありません。この研究室では、エンジニアリングの分野で、地震など自然災害から人や町、さらには文化を守るための研究をしています。
【伊津野:橋の耐震安全性評価】
橋が壊れると物流が滞り、日常生活に大きな影響を与えるのみならず、災害復旧の遅れにもつながります。地震の揺れによる破壊だけではなく、沿岸部では津波に対しても安全な橋を造る必要があります。そのための実験や数値解析を行っています。。
【川:構造物の非破壊検査】
私達の体と同じように、コンクリート構造物でも、構造物自体を傷つけることなく、検査できる非破壊検査が必要になっています。コンクリートの医者と言うこともできます。そのために、実験や解析を行って高精度な非破壊検査法を目指しています。

橋に襲いかかる津波の実験

非破壊検査

洪水など水災害を防ぐための基礎研究

水理研究室

担当教員/John C. WELLS・
     PHAN NGOC MY TUY

今日、地球環境の大きな変化により、巨大ハリケーン、台風などによる被害が増大しているなか、河川工学および災害予知が重要となっている。水理研究室では、基礎研究として、河床の砂粒子の細かい移動プロセスに着目している。
洪水時の粒子の侵食や堆積により、「河床形状」(例えば「Dune」という砂の「波」)が形成される。河床形状によって水は流れにくくなり、水が堤防を溢れることが多い。 河床における砂粒子の移動を「掃流砂」と言うが、これは非常に観察しにくいため、天気予報に使用される大気のコンピュータシミュレーションと同様の解析法を用い、掃流砂のシミュレーションの開発を行っている。また、シミュレーションを検証(チェック)するための先端測定技術開発も行っている。

掃流砂現象の解明のため、高濃度の固液二相乱流に対応できる「直接」数値シミュレーション法(Direct Numerical Simulation; “DNS”)を開発した。

歴史都市の防災計画と、歴史を活かしたまちづくり手法の開発

歴史都市防災研究室

担当教員/大窪 健之・林 倫子

従前は別々に取り組まれてきた「歴史都市の保全」と「都市の防災計画」の複合領域にある「歴史防災まちづくり」を、歴史都市防災研究所とともに文理融合で進めています。町並みと生活を守る「住民参加による防災計画づくり」をはじめ、過去の大災害を生き延びてきた「伝統的な減災の知恵」の抽出、燃えても消せる防災水利の技術開発や、本願寺水道という歴史的防災設備の再生、近代の都市基盤史から見た「歴史まちづくり計画」や、「河川の景観評価研究」など、実践的プロジェクトへの参画と、歴史調査、社会調査を通して、専門性をまたぐ多様な研究を進めています。
国内外におけるフィールド調査から、具体的計画案としての総合化、そして住民や行政等による評価を含む、一連の課題解決型の研究に取り組んでいます。

街路放水設備イメージ:市民消火栓とともに沿線に設置し、木造表面を湿らせて延焼を抑える。

持続可能な都市の構築・マネジメント

都市計画研究室

担当教員/岡井 有佳

人口減少や地球環境問題の高まりなどを背景に、都市は拡大・成長の時代から縮小の時代へとシフトし、「豊かで活力ある持続可能な都市」の実現が求められ、一方で、都市化時代につくられた近代都市計画制度の抜本的な見直しが必要とされています。そこで、成熟した都市型社会において、(1)拡散した都市をいかに計画的に縮小していくか、また、(2)地域の特性を活かした都市を実現するためにいかに都市の維持管理を行っていくかという点に着目して、地区レベルから広域レベルまでを対象とした都市・地域計画システムに関する研究、および、国から地方、さらには住民やNPO等を含んだ多様な主体の参加と協働による都市のマネジメントに関する研究を行います。さらに、日本の都市のみならず、欧州を中心とした海外、特にフランスの都市計画との比較を実施します。

フランス地方都市(リール)の街並み

都市交通計画のための交通行動分析と交通現象分析

都市交通研究室

担当教員/小川 圭一

都市の中での人々の動きや、道路上での自転車や自動車の動きなど、都市の交通に関する研究をしています。都市内の交通をスムーズにし、交通渋滞や交通事故などを減少させるためには、都市の中で移動する人の行動や、車を運転する人の運転行動を分析して、適切な交通管理方策や交通安全対策を考える必要があります。
通勤・通学や買い物など、交通行動はだれもが日常的におこなっています。身近な生活の中の行動を対象にした分野ですので、日常生活のいろいろなところに研究の対象があるはずです。

交差点内の自動車の動きを分析するためのビデオ撮影画像

河川流域のあるべき姿を探求する

流域デザイン研究室

担当教員/里深 好文

河川は雨を河口まで運ぶ経路というだけでなく、様々な物質の循環経路です。川の流れによって運ばれる土砂は地形の変化を生み、森林において形成される有機物とともに多様な自然環境を創出してきました。一方、古来より人間は河川の恵みの下でその勢力を拡大し続け、時として洪水や土砂氾濫といった災害にみまわれながらも、流域を自分達に都合がいいように変化させてきました。近年、自然環境の保護・保全が叫ばれるようになり、人間による河川への働きかけを極力抑えるべきではないかとの意見も強まっています。当研究室では河川流域の水と土砂の流出現象と、それに伴う地形変化について研究しています。また、そういった現象が生態系に与える影響や、これまでの河川整備の変遷等を調べることで、人間社会と河川環境とをより高度にバランスさせる手法について研究しています。

新河道が建設された草津川流域を対象に
水と土砂の流出過程を調べている。

「歩くまち」実現を支援する都市交通システムの構築

交通システム研究室

担当教員/塚口 博司・安 隆浩

よりよい都市交通システムの構築を目指して、交通現象の分析ならびに都市交通システムの計画・マネジメントに関する研究を行っています。特に近年は、楽しく歩くことができる都市の実現に重点を置き、交通行動分析に基づいた歩行者行動のモデル化とそれを用いた歩行者空間の計画、大規模交通ターミナルや観光地におけるサイン計画、トランジットモール等を実現するための交通管理の検討などの歩行者関連の研究を推進しています。もっとも、楽しく歩ける都市を創るためには、歩行者に直接に関わる研究だけでなく、それを支える統合的な交通システムが不可欠です。そこで、駐車対策、荷さばき駐車管理を中心とした地区物流合理化、公共交通の充実等の研究を行っています。また、平常時だけでなく、地震等の大規模災害が発生した場合に必要となる災害時交通マネジメント、避難計画についても研究しています。さらに、「歩くまち」が画一的なものとならないようにするためには、地域のアイデンティティを生かすことが重要ですから、交通現象を文化の側面からも研究しています。

研究室の日常(学生諸君の研究風景)

鋼構造物の強度、鋼橋の維持・管理

橋梁工学研究室

担当教員/野阪 克義

橋梁工学研究室ではおもに鋼橋の設計・維持管理に関する研究を行っています。鋼橋を経済的に製作するための設計法に必要なデータとして、鋼橋を構成する部材の強度を実験や解析によって明らかにしています。実験では、鋼材の強さを目の当たりにでき、皆さんの生活を支えている構造物の強さが実感できます。また、私たちの周りの多くの構造物は長い間の使用により古くなってきているため、補修や補強を行うことによってより長く安全に使用できるようにしていくための方法を研究しています。ひとつの方法として、炭素繊維強化樹脂(CFRP)板という素材を用いることを検討しています。このCFRP板は、軽量で鋼材よりも強い強度・剛性を持つ製品も開発されており、その使用方法によってはこれからの有効な材料として注目されています。

構造ヘルスモニタリング・信頼性解析・維持管理計画策定

建設プロジェクトマネジメント研究室

担当教員/野村 泰稔

当研究室では建設プロジェクトマネジメントの維持管理に資する構造物の健全性をリアルタイムに監視する技術(Structural Health Monitoring: SHM)に関する研究を行っています。モニタリングとは、あるシステムの状態を把握するための一連の監視活動を意味しますが、「状態の把握」だけでなく、「システムの時間的変化を知る」という目的も含まれています。これらの目的を達成するためには、システムの状態とモニタリングされた物理量との相関関係を確立することが最も重要です。当研究室では、情報通信技術やソフトコンピューティングなどを利用し,診断対象施設の健全性を把握するための点検・調査・診断の一連の行為を自動化し、効率化・省力化を図るSHMシステムの開発を目指しています。また、上記以外にも、確率論に基づくライフラインや道路橋ネットワークの信頼性解析などに関する研究を行います。

車両走行橋梁振動実験の動画計測画面

斜面防災とジオメカトロニクス

ジオメカニクス研究室

担当教員/深川 良一・藤本 将光

当研究室では、地盤防災およびジオメカトロニクス(地盤を対象とする作業機械の自動化、ロボット化に関する研究分野)に関する研究を行っています。
【深川:土砂災害に対する文化遺産防災および斜面崩壊メカニズムに関する研究】
代替性のない文化遺産建造物を豪雨や地震に起因する自然災害から守る研究を行っています。特に斜面崩壊に関しては、現地斜面表層内の水分量計測、大規模モデル斜面崩壊実験、超音波センサの開発、先端力学モデルに基づく数値シミュレーションの実施など、活発に研究を推進しています。
【藤本:地盤内水文環境モニタリング】
良質で安全な水の供給を実現するための山体地下水資源開発に関する研究を行っています。また、斜面内、特に地盤内の地下水流動のモニタリング、亀裂等を含む地盤構造の調査を行い、災害発生危険度評価に関する研究を行っています。

東北太平洋沖地震による仙台城石垣被災状況調査

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