「教わる」から「自ら学ぶ」へ 仲間と共に大学での学びの基礎を築く1回生の小集団教育

2017.07.03 TOPICS

「教わる」から「自ら学ぶ」へ
仲間と共に大学での学びの基礎を築く1回生の小集団教育

左から瀬戸愛永さん、リ・ドングンさん、奥井春風さん
左から瀬戸愛永さん、リ・ドングンさん、奥井春風さん
米山裕教授
米山裕教授

文学部 研究入門ⅡG4(2016年度後期) 米山裕教授

◎参加者 文学部2回生コミュニケーション学域
奥井春風さん(国際コミュニケーション専攻)
瀬戸愛永さん(国際コミュニケーション専攻)
リ・ドングンさん(言語コミュニケーション専攻)

 『学びの立命館モデル』を軸とした立命館大学の教育システムの特長のひとつに「小集団教育」があります。各学部がそれぞれの学び、回生(学年)に合わせた小集団授業をカリキュラムに配置し、学生たちは1回生から卒業まで段階的に学びを深め、研究を進めています。
 ここでは、そのひとつである文学部の米山裕教授の「研究入門Ⅱ」G4を2016年の後期に受講した2回生の皆さんに集まっていただき、お話をうかがいました。学生自身が感じる学びの転換点、それを踏まえ、その後の専攻選択や留学、将来の目標を決めるにあたりどう影響したのでしょうか……。

自分の意見を伝える難しさを実感

 文学部では、1回生の小集団授業を「研究入門」と言います。数人のチームに分かれ、それぞれテーマに沿った文献など調べ、研究発表を行うもので、高校までの「教わる」教育から、大学での「自ら学ぶ」教育へのターニングポイントとなる重要な学びとなります。ここでの到達目標となるのが、文章読解&要約力、説明力(分かりやすいレジュメやパワーポイント)などの向上はもちろんのこと討論・議論できる力を養うこと、議論を通じ自ら学び、仲間の学びを支援する姿勢を養うこと、将来追求してみたいテーマの発見、4年間の具体的なイメージを持って計画的に過ごす力を付けることなどが挙げられます。
 しかし、実際のところ、大学生になったばかりの1回生には、いきなり「◎◎について研究、発表してください」と言われても、何をどうやって調べればいいのか、それをどうまとめて発表すればいいのかなど戸惑うことも多いと言います。そこで米山教授の研究入門では、事前に分野別にいくつかのテーマを決め、参考文献なども合わせて示すなど工夫。グループで研究に取り組むにあたり、まず提案書を提出させ中間発表などを行うことでグループ内はもちろん、クラスの仲間、教員と進捗や内容を共有しながら進めています。
 瀬戸さんは、「発表するにあたり、調べた、研究したことに対して自分がどういう意見を持ったかということ(考察)を書かなければいけないのですが、高校時代までは先生に教わることが中心で、自分の意見を言う機会がほとんどなかったのですごく戸惑いました。自分の意見として考えることはもちろん、相手にどう伝えればいいのかも最初の頃はまったく分かりませんでした。先生に指導していただいたり、みんなの発表を聞いたりしてアプローチの仕方やまとめ方、伝え方なども以前に比べれば、かなり進歩したと感じています」と感想を話します。

調べ、研究し、まとめて発表することの楽しさと「絆」

 研究入門など小集団授業を1回生時から行う意義について、米山教授は、「自ら面白いと感じるトピックを見付け、それについて調べ・研究し、まとめて発表することの楽しさをこの授業で味わってもらい2回生以降の学びにつなげること」を挙げます。さらに「もうひとつがクラスの『絆』を築くこと。大学で4年間を過ごすにあたり、安心感のある港のような居場所に、仲間と共に学び合うこの研究入門のクラスがなってほしい。実際、卒業後も研究入門の同窓会があるなどというケースも多々見られます」と、その重要性を話します。
 リーさんは、「ひとつのテーマを深く掘り下げ、それをまとめて発表することを通じて、自ら学ぶ、研究する楽しさを知ることができました。日本に留学に来た当初は、日本語が話せるようになり、大学で良い成績が取れればと単純に考えていましたが、今は、言葉が話せるだけでなく、その国の文化、言語などについても深く知りたいと思うようになりました」と話し、奥井さんは、「『アメリカの多様性』について研究した際、とても面白いと感じ、もっと知りたいと思ったことで国際コミュニケーション専攻に進むことを決めました」と言います。瀬戸さんも、「私は『食文化のグローバルな展開』というテーマについて研究発表しました。国際コミュニケーション専攻に進むつもりで入学しましたが、コミュニケーションについて学ぶうちに言語コミュニケーションにも興味を持つようになり、専攻を決めるのに最後まで迷いました。結局、国際コミュニケーション専攻に進みましたが、研究入門でやり切れたことが自信になり、それがこの道で行こうと決めた要因となりました」と振り返ります。
 米山教授は、「私が十年ほど前に受け持っていた研究入門のある学生から、“同級生の発表を聞くよりも、先生から教わることの方が大事なのでは”と指摘を受けたことがあります。その際、自分自身に改めて問い直したのが、なぜ学生同士でディスカッションすることが必要なのか、なぜ互いの発表を聞くことに意味があるのかということ。その主たる目的は学生同士の学び合いなのですが、クラスの仲間の発表を興味を持って聞く姿勢、その発表に刺激を受けること、他の発表を他人事と考えずブリッジング(自分事に置き換えて考える)すること、そして何より仲間に対する気持ち、思いやりが大切だと気付かされました」と話します。それこそが人間力と言われる部分でもあり、目指す道は違っても、互いに認め合い励まし合える仲間の存在が、その後の学びにも深く関係していることは疑いようもありません。

教員からのチェックも受け、学生はレポートに磨きをかけていきます
教員からのチェックも受け、学生はレポートに磨きをかけていきます
グループ発表の準備を行った学習スペース「ぴあら」
グループ発表の準備を行った学習スペース「ぴあら」

小集団授業を通じた学びの転換

 大学入学前から留学には行きたいと考えていたという奥井さん。「ただ語学、特に英語を上達させたいという漠然としたものでした。なぜその国、大学に行きたいかという動機がはっきりとしていませんでしたが、研究入門でアメリカの多様性について調べている間に、アメリカにおけるダイバーシティマネジメントについて学びたいと強く思うようになり、それを専門的に学べる大学を志望するようになりました」(後期から9カ月間アメリカへ留学予定)と、自らの変化を口にします。
 入学前までは、何となく英語を勉強したいと思っていたという瀬戸さんも「入学後は、語学の上達はもちろん、それを使って何をするのかという考え方に変わりました。まだ具体的な方向性や研究テーマなどは決まっていませんが、一度、外(海外)に出て、文化や社会に触れることで見えてくるものもあるのではと考えています」(後期から6カ月間アメリカへ留学予定)と、将来について話します。
 韓国からの留学生でもあるリーさんは、「徴兵でハワイを訪れ、他の国の兵士と交わる機会に恵まれました。そこでたくさんの刺激を受け、兵役後、大学に進む際には、国際的な舞台で活躍できる人材になりたいという思いがあり、日本、そして立命館大学への留学を決めました。それまで日本にもまったく興味がなく、ドラえもんの国ぐらいの印象しかありませんでした。それが、研究入門などを通じ、文化を学ぶ楽しさに目覚め、日本語をもっと深く学びたいという気持ちに変わりました。さらに、日本語を学ぶために、違った角度から日本を見ることも大切だと思い、私も後期から半年間、アイルランドに留学に行きます」と、力を込めます。
 クラスメートとの共同作業を通じ、共に学び共に成長する。その過程、そしてやり遂げた自信こそが、それぞれの学びの転換につながっています。

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