一般社団法人日本建築学会にて、衣笠総合研究機構 大場修教授が2021年日本建築学会著作賞*1を、産業社会学部 永野聡准教授らの研究グループが2021年日本建築学会賞・復旧復興特別賞*2を受賞しました。

 大場教授は、著作『「京町家カルテ」が解く-京都人が知らない京町家の世界』(淡交社、2019年)』において、「京町家カルテ」という町屋診断のためのフォーマットに集められた事例により、京町家にさまざまな類型や歴史的経緯があることを具体的に示し、高く評価されました。

 永野准教授らの研究グループ(閖上復興支援研究者チーム)は、東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた宮城県名取市閖上地区にて、30 年以上続けられていた「ゆりあげ港朝市」の早期再開ならびに多くの集客による賑わいの創出において、専門的な見地から復興計画を策定し、献身的に推進したことが高く評価されました。

大場教授の受賞コメント

 『「京町家カルテ」が解く-京都人が知らない京町家の世界-』は、(公財)京都市景観まちづくりセンターが主催する「京町家カルテ」という独自の事業から汲み上げた多彩な京町家の姿を、驚き冷めやらぬまま纏めた京町家の再発見物語です。タイトルそのままの内容です。
 より多くの人に京町家の魅力を発信すべく書きました。同時に、「カルテ」の取組みを京都の人にもっと知ってもらいたい、全国の人にもその意義を伝えたい、と願いつつ書いたものです。京都には4万軒余りの町家が残ります。しかし、「カルテ」事業がなければこの本は生まれようがなく、賞は「カルテ」自体にも向けられていると受け止めています。
 審査講評は的確に記します。「「京町家カルテ」事業により集められた約300件の町家データである。市民、企業、行政のパートナーシップによる豊かな街づくりの一方法として企図され、幅広い市民の参加を得て可能になった(中略)。これは「専門から一般へ」という従来の啓発のみならず、草の根活動が「一般から専門へ」向けて再定義を促しうる物的土台を準備したという点で貴重である」と。
 この本を通して、「カルテ」と同様の試みが広がり、町家は街の財産であり街づくりの資源である、との理解が深まることを願っています。ありがとうございました。

永野准教授の受賞コメント

 2011年3月11日の東日本大震災の津波で甚大な被害をうけたゆりあげ港朝市(以下、朝市)をゼロから再建するため、施設デザイン、プランニング、資金調達、組織づくり等、やるべき事は実に多くありました。その中、「カナダー東北復興プロジェクト Canada Tohoku Reconstruction Project」の一環として、名取市閖上地区の朝市に復興支援の手が差し伸べられ、現地再建が叶い、建物の一部が完成しました。残りの建物を建てるために、お金を用立てる必要もありました。クラウドファンディングも実施しましたし、地銀等にもご協力頂きました。組織体制も作る必要があり、NOP法人ETIC.様には右腕支援(震災復興リーダー支援プロジェクト)もして頂きました。
 その後もいろいろとありましたが、「復興にはピュアでなければならない。」「お客様(地域住民)を閖上の地に戻したい。」という櫻井朝市代表の言葉が常にありました。

 地域住民のために、朝市として、何が出来るか、何をすべきか、常に考え行動する事を大切にしてきた10年間でした。

 3.11から10年目という節目となる本年に、立命館大学産業社会学部永野ゼミ、(一社)名取市観光物産協会、閖上水産加工業組合、(株)かわまちてらす閖上、(株)ささ圭(社長と専務は立命館校友)と閖上復興感謝プロジェクト委員会を組織し、閖上とカナダの絆を象徴する「閖上福幸笹かまぼこ」の商品開発を実施しました。閖上に縁のある団体が集まり実施する初めての取り組みとなりました。その過程においては、クラウドファンディング(運営:READYFOR)を実施し、多くの皆様にご支援を頂く事となりました。これからは、閖上とカナダの新たな交流のカタチを模索する取組みも名取市やカナダ大使館の関係者も交えて実施する予定でおります。

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