RS 学園通信 vol.127 特別企画 公費助成運動
October 2000
 
公費助成運動を通して新しい大学づくりを
公費助成を推進する
立命館大学全学連絡協議会代表
国際関係学部教授
安藤次男(あんどう・つぎお)

IT革命など新たな科学技術の発展や、平和・環境・福祉・貧困など社会問題の深刻化に伴って、「知の再構築」が求められ、高等教育に対する社会的期待がますます高まっています。

しかし、現実に日本で大学教育を受けるには多大の経済的負担が必要です。その第1の原因は、高等教育に対する国家予算の少なさです。GDPに対する日本の高等教育予算の比率は、ドイツ・イギリスのおよそ半分でしかありません。第2は、国庫支出が国立大学偏重で、大学生の73%を占める私立大学に対する助成額がきわめて少ないことです。私立大学は、このように言わば「二重の矛盾」の中にあります。公教育が「私負担」に任されるという「日本型私立大学の持つ矛盾」を解決することが必要であり、そのための取り組みが公費助成運動です。

1999年度の全学協議会は、「教育の機会均等、父母負担の軽減、いっそうの財政民主化、公費助成運動の推進」という「低学費政策の4つの論理」を踏まえて、公費助成運動が低学費政策の重要な一環であることを改めて確認しました。

立命館大学は、私学に対する公費助成の大幅増額、高等教育予算そのものの拡充、地方自治体における留学生などへの奨学金制度の充実、教育費減税制度や私立大学寄付金への控除制度の創設を要求するとともに、公私協力や社会的ネットワーク・リエゾン活動など大学独自の努力を強化して、学費だけに依存することのない確かな財政基盤を構築することを目指して公費助成運動を進めています。

公費助成運動は、学生のみなさんの「学びと成長」の要求を財政の面から支えるものでもあります。

そのカギは、言うまでもなく、「教育研究の高度化をはかり、社会的に高い水準での教育研究を進めることによって、広範な社会的支持と支援を拡大していくこと」(1999年度全学協確認)にあります。学生の皆さんも、日々の学習に主体的に取り組みつつ、公費助成運動にいっそう積極的に参加して「知的興奮の渦巻く学園」づくりの一員になって欲しいと期待しています。



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