大学と街、人(学生)と人(住民)を結ぶキャンパス。~OIC地域・社会連携の歩み~

地域・社会に開かれ、アジアと世界をつなぐ

2013年10月建設時の様子
2013年10月建設時の様子
2015年5月OIC開設記念式典内のシンポジウムの様子
2015年5月OIC開設記念式典内のシンポジウムの様子

 『アジアのゲートウェイ』『都市共創』『地域・社会連携』の3つの教学コンセプトを軸に、広く地域・社会に開かれ、アジアと世界をつなぐ学び舎を目指し、2015年に大阪いばらきキャンパス(OIC:大阪府茨木市)を開設して今年で3年目を迎えました。2011年のキャンパス企画設計から関わり、現在はOICキャンパス代表兼OIC地域連携室室長で政策科学部政策科学科の服部利幸教授に、これまでの歩み、OICの地域・社会連携の現在(いま)、今後の展開などについてお話をうかがいました。

お互いの思いが一致

様々な取り組みを通じ共にコミュニティを盛り上げる
学生と企業が産学連携「茨木ご当地ソフトクリームプロジェクト」(協力:日世株式会社)
学生と企業が産学連携「茨木ご当地ソフトクリームプロジェクト」(協力:日世株式会社)
多くの地域の方が訪れるいばらき×立命館DAY
多くの地域の方が訪れるいばらき×立命館DAY

 キャンパスを囲む塀がなく、学生のみならず、小さな子どもから高齢者まで気軽に訪れるオープンな場所、それが他キャンパスにはないOIC最大の特徴でもあります。
 「各交通機関の駅からも徒歩圏内で、大阪の都心からそれほど距離のない立地、交通の利便性は、あらゆる面で大きなメリットがありました。地域の人たちからは、大きな期待を寄せられているのを感じていました」と服部教授は、開設決定時を振り返ります。
 OICでは、所在地である茨木市をはじめ大阪府などとの地域・社会連携を推進する体制として、OIC地域連携室を設け、学生・教員・大学と地域の橋渡し役として活動しています。
 大学における地域・社会連携では、教育や課外活動はもちろん、大学・学生と地域との関係、そして様々な活動やイベントなどを通じて地域の方々に大学に愛着を抱いていただくことも大学のファンを創ることが重要です。しかし「大学の地域・社会連携=地域貢献」ではありません。大学にとって教育研究は使命であり、その使命達成のために培った強みがあります。大学における地域・社会連携は、教育研究という使命達成に貢献し、かつその強みを最大限活用するものであるべきです。そのなかで、どれだけ地域とウィン・ウィンの関係から信頼関係を構築していくかがカギとなります。
 「塀がないが故に、地域の人たちに学生の教育活動を温かい目で見守っていただく必要があります。塀のない開かれたキャンパスが、活発なコミュニケーションを生み、学生のアクティブな学びを通じてコミュニティの活性化にもつながります」と服部教授。学生、教員にとっては外部の目はいい意味での緊張感となり、地域住民にとっても、普段はあまり知ることのない、大学の雰囲気に触れるなどのメリットがあります。「欧米などでは、大学を中心とした街づくりを行っているところもあり、OICでは、学生と子どもがボール遊びをし、高齢者とおしゃべりするシーンなどをよく見かけます。大学に触れ、良さを知ってもらい、立命館のファンになってもらえればうれしい」と服部教授は笑顔で話します。

互いに影響し合いながら成長

新しい文化の芽生え
コミュニティ共創プロジェクト「育てる里山プロジェクト」
コミュニティ共創プロジェクト「育てる里山プロジェクト」
服部利幸教授
服部利幸教授

 OICでは、衣笠キャンパス(京都市北区)、びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)での経験を生かし、開設前の2012年より地域にマッチした形で地域・社会連携を進めてきた背景があります。「お陰様で、キャンパス周辺の地域、そして茨木市とは、とても良好な関係が築けています」と言い、毎年5月に実施している「いばらき×立命館DAY(通称:いばりつデー)」は、今年は約1万人が来場するなど地域の風物詩となりつつあり、Asia Weekをはじめとした留学生との交流企画なども毎回盛況です。また、市内の企業や商工会議所などと連携した取り組み、フィールドワークも盛んに行われるなど、その輪は確実に広がっており、「こうした大きなイベントや各種フィールドワークなどを円滑に実施できるのも、地域、茨木市との信頼関係があるからこそ」と服部教授はこれまでの経緯を話します。
 オープンな環境を活用した特徴的な企画として挙げられるのが、「育てる里山プロジェクト」「ガーデニングプロジェクト」「まちライブラリープロジェクト」の3つからなるコミュニティ共創プロジェクトです。「こうした地道な活動を通じ、気軽にキャンパスに足を運んでもらうことで、共に楽しんでもらうことを大切にしています」と服部教授はプロジェクトへの思いを話します。
 「茨木市にOICができたことによって、地域に新しい文化が芽生え始めているように感じています。50年100年後にどのような文化に発展しているかと思うとワクワクします。」と服部教授。街に大きな企業などが進出することで経済効果を含め、地域がその影響を受け、変化していくのと同様に、「地域住民もOICから、OICも地域住民から大きな影響を互いに受け、刺激し合いながら共に成長しています。それが現在、そしてこれからの茨木市とOICの関係だと思います」と、力を込めます。
 「地域、茨木市との地域・社会連携は、一定の広がりを見せており、今後はその質をさらにアップさせ活動範囲を拡大していくことがポイントとなります。都市共創のコンセプトのもと、メトロポリス大阪との関係を深めるため、現在、大阪府、その中心である大阪市内の各行政機関、団体、企業へと活動を進めています」と服部教授。
 さらに学生の教育、教員の研究という点では、「このオープンな環境、深めてきた地域との絆を活かし、まだまだ様々な可能性を秘めています。また、ゼロから始めた関係性のメリットなども活かしていくことが重要」と話し、こうした環境、資産のさらなる活用が今後の課題とも言えます。

 OICは今後、国際寮の完成、2019年4月にグローバル教養学部の開設を予定しています。「地域の国際交流のニーズは高く、コンセプトの1つでもあるアジアのゲートウェイとしての役割も増してきます。私たちとしても、積極的に橋渡しができるよう体制を整えていきたいと思っています」。
 3つのコンセプトを軸に、地域から愛される大学、そしてキャンパスへ。それは私たちが中長期計画にも掲げている、立命館全体の思いでもあります。

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