Withコロナ時代における新たなグローバル教育とは。

2020.11.20 TOPICS

Withコロナ時代における新たなグローバル教育とは。

 新型コロナウイルス感染拡大により、日本と海外の渡航が制限され、グローバル教育においてもさまざまな影響が出ました。Withコロナ時代におけるグローバル教育、そして、Afterコロナ時代のグローバル教育の展望について、中川涼司国際部長にインタビューしました。

海外留学派遣および外国人留学生の受入にはどのような影響が出ましたか。

 海外留学派遣については、2020年度の全プログラム(短期、1セメスター、長期)を中止し、派遣学生には途中帰国をお願いせざるをえませんでした。2021年度のプログラムも、既に1セメスターの春学期派遣は募集を断念しました。一方で、長期プログラムは、募集および選考中です 。基本的には渡航を前提に準備を進めていますが、渡航できない場合の代替手段として、オンラインでの留学も検討しています。また、2020年度の長期プログラムが中止となった派遣学生に対しての振替対応も進めています。

 外国人留学生の受入についても、各国の入国制限措置により、受入や渡日が困難な状況が続きました。現在、順次緩和され、渡日が可能となったことから、約300人程度の正規学部生・大学院生(本学で学位取得を目指す学生)に対して、情報提供や滞在先の支援を行う準備を進めています。また、短期プログラムの SKP(Study in Kyoto Program)生は、2020年度は新規受入を中止しましたが、2021年度は渡日による受け入れを前提にしつつも、オンラインでの留学も可能となるように準備を進めています。

 予測困難な状況ですが、いずれも安全を最優先に、外務省の海外渡航危険情報レベルに留意しながら、その他のプログラムについても検討を進めている状況です。

中川涼司・国際部長
中川涼司国際部長

さまざまな制約があるなかで学生も戸惑ったことと思います。国際教育センターでは、学生に対してどのような支援をされてきましたか。

 学内で留学再活性化ワーキングを立ち上げ、海外渡航が困難な状況においても、国際交流や海外とのつながりを継続・活性化させる取り組みを検討し、支援に努めてきました。

 特徴的な企画として、政策科学部の授業「ASEANで学ぶ国際PBLプログラム」の一環でオンライン留学体験イベントも開催しました。また、本学が1991年から交流を続けているブリティッシュコロンビア大学(カナダ)との合同イベントでは、留学中止となった学生75人および留学に興味のある学生を対象に、現地の教員によるオンラインでワークショップやレクチャーを開催しました。物理的な海外渡航が困難な状況でも、オンラインで海外をつなぐ取り組みを継続しています。

 また、2021年2月~3月には、オンラインの短期プログラムとして、カリフォルニア大学デービス校とのプログラム(正課プログラム)、その他にも協定大学や提携企業と連携した多くプログラム(正課外プログラム)を準備しています。詳細は 「海外留学プログラム」サイト などで順次お知らせしています。皆さんの積極的な参加を期待しています。

「ASEANで学ぶ国際PBLプログラム」授業の様子
「ASEANで学ぶ国際PBLプログラム」授業の様子

そのほか、立命館大学ならではの取り組みについて教えてください。

 「ReThink→ReAct留学・国際交流~スタートアップWEEK~」では、学生が留学や国際交流に興味を持ち、学ぶ意欲を継続することできるよう、立命館大学の国際交流や海外留学プログラムの紹介、各種セミナーをオンラインで開催しました。合計951人の学生が参加し、コロナ禍においてもたくさんの熱意が感じられました。

オンラインだからこそ、可能となった取り組みはありましたでしょうか。

  「Beyond Borders Plaza(BBP) ※」 で活動する学生団体 「BBPスタッフ」によるオンライン企画 では、コロナ禍でも学生同士の交流が積極的に行われ、留学や異文化を身近に感じる機会を学生同士で生み出し、コミュニケーションを促進しています。また、BBPスタッフや参加者はこれまでキャンパス単位での活動でしたが、3つのキャンパスの壁を越えて学生同士の交流が実現したことは新たな発見となりました。オンラインでいつでもどこにいても交流ができることは、人とのつながり、海外とのつながりを身近にさせる点でとても効果的だと考えます。

※衣笠キャンパス、びわこ・くさつキャンパス、大阪いばらきキャンパスにある国際交流や言語学習などを中心としたグローバルコモンズ

今後、グローバル教育はどのように変化すると思われますか。

  世界は新型コロナウイルス感染拡大以前のようには戻らないと考えます。ただ、グローバル化の流れは止まらず、むしろオンラインでの講義形態が普及および促進し、大学ではより一層教育の質が問われることでしょう。この間、立命館大学の学生を対象に実施した留学に対するアンケートの結果からは、コロナ禍においても学生539人のうち、約8割が国際交流や留学に高い関心を持ち、短期プログラムのみならず、長期プログラムにも高い関心を持っていることがわかりました。また、オンラインのプログラムに対する一定の理解や有効性を感じつつも、やはり海外渡航に伴う留学に高い関心を持っていていることも明らかになりました。

 本学では、今後、海外渡航を伴う留学の可能性を追求していく一方で、オンラインを融合させた国際的な学びを展開していきます。また、外国人留学生の受入も拡大させ、オンラインを活用した国際交流プログラムの開発についても検討し、従来とは異なる新たな在り方で、量的にも質的にも高いグローバル教育を提供することを目指します。

立命館大学におけるアフターコロナの留学モデルの検討イメージ
立命館大学におけるアフターコロナの留学モデルの検討イメージ
最後に、国際交流や留学を考える方に向けたメッセージをお願いします。

  コロナ禍を経て、世界はかえって近くなり、異文化への深い理解とさまざまな課題に対応し、世界中の人と協働できる素養を涵養することが、ますます重要になることでしょう。いろいろな不安もあるかと思いますが、多様な価値観に触れ自身の視野を広げて、学生生活を送ってほしいと思います。なお、本学においては、時間や空間のボーダーを超えた国際的な学びをどのように提供できるか、最良の在り方について今後も検討を進めます。
 留学に関する情報は、国際教育センターなどで随時提供しています。気軽に各キャンパスの国際教育センターまでお越しください。

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